かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:アシュケナージが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集11

東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリをご紹介しています。シリーズで取り上げているアシュケナージが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集、最後の第11集をとりあげます。

通常だと、ソナチネが入っていたりするんですが、面白いことに第11集には、再び「ハンマークラヴィーア」が・・・・・

おなじ録音だと思うでしょ?ところが違うんです。これは旧録音なんです。なんで新旧をつけたのかはわかりませんが・・・・・

甲乙つけがたいそのピアニズム。しいて言えば、最後の盛り上がりは意外とこの旧録音のほうがいいのかな?という気も・・・・・

アシュケナージらしい速いテンポが、どこか表面的なのではなくむしろ感情の高まりとして自然な感じです。これはこれで本当に素晴らしいです。

自分のスタイルを全く崩さないピアニストもいますし、それはそれで味わい深い素晴らしい演奏なのですが、このアシュケナージのように多少変化しているというのも、また味わい深いと思います。だって、人間歳とるんですよ?老いるんですよ?その間に、変化がないなんてありえないです。

もちろん、老いるということは頑固になる、ということでもあります。一方で、経験もたくさん積んでくる、ということでもあります。頑固になると言っても、では若い時は頑固じゃなかったの?と言えば必ずしも全員頑固だったとは言えないわけじゃないですか。ということは、人間は年取ると変わる、ということを意味しているのです。

であれば、特に指と腕の筋肉を使うピアノにおいて、変化が出ないほうがおかしくないですか?アシュケナージはそれを見事にさらしたんです。これはすごいことだと思います。新旧を並べ、どちらがいいのかを聴衆にゆだねる。どっちが好きでも構わない。この清々しい正々堂々とした姿勢は、見事だと思います。

それを全集で入れてしまう・・・・・いやあすごいや、って思いますね、ほんと。アシュケナージ引退を機に、こういったアシュケナージの精神にも、もっと光が当たるといいのになと思います。同時に、アシュケナージにとっても、ハンマークラヴィーアという作品は、かけがえのないものなんだと実感しました。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調作品106「ハンマークラヴィーア」(旧録音)
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)

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