コンサート雑感、今回は令和6(2024)年9月16日に聴きに行きました、Camerata OFO 室内楽の誘いのレビューです。
Camerata OFOとは、東京のアマチュアオーケストラである荻窪祝祭管弦楽団が室内楽などを演奏する時の団体名です。その荻窪祝祭管弦楽団は、東京は荻窪で行われる荻窪音楽祭に於いてクラシック音楽を演奏する団体として出発しました。現在も荻窪音楽祭で演奏している他、その音楽祭も含め定期演奏会も開催している「祝祭」とはいいながらも常設のアマチュアオーケストラです。
実際に会場に足を運びましたが、どちらかと言うと市民オーケストラに近い団体だと思います。若い人ばかりではなく年齢層は幅広いのが特徴です。
今回のプログラムは以下の通りです。
①モーツァルト アダージョとフーガ ハ短調K.546
②シュターミッツ ヴァイオリンとクラリネットのための協奏曲変ロ長調
③モーツァルト 交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
どこが室内楽なのですか?と突っ込みが入りそうです。その通り、室内楽と言いながらも。これらの曲は全て管弦楽のための作品です。シュターミツに至っては協奏曲ですし、メインは交響曲。普通にオーケストラの定期演奏会のプログラムだと言われても違和感ないラインナップです。
このコンサートは夜だったのですが、実はそもそも日中に横浜まで行って室内楽のコンサートに足を運ぶ予定でした。そのコンサートでは実はモーツァルトのピアノ協奏曲をピアノと弦楽四重奏で演奏するというものがあり、私自身はその聴き比べをしたいと思っていました。ところが、今月は立山黒部アルペンルートに行く予定を立てており、JR東日本のえきねっとでチケットが取れなかったため、そこまで資金が回らないことが判明したため、交通費を圧縮するためあきらめたのでした。それに、天候も懸念されたということもあります。
つまり、この日は私としては、古典派における編成とは?という切り口でコンサートに足を運びたいという気持ちを、1ヶ月のタイムラインの中で立てていたのです。ところが、立山黒部アルペンルートに行くためにえきねっとを使う予定でしたが、なかなかチケットが取れなかったため北陸新幹線は正規の料金で行くことを決断したということがありました。実は、トロリーバスが今年最後ということで、遅くなればなるほど鉄道ファンのお別れ乗車で混雑するだろうと予測したので、9月あたりがもうタイムライン的にギリギリだったのです(立山黒部アルペンルートは冬季は雪のため閉ざされるため4月~11月までしか開いていないため)。そのため、今月はその立山黒部アルペンルートを優先するということもあり、交通費がかかる横浜までのは月初めだけに限定したという経緯があったのです。チケットは無料だったのですが・・・
そのため、すでにチケットを取っていたCamerata OFOの方を優先した、ということなのです。ちなみにホールは三鷹市芸術文化センター風のホール。近場ということも優先した理由でもありました。その分交通費がかからないので・・・まあ、ちょっとした裏話でした。自腹でやってますのでまあいろいろと大変です。
以前から申し上げておりますが、古典派の時代の編成は現在私たちが目にしている編成よりはずっと小さかったのです。特に今回取り上げられたモーツァルトやシュターミッツという作曲家が活躍した時代は、バッハが亡くなってから20年ほどしか経っておらず、室内楽に多少楽器が増えた程度の編成だと考えていいくらいなのです。その演奏がアマチュアで体験できる機会はそうあることではないのです。その意味でも、この演奏会はチラシをもらった時から注目していたコンサートでした。
演奏としては、アマチュアらしいやせた音が存在はしますが、アインザッツは強く、表現の幅も広く、レベルは比較的高いと感じました。コンサートマスターがシュターミッツではソリストも務めた宮武佑果さんが務めており、この方は荻窪祝祭管弦楽団のトレーナーも務めている方です。指揮者は照沼夢輝さんで、当日はシュターミッツでクラリネットソロを務めた方です。実は日本フィルハーモニー交響楽団のクラリネット奏者です。クラリネット奏者として個人でも活動されており様々なオーケストラへの客演もされています。ある意味、このような演奏者が指揮をしてさらにトレーニングにも携わるという体制も、このオーケストラのレベルの高さにつながっているのだろうと思います。アンサンブルを合わせると言うのは言うほど簡単ではなく、やはり指導者がいかに伝えるかという点にもかかっていますので。
その点でも、Camerata OFOさん(荻窪祝祭管弦楽団さん)はいい指揮者に恵まれたのだと思います。実に生き生きとしており、私自身自分の魂が喜んでいるのがわかるのです。聴いていて楽しいと素直に感じられる演奏。確かにアマチュアらしいやせた音は存在しますが、それが何か問題でも?と思うくらいなのです。そもそもが演奏者が楽しんで演奏しているのが伝わってくるんですね。明らかに音楽史を踏まえた編成とプログラムになっているのですが、その内容をまず自分たちが楽しんでいるんです。そのため音楽史を知っていなくでも楽しめる演奏ですし、音楽史を知っていればさらに楽しさ倍増!という演奏なのです。こういった演奏が楽しめるのがアマチュアの演奏会を聴きに行く醍醐味ですね~。
特に最後の「ジュピター」は生命に満ち溢れているんです!モーツァルトの交響曲の集大成とも言える作品ですが、モーツァルトの作品らしい明るさの中に円熟味も備わっているこの作品を、フルオーケストラよりは少ない人数でフルオーケストラのようにアマチュアが聴かせるのはなかなか難しいのですが、それをやってのけてしまうだけの実力を持っている、ということなのです。
こうなると、荻窪祝祭管弦楽団さんの定期演奏会にも足を運びたくなります。実は以前から、荻窪祝祭管弦楽団さんのコンサートには足を運びたいという気持ちを持っているのですが、今回室内楽ということではありましたが、ほぼ管弦楽曲の演奏を聴かせていただき。ますます聴きに行きたい!という気持ちにさせていただきました。いつもの会場が杉並公会堂ということもあるせいか、三鷹市芸術文化センター風のホールを自分たちのもののように演奏していたのも、ますまず聴きに行きたいと思わせてくれました。芸術の秋、手許は無限にあるわけではないんですが、今から足を運ぶことを検討に入っています。今度はフランチャイズでどんな演奏を聴かせてくれるのか、ワクワクしていたいと思います!
聴いて来たコンサート
Camerata OFO 室内楽の誘い
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
アダージョとフーガ ハ短調K.546
カール・フィリップ・シュターミッツ作曲
ヴァイオリンとクラリネットのための協奏曲 変ロ長調
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
宮武佑果(ヴァイオリン)
照沼夢輝指揮、クラリネット
荻窪祝祭管弦楽団Camerata OFO
令和6(2024)9月16日、東京、三鷹、三鷹市芸術文化センター風のホール
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