東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリである、サー・ゲオルグ・ショルティ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏によるショスタコーヴィチの交響曲第1番とストラヴィンスキーの「春の祭典」を収録したアルバムをご紹介します。
このカップリング、粋だなあと思います。所謂「ロシア・アヴァンギャルド」の時代の作品を並べて見せたわけです。日本のプロオケであれば安易に第5番あたりをショスタコーヴィチなら興行的に選択してしまうところ。けれども日本の聴衆もだんだん耳が肥えてきており、オーケストラ・ダスビダーニャの定期演奏会には大勢の聴衆が訪れていることを考えますと、このようなカップリングをぜひとも日本のプロオケでも期待したいところです。
それにしても、ショルティのタクトにかかると、どのオーケストラも生き生きと語りだすから不思議です。ショスタコーヴィチの交響曲第1番は、オーケストラ・ダスビダーニャの演奏にプロが混じったらここまで完成度の高いものになるであろうと思うくらい情熱的。春の祭典はまるで血がたぎるような生命力にあふれ、エネルギーが放出され続けているかのような錯覚を感じます。
こういう演奏を聴きますと、王政がどうだとか共和制がとか不毛な論議だなあと思います。それこそ外形的な解釈であるようにしか見えません。やはりオーケストラは指揮者によって良くも悪くもなるのだなあと思います。しかしそれがクラシック音楽を聴く醍醐味でもあります。ダメなら次!それでいいわけです。
そしてそのために、図書館があります。だからこそ、図書館は基本公立なのです。日本社会を陰で支える屋台骨が図書館ですから。単に利用者の好みだけでライブラリを決めてほしくはありません、九州の某都市の公立図書館のようにはしてほしくありません。むしろ、利用者に「こんな本があるのか!」「こんな演奏があるのか!」と目を見開かせるライブラリをそろえることこそ、図書館の使命です。
その意味では、このアルバムはまさに図書館の使命を果たしているライブラリであると言えます。コロナ禍ですが、ぜひとも図書館のライブラリにも目を向けてほしいと思います。
聴いている音源
ドミトリー・ショスタコーヴィチ作曲
交響曲第1番作品10
イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲
バレエ音楽「春の祭典」
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団
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