コンサート雑感、今回は令和7(2025)年7月13日に聴きに行きました、京都ふじのもり管弦楽団さんの第22回定期演奏会のレビューです。初関西のアマチュアオーケストラのレビューとなります。ですがブログを始める以前には奈良県の大和八木までモーツァルトの「戴冠ミサ」を聞きに行ったこともあります。
京都ふじのもり管弦楽団さんは京都のアマチュアオーケストラです。前身は京都教育大学管弦楽団OBオーケストラで、私が取り上げている団体の中ではクレセント・フィルハーモニー管弦楽団さん(中央大学管弦楽団OB・OG)やアンサンブル・ジュピーターさん(早稲田大学管弦楽団OB・OG)などと言った団体と同じだということになります。
https://kkob-orchestra.jimdofree.com/
京都ふじのもり管弦楽団さんの演奏会に足を運ぼうと思ったきっかけは、関西万博へ行くことにしていたことにあります。そもそもは4月から5月に万博へ行こうとしていたのですが予算的に厳しいことがありリスケをくり返してきました。5月に一度はリスケしその時に諏訪交響楽団さんの「復活」を万博へ行く途中に予定していたのですがそれも予算的に厳しくリスケ。ようやくめどが立ったのが7月14日月曜日。体力的に前泊することを決めていたので、それならば関西のアマチュアオーケストラが聴けるかもしれないと思い立ったのでした。
ただ、いつも使っているi amabileにはあまり関西のアマチュアオーケストラの予定が掲載されておらず、実際7月13日は皆無でした。そこで面倒なのですが、オケ専を使いました。むしろ情報量としてはi amabileよりもずっとあるのですが、面倒なのはオーケストラが列記されているだけで日程は各オーケストラのウェブサイトにいちいちアクセスしないと分からない(しかも、同じ団体で新旧URLが乱立している)ということなので、基本私は利用を避けています。ですが今回だけはもうしょうがないと腹をくくり、一つ一つしらみつぶしにアクセスした結果、京都ふじのもり管弦楽団さんにたどり着きました。
https://okesen.snacle.jp/groups/area_search/kinki
ですが、それだけ面倒な作業をして本当に良かったと思えるコンサートでありました。今回の曲目は以下の通りです。
①モーツァルト クラリネット協奏曲
②シューベルト 交響曲第8番「ザ・グレイト」(昔風で言えば第9番)
ベタな曲が並びましたが、しかしモーツァルトのクラリネット協奏曲をやるというのも、足を運ぶ決めてでもありました。協奏曲をやるということはそれだけ意欲があるあるいはレベルが高いことを意味しますので。
そして、気づいていらっしゃる方もいるかもしれませんが、私は前日にオーケストラ・チェルカトーリさんも聴きに行っています。奇しくも関東と関西のアマチュアオーケストラを聴くという日程になりました。
①モーツァルト クラリネット協奏曲
モーツァルトのクラリネット協奏曲は、モーツァルト最後の協奏曲です。当時最新楽器だったクラリネットを独奏楽器として協奏曲に仕立てた作品で、ゆえにモーツァルトの進取の気風を感じる作品でもあります。
私も好きな作品の一つですし、実は私が最初に聴いた協奏曲がこのモーツァルトのクラリネット協奏曲だったはずです。なぜなら、小学校の下校時間を告げる音楽がこの第1楽章だったからです。
さて、今回独奏者は船隈慶さん。そうそうたる経歴でさらに大阪フィルハーモニー交響楽団のクラリネット奏者で首席でもあります。むしろそれだけの実力者を引っ張ってこれるだけの団体だとも言えます。
指揮者は山本一宏さん。公式のウェブサイトはありませんがFacebookにページがありますのでよろしければ検索してみてください。関西のいろんな団体を指揮されている方で、Facebookの友達には新田ユリ先生が・・・あー、それだけの実力者なのだとわかりました。
実際、テンポはどっしり系で奇をてらうものではありません。極めてオーソドックス。ですがとても生き生きとした演奏になっているんです!アンサンブルも秀逸で弦のやせた音はあまり聞こえてきません。この時点でレベルの高さを確信しました。
また、当日のホールは長岡京記念文化会館。京都府の施設だそうですが、多目的ホールの割には残響時間が長めです。おそらく1.8秒程度ではないでしょうか。素晴らしいホールですが2秒には届かないホールですからそれだけアラは出やすいと言えます。かつ古典派の作品でなおさらアラは出やすいわけなんですが、そこでやせた弦の音があまり聞こえずアンサンブルも秀逸となれば、もうレベルとしてはかなり高いと言えます。
船隈さんの暖かく豊潤なクラリネットに、合わすオーケストラもこれまた美しいのです。これ、プロを聴きなれていれば当たり前だと思いがちですが実際にはとても難しいことなのです。それを当たり前にやってしまうオーケストラ・・・いやあ、京都の方は幸せだと思います。この高いレベルの演奏が聴けるなんて!しかも、長岡京記念文化会館も駅(阪急京都本線長岡天神駅)からも歩いて15分ほどとそれほど遠くなくアクセスも良く、長岡天神の隣とあって環境もいいホールです。ほんと羨まし~。関西に引っ越すなら長岡京市がいいかなと思ったくらいです(実際に市名となっている長岡京の遺構や、古墳や旧跡もたくさんあり当日回り切れないくらいでした。そもそも長岡天神は平安貴族の邸宅跡)。
美しくも生命力のある演奏を堪能することが出来ました。
②シューベルト 交響曲第8番「ザ・グレイト」
シューベルトの交響曲第8番は、以前は第9番と言われていた作品で、私はいまだに第9番と言ってしまいます。
シューベルトの最後の4楽章を供えた交響曲と言っていいこの作品は、ロマン派の作品とは言え古典派の影響もある作品だと言えます。それがシューベルト自身がベートーヴェンを尊敬していたにも関わらずある意味モーツァルト的な美しさも備える作品となっている理由もあるでしょう。この辺りに、京都ふじのもり管弦楽団さんのセンスの良さを感じ、単にベタな曲を持ってきていないなと感じるところで、非常にアマチュアらしい選曲だと思います。
演奏も極めてオーソドックスなのに、生命力あふれる生き生きとしたもの。前日のオーケストラ・チェルカトーリさんに比べれば体の動きは少ないですが、それでも作品に共感しているのがひしひしと伝わってきます。また平均年齢も高いのですが、それでも生命力のある演奏ができるのが素晴らしい!ごちゃごちゃするような場面も極めて少なく、このザ・グレイトを聴いても再び演奏レベルの高さを味わえることとなりました。団員相互のコミュニケーションがしっかりなされているのだろうなあと思います。
アンコールは前半と後半それぞれ1曲ずつでしたがどれも美しさと生命力が同居する演奏で、しっかりと堪能しました。次の演奏会は案内がないですが、さすがに関東からだとお金がかかるので・・・ですがもしまた関西に行く用事があれば是非とも足を運びたいと思った団体です。コンサート履歴を見ますと1年に1回のようですが、またご縁があればぜひ!もしかすると京都ふじのもり管弦楽団さんの演奏会に行くという予定を立てるかもしれません。正直、長岡京はまだまだ回り切れていないのでもう一度行こうと思っている次第でもありますので。
聴いて来たコンサート
京都ふじのもり管弦楽団第22回定期演奏会
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
クラリネット協奏曲イ長調K.622
フランツ・シューベルト作曲
交響曲第8番ハ長調D944「ザ・グレイト」
船隈慶(クラリネット)
山本一宏指揮
京都ふじのもり管弦楽団
令和7(2025)年7月13日、京都、長岡京、長岡京記念文化会館大ホール
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。