かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:ドビュッシー 歌曲全集1

東京の図書館から、今回と次回の2回にわたりまして、小金井市立図書館のライブラリである、ドビュッシーの歌曲全集を取り上げます。

ドビュッシーと言えばピアノ曲、というイメージが強いと思うのですが、実は歌曲も100曲以上作曲しています。最初の歌曲が作曲されたのが1878年。最後が1915年なので、ドビュッシーが活躍したほぼ全期間にわたります。

ではなぜドビュッシーの歌曲に興味を持ったかと言えば、この全集を借りたとき、直近で瀬川玄氏のピアノ、加耒徹氏の声楽による歌曲サロンや「ペレアスとメリザンド」を聞いたから、です。

ykanchan.hatenablog.com

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ペレアスとメリザンド」は、ドビュッシーが作曲したオペラです。ドビュッシーと言えばピアノ曲というイメージがありますが、実に多くのジャンルを作曲しており、オペラのその一つですし、歌曲も同じです。この二つのコンサートを聞いた後、ぜひともドビュッシーの歌曲が聞きたいと思い、図書館で探して借りてきたのがこの全集です。ピアノはボールドウィンで、ソリストはピアニストにゆかりのある人がずらり。男声の曲もあり、まさに全集の名にふさわしい内容です。残念ながら、第2集だけ図書館にない・・・・・なので、次回は第3集へと飛んでしまいますのであしからず。

借りてきた時には歌詞もブックレットにあったと思うのですが、忙しくてそこまでコピーするとか、書き写すとかは難しく、歌詞はあまりわからないんですが、いくつかはネットで検索すれば出てきます。題名を見ても、男女の関係を歌ったものも多く、まさに19世紀的な歌曲だなあと思います。

こういった、人間の内面性や関係性を歌った歌曲は、古典派~ロマン派にかけて数多く作曲されましたが、受け継いだ次の時代が背を向けたということではなく、むしろもっと多くなっていったという証左です。和声や様式は変化しても、題材は後期ロマン派とドビュッシーの時代とはほとんど変わっていません。むしろ、多くの詩人が世に出た分、同じようなテーマであっても百花繚乱。ドビュッシー自身も恋多き人生だったことから、とにかく豊かな人間世界が広がっています。特にこの第1集のメインのソリストであるメスプレは、伸びやかな歌唱で特に恋の美しさを歌い上げているのを聴きますと、まだ私も恋ができるのか?と錯覚してしまうほどです。歌って本当に素晴らしいですし力を与えてくれます(故に、そりゃあ慶應高校の大応援団だって、「若き血」を歌って盛り上げると思いますよ)。そして、ドビュッシーが切り開いた新しい和声は、人間のいろんな表情を表現するのにぴったりであると思います。特に明るい表情にはぴったり!ちょっとはにかんだ感じとかも絶妙ですし。

歌曲というとドイツリートがまず真っ先に思い浮かんでしまうのですが、いやいや、フランスだって素晴らしいじゃない!と膝を打つこと、明確なアルバムです。

 


聴いている音源
クロード・ドビュッシー作曲
①愛の輝く夜(詩:テオドール・ド・パンヴィル)
②麦畑の花(詩:アンドレ・ジロー)
③美しい夕暮れ(詩:ポール・ブルジェ)
マンドリン(詩:ポール・ヴェルレーヌ
⑤眠りの森の美女(詩:ヴァンサン・イスパ)
⑥今はもう春(詩:ポール・ブルジェ)
⑦感傷的な風景(詩:ポール・ブルジェ)
⑧西風(詩:テオドール・ド・パンヴィル)
⑨ロンドー(詩:アルフレッド・ド・ミュッセ)

4つの青春の歌
⑩1.パントマイム(詩:ポール・ヴェルレーヌ
⑪2.月の光(詩:ポール・ヴェルレーヌ
⑫3.ピエロ(詩:テオドール・ド・パンヴィル)
⑬4.現われ(詩:ステファーヌ・マラルメ

⑭中国風のロンデル(作者不詳)
⑮愛し合いそして眠ろう(詩:テオドール・ド・パンヴィル)
⑯ジャヌ(詩:ルコント・ド・リール
⑰声をひそめて(詩:ポール・ヴェルレーヌ

二つのロマンス(詩:ポール・ブルジェ)
⑱1.ロマンス
⑲2.鐘
エリー・アメリンク(ソプラノ、①・②)
ミシェール・コマン(ソプラノ、⑤・⑥)
マティ・メスプレ(ソプラノ、⑥~⑲)
ジェラール・スゼー(バリトン、③・④)
ダルトンボールドウィン(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。