かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ドヴォルザーク ピアノ作品全集5

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズでナクソスから出ているドヴォルザークのピアノ作品全集を取り上げていますが、今回はその最後である第5集を取り上げます。

第5集は小品が収められており、収録時間もやや短め。あっという間に全部聴くことができます。

それでも、演奏するヴェセルカがそうなのか、カンタービレしています。そもそもが、ドヴォルザークはメロディーメーカーなので、カンタービレする傾向にはありますが、正にロマンティックな作品がずらりと並んでいます。

にしてもです、お気づきかと思いますが、ピアノ・ソナタが1曲もないんですよね。ドヴォルザークがそもそもピアニストではないこと、そしてそれが当時ヴィルトォーソの時代において、実はドヴォルザークにとって引け目だったのではないかと想像できる史実だと思います。

でも、第5集に収録されている作品たちも華麗で歌謡性がある、とても魅力的な作品ばかりです。特に組曲イ長調は色とりどりの作品がちりばめられており、疲れた時にゆっくりと音楽に浸れる作品だと思います。

ある意味、ドヴォルザークのピアノ作品は、当時の流行へのアンチテーゼだったように思います。ソリストが高度に専門化しつつある一方、楽器は発展し、経済的にも庶民が潤う時代を迎えるという時代において、古典派〜前期ロマン派の時代のように、市民が気軽に演奏を楽しめる作品は減ったと言えるでしょう。そんな中、ドヴォルザークの作品は「市民が演奏できる芸術」として、広く受け入れられたものだと思います。

その上で、十分プロでもコンサートピースに乗せられる作品もあるわけです。それがクライスラーによってヴァイオリニストでも演奏できるように編曲されたユモレスクです。ドヴォルザークの作品は、ドヴォルザーク自身が決してくらいの高い家の出ではなく、一市民であり、かつコスモポリタンなパトリオティストという出自が色濃く反映していると思います。だからこそ素直に楽しめる作品が多いのだと思っています。

この第5集で言えば、それがスコットランド舞曲集ニ短調です。殆どが出版者からの委嘱だったとはいえ、そこにはドヴォルザークのぶれない音楽観が反映されています。

時に、有名作曲家の、あまり知られていないジャンルを借りてくることも、実に楽しいことです。今まで気が付かなかったことを気が付かさせてくれる。それが私にとって無類のよろこびへと繋がっています。

今後も図書館でこのような作品を借りてくることができればいいなあと思います。




聴いている音源
アントニン・ドヴォルザーク作曲
ポルカ ホ長調B.3:テンポ・ディ・ポルカ
スコットランド舞曲集ニ短調作品41B.138:ヴィヴァーチェ
ユモレスク 嬰ヘ長調B.138:ヴィヴァーチェ
即興曲ニ短調B.129:アレグロ・スケルツァンド
組曲イ長調作品98B.184
2つの小品 遺作B.188
ステファン・ヴェセルカ(ピアノ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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