かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:「川崎市&東京交響楽団 Live from MUZA! マッチングギフトコンサート」Vol.3を聴いて

コンサート雑感、今回はタイムシフトで聴いた、「川崎市&東京交響楽団 Live from MUZA! マッチングギフトコンサート」Vol.3を取り上げます。

そもそもは、Facebookで以下の記事が、東京交響楽団さんがシェアされていたことから始まります。

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-mickey?fbclid=IwAR1CATtkxBhjFn7w_D4H2pJOBnEKN4HN9HloEEHL5Ev88hreztphHge3sYo

私も実は道義氏と同じように考えていた一人です。とはいえ、人の命に差別をするべきではありません。若い命も老いた命も、同じ命です。ですから、その命を大切にする政策決定は、粗末にするよりはずっといいと思います。

ただ、大勢の自由を、命を大切にするという理由で奪っていいのか?という疑問はとても大切な論考だと思うのです。そんな中で迎えたのがこのコンサート。まずできるだけのことをするオケに対し、その行動を否定せずしかし「科学的には恐れなくてもいいだろ」と問い続ける井上氏の熱情に、コンサートマスターはマスクを外すことを決断します。

それはコンサートの中で実にいいことだったと思うんです。それは以下に別に述べますが・・・・・

そんな記事を読んでいるうちに、これライブラリがあるのかな?と思ったわけなのです。東響さんが動画配信をしたということは、おそらく今回もニコ動であろうと予想したからです。そしたら、ありました、記事にリンクが。

live2.nicovideo.jp

これ、2020年9月末までは見ることができるので、ぜひとも多くの方に見ていただいて、私のエントリを読みつつ、皆さんはどう感じるか、考えてほしいなと思います。

さて、まずはフルートソナタかと思うような、フルートとハープによる演奏。ヴィドールの「組曲」から第3楽章。これはまさに科学的見地に基づいたものだったと思います。二人の奏者が距離を取りつつ、アンサンブルするのは本当に素晴らしい!ウィキで調べてみると、原曲はハープではなくピアノの可能性も。

ja.wikipedia.org

2曲目が、グノーの小交響曲から第3楽章と第4楽章。管楽器だけで、まるで吹奏楽かと思うくらい、ノリノリで力強い演奏です。クラリネットの女性が体をよく動かしていてノリノリで、できれば全員がそうなっているともっと楽しかったなあと思います。もう少しだけ体をゆすることを、管楽パートの方は考えていただけると嬉しいです。これはアレンジではなく、もともと管楽器のために作曲された曲です。

ja.wikipedia.org

休憩をはさみ、メインがモーツァルトの「リンツ」。記事でも奏者にもっと強い音を!と道義氏が要求している作品です。33名と少ないと記事にはありますが、おそらく初演の時はこれくらいだったんじゃないないかと思います。ですが東京交響楽団はフルオケの団体です。室内オケではないために、これだけ少ない編成に慣れていないのでしょう。しかもモーツァルトのこのリンツを作曲した時代だと、弦楽合奏が中心で、そこに管楽器がちょこっと入る、と言った感じです。そしてその演奏はとても生き生きとしており、コンサートマスターはマスクをしていないのでその表情が丸見えなんですが、本当に楽しそうにニヤリとしているんです。いやあ、マエストロの言う通り、していないほうが楽ですねえ、とでも言いたげに。

オケの皆さんも本当に楽しそうで、3月に聴いた名曲コンサートなどでの楽しそうな感じが戻ってきていて、聴いてみているこちらもほんわかします。表情がわかるというのはライヴの素晴らしい点。わからなくてもいいというのならメディアで聴けばいいんですから、私としてはライヴなどなくても音源でというのは批判的です。そういう人に限って、ハイレゾなんて飛びつきもしないですから。

さて、ここまで読んできて、わかった方いらっしゃいますか?これって、アマチュアオケで団員を全部出すのと一緒じゃん!と。そうです、モーツァルトでも管楽器が少ないために、その演奏機会を1プロと2プロで作っているんですね。これは工夫したなあと思います。こういうプログラムは私たち聴衆が楽しいだけでなく、オケの団員の一体感を維持できる点で、素晴らしいアンサンブルにつながると思います。

実際、最後には演奏できなかった団員も袖から出てきて、大円団。井上氏が「88888って」とオケの団員に伝えているのがいいですね!反応いいよと伝えるのも、こういった無観客ではいいことだと思います。なぜなら、ライブのいい点は、そのフィードバックが即である、という点です。拍手がどれだけオケと聴衆との「対話」となっていることか!それをこういった無観客でやるときでもモチベーションを維持するためには、必要なことだと思います。その点では、そもそもパフォーマンスが好きな井上氏を指揮者として今回迎えたというのは、いい選択だったと思います。

さて、アンコールなのですが、記事を読めばネタバレなのですね、中村八大の「上を向いて歩こう」。歌った坂本九の出身が川崎である、ということが採用の理由だそうですが、こういった時だからこそ希望のある歌というのは本当にいい選択だと思います。実はJR川崎駅の発車メロディも同じ。ミューザが立っている場所がもともとJRの土地(だけではないんですが)だったということにもちなんでいるのかもしれません。いずれにしてもオケの素晴らしいアンサンブルで聴けば聴くほど、「六八コンビ」も世界に通用する名曲を作っていたなあ、と思います。

こういった演奏会は配信だけではなく観客を入れた時でもどんどんやってほしいなと思います。東響さんの今後の活動から、目が離せません!

 


聴いたコンサート
川崎市&東京交響楽団 Live from MUZA! マッチングギフトコンサート」Vol.3 【魅惑優美な木管アンサンブル】
シャルル=マリー・ヴィドール作曲
組曲」より第3楽章
シャルル・グノー作曲
交響曲より第3楽章、第4楽章
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
交響曲第36番ハ長調K425「リンツ
アンコール
中村八大作曲
上を向いて歩こう
井上道義指揮
東京交響楽団

令和2(2020)年7月3日、神奈川川崎幸、ミューザ川崎シンフォニーホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。