かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:プレミアム・ウィークデー・オーケストラ第7回定期演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は令和6(2024)年9月13日に聴きに行きました、プレミアム・ウィークデー・オーケストラ第7回定期演奏会のレビューです。

プレミアム・ウィークデー・オーケストラは東京のアマチュア・オーケストラです。練習を平日に行い、コンサートもできるだけ平日の夜に行うというコンセプトを持ったアマチュア・オーケストラになります。

premiumwo.grupo.jp

ホールは決まったところはないようですが、ここ何回かは三鷹市芸術文化センター風のホールで開催されているようです。今回も三鷹市芸術文化センター風のホールでの開催でした。このホールは私の住まいからバスで近いこともありここで開催される演奏会はできるだけ足を運ぶようにしておりますが、今回はプログラムも魅力的というか、個性的という感じでした。

オール・チャイコフスキー・プログラム
交響曲第5番
交響曲第6番「悲愴」

まあ、ベタと言えばベタなのですが、交響曲2つは通常はおなか一杯という感じです。しかも、チャイコフスキーの最後の交響曲2つです。ですが、この二つの内特に第5番は私の大好物でもあります。悲愴も最近は好んで聴いていることもあり、近場で安いということで足を運んだ次第です。そしてもちろんなのですが、平日に練習を行いコンサートもするというコンセプトに共感したこともあります。

日本の産業構造が変化して、必ずしも工場勤務や平日だけ仕事をしている人だけとは限らなくなりました。かくいう私も罹患する3年前までは現場仕事をしておりシフト勤務なので必ずしも休日に休めるとは限りませんでした。正月も元旦の昼間は実家で過ごし夜勤から現場に入るということも多かったのです。サービス業に従事する人が増えることは、私のようなシフトで仕事をする人も多いということを意味します。そのため、こういったオーケストラがあることはいいことだと思います。

さて、演奏ですが、交響曲第5番は私の好みからすると多少速めのテンポを採用していました。旧ソ連あたりの演奏を意識されているのかな~という気がしましたが、アコーギクはありそれがまるで運命の奔流のように聞こえ始めると違和感がありません。ppが多少大き目でpになっていたかなという感じでしたが、しかしそれも全体の中では些細な事でもあります。勿論、もっとppであればなおいいのですが・・・そもそも、三鷹市芸術文化センター風のホールが多少小さめのホールなんです。もっと大きなホールでもいいような演奏をしており、もう少し思い切って小さくしても良かったかな~という気はしましたが、それでも、運命の奔流かのような演奏は、私の体を包み込み、第4楽章最後の手前でffで音が止まり残響が響くところでは涙すら流しました・・・

チャイコフスキー交響曲第5番の演奏をアマチュア・オーケストラで聴いて涙を流すのは久しぶりと言うか、もしかすると初めてかもしれません。弦に痩せた音も少なく、うまいオケだと思います。そのうまさが、私の魂を震わせました。素晴らしすぎる!

それは後半の「悲愴」でも一緒です。特に、悲愴ではその奔流のような音楽がまた私の体を包み込みます。第4楽章は私は悲愴を聞くたびに慟哭だと思うのですが、今回の演奏は「嗚咽」でした。嗚咽の第4楽章を聞いたのは初めてかもしれません。速めのテンポですがそれでさらりと行くのではなく人間の内面としてまるで嗚咽するかのように演奏する・・・私は聴いているのはアマチュア・オーケストラなのですが。

これだけの演奏を、平日の練習だけで実現させるとは!コンサートマスターはマスタークラスにも参加経験があるだけの実力者の様ですし、指揮者である石川さんは第1回の演奏会から指導と指揮をされているそうで、恐らく指揮者とオーケストラがお互いを理解しあっているのでしょう。そのうえでおのおのも実力があり、音の安定性も高くアマチュアとしては高いレベルを持っているからこその魂の揺さぶりでした。勿論ところどころでアマチュアらしい音の不安定さもありますが目立つほどでもなく全体の中では些細なことでした。

こういったオーケストラがあることも非常に重要なのです。休日の定期演奏会だけではなく社会人が主体であっても平日にコンサートを行うオーケストラがあってもいいのですから。それが文化的な豊かさを感じることにつながります。音楽の力を感じさせる素晴らしい演奏会でした!また足を運びたいと思います!がんばれ、サービス業!

 


聴いて来たコンサート
プレミアム・ウィークデー・オーケストラ第7回定期演奏会
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
交響曲第5番ホ短調作品64
交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」
石川智己指揮
プレミアム・ウィークデー・オーケストラ

令和6(2024)年9月13日、東京、三鷹三鷹市芸術文化センター風のホール

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