かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ドヴォルザーク ピアノ作品全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から5回に渡って、ドヴォルザークのピアノ作品全集を取り上げます。元音源はナクソスです。

ドヴォルザークピアノ曲ってあったんですか?という方もいらっしゃるかと思います。そうなんです、ドヴォルザークにも、ピアノ曲が結構あるんです。

実は、協奏曲も作曲しています。この全集には収録されていませんが。

ピアノ協奏曲 (ドヴォルザーク)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%AF)

多分、この協奏曲での説明が、ドヴォルザークピアノ曲全体の大まかな特徴をとらえていると思います。決してヴィルトォーソ向けの作品が並んでいるとは言いがたいんです。

けれども、ドヴォルザークピアノ曲には、私たちが他の楽器の演奏で良く知っている作品も多くあり、魅力に富むものが多いのも事実です。

その上で、ピティナのこの説明はさすがだと思います。

ドヴォルザークドボルザーク) 1841-1904 Dvo?ak, Antonin
https://enc.piano.or.jp/persons/191

第1集には、まさにピティナで指摘されている「主題と変奏」と舞曲が収録されているんです。その上で、さらにドヴォルザークの作曲家としての立ち位置を示すのが、「3つのアルバムのページ」だと思います。

3つのアルバムのページは、異なる番号の作品がひとまとまりになっているもので、しかしそれ一つでストーリーが完結しています。まるでバロックのような作品です。

ここまで、ドヴォルザーク国民楽派である特色を示すのは、ドゥムカだけなのに、お気づきでしょうか。ですから、ピティナではあまり国民楽派という言葉を使っていません。じつはゆえに、ドヴォルザークの生前、国の音楽として認めるかという論争に巻き込まれているんです。

チェコ音楽史における位置づけ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%AF#%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B3%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E5%8F%B2%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E4%BD%8D%E7%BD%AE%E3%81%A5%E3%81%91

死後さらにそれは過熱して行ったのですが、チェコ独立後論争は下火になりました。こういった論争は本来無意味なんですが、チェコが独立を果たしていない中では、仕方なかった面もあります。ドヴォルザークという人は、日常会話はチェコ語であったにも関わらず、実家が旅館だったためか、コスモポリタンな部分があるんですね。わが国で言えば、戦前の満鉄を想像すればわかりやすいかと思います。

ですから、民族的なものを内包しつつ、ドイツ的になるのは自明の理だったのです。けれども、そのドイツ的というのが、愛国心に燃える人からすれば、とんでもないって話になってしまうんです。けれども私たち日本人から見れば、例えばスメタナにしてもドヴォルザークにしても、チェコ的なものが感じられるよね、要はその度合いだけなんじゃないの?って思うはずなんです。その私たち外国人である日本人の視点のほうが正しいんです。けれども、国が抑圧されていると、不安で見えなくなってしまいます。

ここに収録されている作品の多くはドイツのジムロック社から楽譜が出ており、むしろジムロックの要請によって作曲されたという歴史を持ちます。ですがどこか民族の色が出ているように思います。演奏するヴェセルカは十分アコーギクを聴かせることで、カンタービレしています。そこには、どこかチェコ人としてのドヴォルザークが滲み出ているように思うのです。

それは多分、演奏するヴェセルカの、作品に対する共感なんだと思います。ドヴォルザークの作品にどう向き合うかということを、しっかりとしたスコアリーディングの中でやったうえで、演奏しながら何を感じるのかを表現しているからだと思います。特に8つのワルツでは、そのチェコ風が色濃く出ているのを、自然とさらりと演奏することで際だたせており、それが自然と讃歌になっているのがすがすがしいです。

まずは、第1集からかましてきたって感じがします。




聴いている音源
アントニン・ドヴォルザーク作曲
2つのメヌエット作品28B.58
ドゥムカ ニ短調作品35B.64
主題と変奏 変イ長調作品36B.65
3つのアルバムのページ
 1.嬰ヘ短調B.109/2:アレグレット
 2.問い:ト短調B.128a:アレグレット
 3.変ホ長調B.158:モデラー
8つのワルツ作品54B.101
ステファン・ヴェセルカ(ピアノ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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