神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズでドヴォルザークのピアノ作品全集を御紹介しています。今回はその第3集です。
まるで、ドビュッシーであるかのような作品がずらっと並んでいるんです、第3集。それでいてメロディーメーカーたる面目躍如!
まずはチェコの民族リズムであるドゥムカとフリアントを題材にした作品。続いては、同様に舞曲ですが少し民族色は薄れます。
そして3つ目が「詩的な音画」。標題音楽とも言えますし、象徴主義とも言えるその様式は、和声こそ後期ロマン派の範疇にありますが、ドビュッシーを先取りすると言っても差し支えないと思います。実際、成立が1889年。丁度ドビュッシーがデビューして、フォン・メック夫人に帯同して演奏旅行に行くといいうタイミングです。
クロード・ドビュッシー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%BC
そこで、ドヴォルザークとドビュッシーとの交流があったかどうかまではわかりません。ただ、音楽家として、新しい才能がデビューしたみたいだくらいのことは、電信も発明されている時代に置いては容易に知ることができます。楽譜等を入手していてもおかしくはないでしょう。
特に、ドヴォルザークはヴィルトォーソ様の作品を書くことが苦手でしたから、ドビュッシーの新しい和声という運動には、共感していた可能性は高いのではないかって思います。
各曲に標題が付いており、ロマンティシズムに満ちた、素晴らしい作品です。
それら作品を、存分に歌わせているのが、この全集のピアニストを担当しているヴェセルカ。ドヴォルザークのメロディーメーカーたる才能が花開いている作品たちを、思いっきりカンタービレして、作品が持つまさに詩的な部分を最大限引き出しています。ある意味、ドヴォルザークが時代の流れとは逆行するような作品を書いたことへの最大限の共感が、演奏には満ちています。
特に、この第3集は全体が標題音楽というような編集になっているんですね。第2曲「2つの真珠」も舞曲集ながらも実は標題が付いている作品ですが、「真珠」とはよく名づけたなあと思います。ヴェセルカはその「なぜ真珠なのか」を考え抜いて、カンタービレしているように思うんです。
ナクソスなのでもともと安い音源ですけれども、こういった優れた演奏が図書館にあり、借りることができると言うのは、本当に素晴らしいことだと思います。ドヴォルザークと言えばどうしても交響曲や協奏曲に眼が逝ってしまいがちなんですが、早くも第3集でそれだけ?と片目をつぶってウィンクしているヴェセルカとドヴォルザークが、頭の中に浮かんできます。
聴いている音源
アントニン・ドヴォルザーク作曲
ドゥムカとフリアント作品12B.136
2つの真珠B.156
詩的な音画作品85B.161
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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