かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:チェコ・フィルによる「抒情交響曲」を聴く

東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回はチェコ・フィルによるツェムリンスキーの「抒情交響曲」を収録したアルバムをご紹介します。

ツェムリンスキーの抒情交響曲については、以下のエントリで語っていますので、割愛したいと思いますが・・・・・

ykanchan.hatenablog.com

府中市立図書館でも、棚に見かけて、確か神奈川県立図書館でかりているはずだけど、まあ、借りてみるかと借りたのがこれだったのです。オケは違うはず・・・・・とかえって確認してみたら、上記のエントリの通り、県立図書館でかりたのはいわゆるアムステルダム・コンセルトヘボウによる演奏で、指揮はシャイー。けれどもこの演奏はオケはチェコ・フィルで、指揮者とソリストはそれほど我が国では有名とは言えない人たちばかり。

ちょうど、前回取り上げた「ペレアスとメリザンド」もチェコ・フィルでしたし、たまには図書館でかりるやつでチェコ・フィル祭りやってもいいなあと思いましたので借りてみたのがこれだったのです。

演奏は・・・・・ソリストは本当に素晴らしい!シャイー指揮ロイヤル・コンセルトヘボウソリストにそん色ない、のびやかで艶のある歌唱で、実にエロい。エロいというか、憧れが存分に歌い上げられているのが聴いていてもううっとり・・・・・

それよりも気になったのは、チェコ・フィルの演奏なんです。冒頭はむしろ、借りて損したかなあって思うような開始。ロイヤル・コンセルトヘボウのほうが生命力あるなあ、と。ところがです、声楽が入るとがらりと変わるんです、これが。一緒にあこがれへと昇っていく過程で、どうしてもエロくなるという感じで、その妖艶さが実に美しく生命力あふれるものなんです。

ってことは、これは指揮者の解釈なのかな?と思います。指揮するはボフミル・グレゴル。音楽監督ではないものの、チェコ・フィルとは結構録音を残している指揮者です。ドヴォルザーク交響曲全集などもチェコ・フィルと収録しており、良好な関係を持っている指揮者だといえます。

が、やはり冒頭と声楽以後がどうしても気になるんです。全体的には本当に素晴らしい演奏なのですが、何度聞いてもどの対比がなぜ出てくるのかがわからないんです。むしろ予想できるのは、グレゴルが冒頭はまさに昔々~みたいな慣用句みたいな扱いだと判断した、ということです。単なる導入でしかなく、本命は歌である、と。

これは、音楽史的には非常に学究的なスタンスだと思います。けれども、ツェムリンスキーの時代の作品でそれでよかったのかと言えば、私は違うと思います。その点がとても残念な演奏だなあって思います。もっと表現できるオケなので、思い切りやってもよかったのになって思います。実際、ソリスト以降は本当にダイナミック!それが生命の発露ともなっていて、本当に適度に酔えますし。素晴らしい!

それだけに、なんで冒頭はどこか秘めている感じで物足りないのかなあと、残念です。

 


聴いている音源
アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー作曲
抒情交響曲 作品18
カラン・アームストロング(ソプラノ)
イヴァン・クスニエル(バリトン
ボフミル・グレゴル指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。