東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回はシェーンベルクの管弦楽作品集です。
シェーンベルクといえば、皆さんは何を想起しますか?12音階?まあ、普通そうですよね。それゆえに、どこか難解なイメージ持ちますよね。
以前にもこのブログでシェーンベルクを取り上げたときにも言及していると思いますが、私がそもそもシェーンベルクの音楽に興味を持ったきっかけは、合唱団時代の友人の言葉にありました。「シェーンベルクは宗教曲も作曲しているんですよ」
え?12音階で?と。けれども、調べてみるとシェーンベルクは決して12音階でのみ作曲しているわけではないことを知ります。特に、最も有名な「浄夜」や、室内交響曲などが実は12音階ではないことを。
まさかって思いますよね〜。だって、私達は学校でシェーンベルクは12音階って習っているんですから。けれども、シェーンベルクが12音階で作曲し始めた最初の作品は、ピアノ組曲作品25以降なんですよね。
アルノルト・シェーンベルク
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF
だから、私はこの演奏を図書館で借りてきてリッピングし、初めてきいたときの衝撃たるや、未だに覚えています。え、なんでこんなに聴きやすいの?うそ・・・・・
それを明確に感じた作品が、このアルバムに収録されている第1曲「室内交響曲作品9」と第3曲の超有名な「浄められた夜」作品4だったのです。そりゃあ当然、この2つはまだシェーンベルクがやっと無調へと移るかという、まだ12音階を採用する以前の作品なわけなんですから。
室内交響曲第1番 (シェーンベルク)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%A4%E5%86%85%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF)
浄められた夜
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%84%E3%82%81%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E5%A4%9C
浄められた夜などは、ガチガチの後期ロマン派。テクストはデーメルの詩と、よくありがちなものですし、しかも結構深い内容。それは第2曲めである「ナポレオン・ボナパルトへのオード」へとつながっていくものです。この「ナポレオン・ボナパルトへのオード」だけがこのアルバムでは12音階による作品なわけなんです。
「ナポレオン・ボナパルトへのオード」は、皇帝になった後のナポレオンを批判することによってヒトラーを批判する形をとっており、かなり手の込んだ作品です。けれども基本は詩を元に作品を作るというもので、「浄められた夜」と構造は一緒です。ただ違うのが12音階であるかそうでないか、なわけです。
このアルバムは、ある意味シェーンベルクという作曲家の真の姿を私達に提示するものです。12音階と思っていたシェーンベルクが、実はそもそもガチガチの後期ロマン派の作曲家であり、しかも其の作品はじつに魅力的。そのベースがアッての12音階の「ナポレオン・ボナパルトへのオード」へと至っていることがよく分かるないようなんです。
演奏は、そもそも「浄められた夜」が弦楽六重奏曲であることから小さなアンサンブルの管弦楽団が担当。音の一つ一つもクリアで、かつ自然体。それはきいていますとどこかに人間臭さもあり、意外な発見がたくさんあります。シェーンベルクが難しいって思っていた私が、この演奏でむしろとてもシェーンベルクに人間臭さを感じています。
特に、このアルバム以降、私が持っていたシェーンベルクに対する偏見は皆無になり、むしろシェーンベルクの作品に対する興味はどんどん膨らんでいったのでした。こういった「出会い」は、本当に嬉しくて幸せなものです。
聴いている音源
アーノルト・シェーンベルク作曲
室内交響曲作品9(ウェーベルン編曲)
ナポレオン・ボナパルトへのオード作品41
浄夜 作品4
トーマス・アレン(語り)
ナッシュ・アンサンブル
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
このブログは「にほんブログ村」に参加しています。
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村