かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:小澤征爾と水戸室内管弦楽団によるモーツァルトの交響曲第40番と管楽のための協奏交響曲

今月のお買いもの、令和4(2022)年2月にe-onkyoネットストアにて購入しましたハイレゾ小澤征爾指揮水戸室内管弦楽団ソリストたちによるモーツァルト交響曲第40番とオーボエクラリネット、ホルン、ファゴット管弦楽のための協奏交響曲を収録したアルバムをご紹介します。

以前、ベーム指揮ベルリン・フィルによる演奏をご紹介していますが、

ykanchan.hatenablog.com

その時参照したウィキには、以下のような記述がありました。

「レヴィンとリースンによる復元版は2004年(平成16年)に小澤征爾指揮の水戸室内管弦楽団によって演奏され、CDも録音された。」

ja.wikipedia.org

今回購入したのはこの2004年に録音されたものなのです。上記エントリを立てるとき、実はこのアルバムも調べており、e-onkyoに96kHz/24bitで音源があることを確認していたため、できるだけ早期に購入したいと思い、2月に購入に至りました。

曲順としては、第40番、協奏交響曲という順番なのですが、まずは協奏交響曲から参りましょう。オーボエクラリネット、ホルン、ファゴット管弦楽のための協奏交響曲変ホ長調K.297b(K.Anh.C14.01)は、オーケストレーションモーツァルトらしくない部分が散見されるため、モーツァルト真作から外されたという経緯がある作品ですが、私は上記エントリで偽作の疑い程度にとどめるべきだ、コンピュータによる定量計算結果からはむしろ真作という結果も出ている、と述べました。だからこそ、レヴィン復元版による演奏であるこのアルバムを求めた、というわけです。

このレヴィンとリースによる復元版はとてもよくできており、この協奏交響曲が持っていた違和感というものがほぼ感じられません。ということはモーツァルト真作に限りなく近いと言っていいと思います。ただ、後世に伝わるときにパートが散逸し、オーケストレーションが他者によって行われ、らしくなくなってしまった作品だと定義づけて構わないと私は考えます。レヴィンの校訂は時としてモーツァルトの個性を消してしまうこともある(例えばレクイエム)のですが、この復元版においてはむしろモーツァルト「らしさ」が存分にちりばめられており、聴いていても楽しいですし、おそらく演奏しているソリストたちも気持ちよく演奏しているんじゃないかと思います。特にオーボエ宮本文昭は復元以前の版も吹いているため、はたしてどんな感想を持っていたのか気になります。

交響曲第40番はオーソドックスな演奏で、第1楽章はゆったりめ。私としてはそうじゃないって思いますけれど、しかしモーツァルト交響曲は室内オケで十分演奏できることを証明した演奏であると思います。モーツァルト晩年の作品達が持つ陰影とそのコントラストが生み出す深遠な世界が見事に表現されており、日本の室内オケもすでに世界レベルであることを聴かせてくれます。

その点では、新型コロナウイルスで海外オケの来日がほとんどなくなってしまって国内のオーケストラやソリストたちの演奏を耳にする機会が増えたと思いますが、その意外な実力の高さに舌を巻いた人たちも多かったのではないでしょうか。アマチュアオーケストラがかなりの実力を備えたということはそれだけプロも実力を備えている証拠でもあるわけなのです。アマチュアオケを誰が指導しているかと言えば、駆け出しの指揮者たちやプロオケの団員達なのです。そういった人たちが指導を通じて自分もまた学んでいく。そのプロセスが複雑に絡み合い、さらに芸術の高みへと昇っていくという好循環が生まれます。今、日本はまさにその好循環が生まれています。この循環を途切れさせてはなりません。

今回唯一残念なのが、またまた曲順なのです。まあ、楽章までめちゃくちゃになっているわけではなかったからいいものの、本来第40番、協奏交響曲という曲順であるはずなのですが、ソニーのMusic Center for PCで聴きますと協奏交響曲、第40番という順番になってしまうんです。これ、どうにかならないでしょうか?原因があるのならなんとかなる可能性もあるのですがまったくわからないため、どうしようもないよねえって思います。とりあえず問題ないからいいですが、もう少しだけ改善を願うところです。最悪foobar2000で聴くという方法もありますし。特に周波数が96kHzなので、それが今回は幸いと言えば幸いですが、幸いfoobar2000に頼るほどの混乱ではなかったので一安心です。

 


聴いているハイレゾ
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
交響曲第40番ト短調K.550
オーボエクラリネット、ホルン、ファゴット管弦楽のための協奏交響曲変ホ長調K.297b(K.Anh.C14.01) 
工藤重典(フルート)
ラデク・バボラーク(ホルン)
宮本文昭オーボエ
ダーグ・イェンセン(ファゴット
小澤征爾指揮
水戸室内管弦楽団
(ソニーミュージック 96kHz/24bit)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。