かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ヴィヴァルディ 宗教音楽全集3

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、ヴィヴァルディの宗教音楽全集を取り上げていますが、今回はその第3集を取り上げます。

この第3集、実は面白い編集になっています。最後に載せますが、よーく見ると、ミサ曲のキリエからクレドまでが並んだようになっているのです。

今の所、ここに並んだ作品のうち、関連があると認められているのはRV.639とRV.588で、RV.639がRV.588の導入部とされています(つまり、第1集のグローリアRV.589と同じ構図)。それ以外は関連がないとされているのですが、なぜかこの全集ではまるで一つのミサ曲のように並べています。

この他のグローリア
グローリア ニ長調 RV.588
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%A2_(%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3)#%E3%81%93%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%A2

そして、それが違和感ないんです。演奏も特段なにか変ったことをしているわけではなく、ただそれぞれ独立したものとして演奏しているだけなんですが、なぜか一つのミサ曲として不自然ではないんです。

では、それは何を意味するのかと言えば、これはバッハがプロテスタントとしてキリエやグローリアを作曲したのと同じなっている、と言う事なんです。ただ、ヴィヴァルディはカトリックですので、細かいことを言えば当然異なる訳なんですが、ミサ曲として作曲していないという点においては共通しています。

私はこう推理します。バロックの時代は、自作を使いまわすことはごく普通でした。ということは、ヴィヴァルディの作品も使いまわすことを前提に、ばらばらに作曲しておいて、適宜組み合わせてミサで使われたのではないか、と言う事です。

不思議なことに、これからどんどんご紹介していきますが、サンクトゥス以降がないんです。この第3集に収録されているクレドの解説が以下にありますのでご紹介しておきますが、恐らくヴィヴァルディの宗教音楽作品が全体の1割にも満たないのは、バロックという時代は他の作曲家の作品すら、自らの演奏で使うことが多かった時代だったからであると言えるでしょう。

クレド ホ短調 RV591」
http://pietro.music.coocan.jp/storia/vivaldi_credo_rv591.html

もっと言えば、形式とかあまりこだわる時代ではなかったとも言えるわけなんです。著作権で食べている時代でもなかったわけですから、相互に「使っちゃったから」「あらま〜、ま、いっかー、ぢゃあこちらもやるからね〜」っていう時代です。ヴィヴァルディが一つのミサ曲を作らなかったのも、それが理由ではないかって思います。まあ、それだけではないでしょうけど。もっと言えば、「作らせてもらえなかった」というほうが正しいと思います。

私達は、イタリアバロックにおいてヴィヴァルディは巨匠だと思っていますが、果たしてそうだったのでしょうか?当時はもっと名声を博した人がいたために、ヴィヴァルディは低く見られていたのではないでしょうか。だからこそ、むしろヴィヴァルディの作品には圧倒的に協奏曲やオペラが多いのではないでしょうか。それは古典派において、モーツァルトがそうだったように・・・・・

となると、このようにまるでモーツァルトのように「トルソ」が多いのは腑に落ちるってわけです。ヴィヴァルディはまだまだ作品が埋もれていると言われていますから、これからどんどん解明されていくことでしょう。

演奏も、とてもすっきりしていると言うか、自然に喜びが湧き上っている感じで、聴き手のこちらも自然と喜びに満ちてきます。喜びの共感の輪が広がっていくような感じです。モダンですが室内オケを使っているのが適切で、聖歌隊もこの第3集ではまったく無理せず、のびのびとした発声がより喜びの表現を増しているように思います。ヴィヴァルディの作品が持つ明るさと喜びが、奇をてらわらない表現で演奏されており、作品の普遍性がしっかりと認識できる、素晴らしい演奏だと思います。




聴いている音源
アントニオ・ヴィヴァルディ作曲
キリエ ト短調RV.587
愛すべき人々よ、喜びの叫びをあげよ RV.639
グローリア ニ長調RV.588
クレド ト長調RV.591
私は信じる ハ長調RV.605
私は喜んだ ヘ長調RV.607
マーガレット・マーシャル(ソプラノ)
フェリシティ・ロット(ソプラノ)
リンダ・フィンニ―(コントラルト)
アンソニー・ロルフェ・ジョンソン(テノール
エドワルト・グレーメ(オーボエ
ジョン・コンスタブル(オルガン)
ジェフリー・テイト(オルガン)
アルステア・ロス(オルガン)
オルガ・ヘゲドゥス(チェロ)
エイドリアン・ベアーズ(ダブルベース
ジョン・アルディス聖歌隊
ヴィットリオ・ネグリ指揮
イギリス室内管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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