かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:ベルリオーズ ロメオとジュリエット

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介していますが、今回はベルリオーズのロメオとジュリエットを取り上げます。

ロメオとジュリエットと言えば、有名なシェークスピアの戯曲ですが、クラシックでも多くの作曲家が取り上げており、とりわけプロコフィエフのものが有名ですが、ベルリオーズも実は題材にしています。しかも、交響曲として。

ロメオとジュリエット (ベルリオーズ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%81%A8%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88_(%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%BA)

全体としては、シェークスピアの原作の流れを守っているのですが、そもそも戯曲なのですから通常であればオペラや音楽劇にするのが普通です。それを、ベルリオーズはあくまでも交響曲として書いているので、そのほとんどは楽器による表現になります。

ですが、その音楽表現を私たちが納得するためには、やはり原作のながれは知っておく方がいいと思います。ベルリオーズが如何に苦心してオーケストレーションをしているかが、良く分かるからです。

ロミオとジュリエット
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%9F%E3%82%AA%E3%81%A8%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88

それと、原作の流れを知っておくと、ベルリオーズが音楽に込めた想いもまた、私たちが理解しやすいのではと思います。作曲当時、少なくともロメオとジュリエットのようなことは、日常茶飯事だったことは知っておく必要がありますし、また、なぜ多様な音楽様式が詰め込まれているのかにも、私は理由があると考えています。

それは、ベルリオーズが少なくとも、ロメオとジュリエットという作品に、未来を感じていたのではと言う事です。舞台はイタリアで、原作はイギリスですが、普遍性を持つ物語です。シェイクスピアが書くと言うと言うは、本来二人が結ばれて欲しいという希望がないと書けないですし、同様の意見が広まってきていないと舞台にもかけられないわけなんです。

つまり、絶対王政から市民革命を経て、市民が力を持ってきた時代に置いてもなお、男女が家に縛られて結婚できないのはおかしいというかんがえ方です。シェイクスピアの戯曲には多分に社会風刺が含まれていることは多くの学者によって解明されているところです。ベルリオーズもまた、リベラルな思想で受け取ったことでしょう。ではそのリベラリズムを音楽でどのように表現したら伝わるだろうかと、苦心した結果が、この作品だと言えます。

さて、そもそもベルリオーズがこんな作品もと思い借りたのですが、もう一つ理由があって、指揮がエリアフ・インバルで、オケがフランクフルト放送響だということなんです。実は、不思議な法則があって、フランスの作曲者の作品をドイツのオケが演奏すると素晴らしいというものです。勿論その逆もしかりだと言われています。なら、素晴らしいのではないかという予測の下、借りたのです。

結果は、まさに法則通りだったのです。特にフランクフルト放送響なので、鋭いうえに豊潤なアンサンブルが、声楽がない部分で本領発揮です。素晴らしいカンタービレで、一度あらすじを読んで入ってしまえば、あ、ここはジュリエットを表現して歌っているなとか判るんですよねー。そのメリハリが十二分すぎ、難しいと言われベルリオーズ自身も時として抜かしていいとした第6部も、むしろ当時の前衛は今聴けばなんらふつうであるということがしっかりと浮かび上がり、ロメオとジュリエットの悲劇と、その犠牲の上で和解する両家という皮肉がピリリと効くわけなんです。

合唱団は3つの団体を使っていて、特にRIASが入っているのが、合唱にも生命力が溢れているものになっていると思います。両家が喧嘩すれども、神父の仲裁で我に返り、二人の犠牲を悼み、仲直りしていく様子は息をのみます。

ベートーヴェンの第九をベルリオーズなりにさらに進化せせたものが、この作品だとしたら、ベルリオーズが作品に込めた「想い」はさらに多くなるだろうと思います。恐らくそれは、私たちには多すぎるかもしれませんが、自由恋愛の現代においても、横恋慕する人が多いことを気が付かさせてくれます。ほら、わが国だって、プリンセスが結婚したいと言っても、あらぬ方向から横恋慕が入るじゃないですか・・・・・




聴いている音源
エクトル・ベルリオーズ作曲
劇的交響曲「ロメオとジュリエット」作品17
ナディヌ・ドゥニーズ(メゾ・ソプラノ)
ヴィンソン・コール(テノール
ロバート・ロイド(バリトン
ケルン放送合唱団(合唱指揮:ヘルベルト・シェルヌス)
シュトゥットガルトジークフンク合唱団(合唱指揮:ジョン・アルディス)
ベルリンRIAS室内合唱団(合唱指揮:マルクス・クレード)
エリアフ・インバル指揮
フランクフルト放送交響楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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