かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:アラウが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集9

東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリをご紹介しています。11回シリーズで取り上げているクラウディオ・アラウが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の、第9集を取り上げます。

この第9集を聴くのを、今回も、そして借りたときもワクワクしていたんです。なぜなら、この第9集には、私がベートーヴェンのピアノ・ソナタのうち最も好む作品2つが収録されているからです。第28番と、第29番「ハンマークラヴィーア」。

特に第29番「ハンマークラヴィーア」は、いくつか全集を借りていますがいまだにピアニスト瀬川玄氏を超えるものがないという・・・・・もちろん、演奏全てを聴いたわけではないですから、さらにいい演奏は必ずあると思いますが、現時点では瀬川玄氏の演奏を超えるものがないんです。それだけ強烈な演奏だったわけですが・・・・・

匹敵するのが、このアラウです。テンポの揺れというか、アコーギクの使い方が絶妙!ともすれば、そのアコーギクだと、ちょっと・・・・・と私が思っても、次のフレーズで、え~、そうだったのか!これはいい!と印象を変えさせてくれる、説得力にあふれる、見事なまでに「歌う」演奏なんです。アラウ節全開!

ここまで、極端なアコーギクはつけてきていないアラウなんですが、このハンマークラヴィーアは思いっきりアコーギクをかけています。それが全然嫌味じゃないんです。むしろ、アラウの共感がビンビン伝わってきます。これはいいわ~

多分、私が聴いた録音されたものの中では、最高位に位置する演奏だと思います。特に第3楽章は本当にじっくり演奏しており、生で初めてハンマークラヴィーアを聴いた瀬川氏の演奏に匹敵するくらいのゆったりなテンポ。というより、おそらく瀬川氏はアラウを念頭に置いていたのではないかって思います。共になんと私の琴線を揺らしてくれるんだろう・・・・・泣くかも。

一方の第28番。これもゆったりとしたテンポですが、気持ちが高ぶって自然にアップテンポになっている部分もあり、自らの感情を見事なまでに演奏として表現しているのはさすがです。こういう演奏。もっとリアルでピアニストの方にはしてほしいなって思います。どんなにまねをしようがアラウになれっこないわけなんですから、近づきつつ自分のスタイルを出せばそれでいいのではッて思います。

おそらく、28番と29番がセットになっているのは、聴衆の要求もさることながら、アラウの視点なのかもって思います。アラウもこの2曲が大好きだったのではないか・・・・・テンポ、タッチ、アコーギクのつけ方など、聴いているとそう思える部分が多々あります。

もしアラウが現在も生きていたとすれば、機会があるのであればぜひともインタビューしたかったですね。アラウさん、第28番と第29番、お好きですよね?と。そこからどんな話題が飛び出すか、楽しかったのに・・・・・

スピーカーの前で、想像しながらしかできないのは、ちょっぴり寂しいです。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第28番イ長調作品101
ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調作品106「ハンマークラヴィーア」
クラウディオ・アラウ(ピアノ)

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