かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ヴィヴァルディ 宗教音楽全集1

神奈川県立図書館所蔵CD、今回からシリーズでヴィヴァルディの宗教音楽全集を取り上げます。

ヴィヴァルディの宗教音楽全集は、以前から借りたかった作品があったため、ならいっそ全集を借りてみようとなったのでした。それが、今回取り上げる第1集に収録されている、グローリアRV.589です。

グローリア (ヴィヴァルディ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%A2_(%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3)

この作品と出会ったのは、もう20年くらい前です。その時入っていた、宮前フィルハーモニー合唱団「飛翔」の音楽監督である、守谷弘氏が、合唱組曲「北のシンフォニー」の完成記念(と言っても実は中間発表みたいなもんだったんですが)で室蘭混声合唱団で初演をするから、手伝いにどうだろうと言われて、それではと答えて室蘭まで歌いに行った時に、1プロで室蘭混声合唱団が歌ったのが、グローリアでした。

そのリズムと和声にすっかり魅せられ、いつかは欲しいなあ、聴きたいなあと思いつつ、うん十年がたったのでした。その時、ふと県立図書館の棚を見て見れば、ヴィヴァルディの宗教音楽全集のトップを飾っているではありませんか!

構造からして、ウィキに記載がある推測である程度正しいのではないだろうかと私は考えていますが、それゆえにとても歌いやすい旋律とリズムで、その上で魅力的な作品でもあります。聴き手も思わずノリノリになりかねない、喜びに満ちた作品です。

少なくとも、この第1集に収録されている作品は全て、喜びに満ちあふれる作品ばかりです。ヴィヴァルディという作曲家の、豊かな才能があふれ出ています。

さて、このアルバムは実は面白い構成になっており、RV.589の導入部としてRV.642「深紅色で描かれた女」を置いています。ですので殆どアタッカに近い形でトラックが組まれています。それもそのはず、RV.642はRV.589の導入として作曲されたものなのですから。

RV番号が離れているので、つい別物と考えてしまいがちですが、RV番号のようなものは、枝番号がない限り、桁数によってジャンル分けがされていたり、適当に見つかった順番でつけられていたりすることが多いので、ヴィヴァルディのものも番号が離れてしまったわけです。ですが本来は一体のものであると考えていいわけで、ですのでこのアルバムでは一体としてすぐアタッカでグローリアが始まるようになっています。

まあ、こういったことは学術的にはとても大切なことなので私は評価していますが、聴き手としては「それはいいよ」ということも現代ではあるわけですね。その意味では、図書館で借りてきてリッピングして音楽ファイルとして持つ、ということはいいことだなって思いますし、いい時代になったと思います。これならグローリアだけを聴いてもいいし、RV.642と一体で聴いてもいいわけです。何で必要ないものまでついているんだ!といちいち角を立てなくてもいいですから。

演奏は、ヴィヴァルディでありながら、モダンのイギリス室内管弦楽団。でもとても古楽的な響きがします。一方で合唱団は聖歌隊なんですが、ネットでは情報を得ることができませんでしたので推測になりますが、恐らくオケがイギリス室内管なので、イギリスの教会聖歌隊だと思います。それゆえに、オケが古楽的にすっきりと弾いているにも関わらず、ビブラートが聴いていてオペラ的に聴こえます。ソリストも同じくビブラートが聴いていますが全く気にならないんですが、合唱団はノン・ビブラートとは言わないんでもう少しビブラートを抑えてもよかったんではって思います。それでも、力強い合唱は、喜びに満ち、聴く者を楽しませてくれます。

まあ、イギリス室内管であれば、バロックは得意なので、すっきりとしつつ生き生きとした演奏には定評あるので、当然の結果ではあると思いますが、旧西側の演奏だよなあって思います。あまりビブラートをきかせない部分もあり、それでも素晴らしいので私はそれでいいと思うんですが、やはり聖歌隊なので、つい力が入ってしまったのかもしれません。グローリアはその歌詞故に、キリスト教徒にとっては真に喜びの音楽なので。

ラテン語テキスト対訳 Latino - Japonicum
http://www.soundpie.com/dic/latin.htm

ですので、続くラウダーテ・プエリとラウダーテ・ドミニは適度に力が抜かれており、甘美な美しさがしっかりと表現できているのですが、グローリア冒頭は、少し力が入りすぎたかなって思います。それでも、魅力的には響くのですから、不思議なもんだと思います。まあ、所謂これが「プロ」なのです。

元々はアマチュア用に作曲されたであろうグローリアも、プロの手にかかればなんと魅力的な作品なのかと言うことを、あらためて認識させられました。こういう頭をガツンをやられる全集は、正直言えば大好きです。




聴いている音源
アントニオ・ヴィヴァルディ作曲
エルサレムよ、主をほめたたえよ RV.609
深紅色で描かれた女 RV.642
グローリアRV.589
ラウダーテ・プエリ RV.602
ラウダーテ・ドミニ RV.606
マーガレット・マーシャル(ソプラノ)
フェリシティ・ロット(ソプラノ)
アン・ムリ―(メッゾ・ソプラノ)
ブリジット・フィニッラ(コントラルト)
エドワルト・グレーメ(オーボエ
オルガ・ヘゲドゥス(チェロ)
エイドリアン・ベアーズ(ダブルベース
ロドニー・コンスタブル(オルガン)
ハロルド・レスター(オルガン2)
ジェフリー・テイト、アルステア・ロス(オルガン)
ジョン・アルディス聖歌隊
ヴィットリオ・ネグリ指揮
イギリス室内管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。



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