かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ヴィヴァルディ チェロ協奏曲全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から4回に渡りヴィヴァルディのチェロ協奏曲全集を取り上げます。

ヴィヴァルディの協奏曲と言えば、最も有名なのは「四季」です。「四季」が協奏曲ですって言うと、え〜って答えが返ってくることもしばしばなんですが、あくまでも「四季」は「和声とインヴェンションの試み」」というテーマで書かれた協奏曲集です。

バロック期においては、交響曲はまだシンフォニアと呼ばれ明確な形もはっきりとしないジャンルで、花形は宗教作品か協奏曲でした。ですから、ヴィヴァルディの数多くの協奏曲を書いています。

その膨大な協奏曲の仲の一ジャンルが、チェロ協奏曲です。チェロ協奏曲と言えば、クラシックで一番有名なのは何と言ってもドヴォルザークですし、ドヴォルザーク以降の作曲家も書いているジャンルですが、まとめて何曲も残しているのは古典はあるいはバロック時代の作曲家です
。例えば、このブログにおいてはすでにボッケリーニを取り上げています。

神奈川県立図書館所蔵CD:ボッケリーニ チェロ協奏曲全集1
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1285

神奈川県立図書館所蔵CD:ボッケリーニ チェロ協奏曲全集2
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1288

神奈川県立図書館所蔵CD:ボッケリーニ チェロ協奏曲全集3
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1291

しかし、バッハはチェロ協奏曲を残していません。バロック時代においては実はチェロ、つまりヴィオラ・ダ・ガンバを使った協奏曲というのは珍しいのです。でも、それをやってのけたのがヴィヴァルディなのです。

その点だけを考えても、イタリアという地域は如何に当時音楽の先進地域だったかが分かります。少なくとも様式的にはそうです。面白いのは、バロックと言う時代はそれでもイタリア、フランス、ドイツと言った地域でそれぞれ影響しあいながらも独自に音楽が発達し、優れた作曲家が幾人も出たと言うことなのです。ヴィヴァルディはその一人にすぎません。

そんななかで、ヴィヴァルディはこのチェロ協奏曲では特段新しいことをやっているわけではありません。そもそも、3楽章形式で独奏楽器演奏中に他の楽器も演奏されるというスタイルはバロック時代先進の様式ですし、その先進の様式を惜しみなくチェロ協奏曲にも使っているという、実に贅沢な作品たちです。それが、20曲近くも存在すると言う事実・・・・・

その、ヴィヴァルディの贅沢な作品がすべて収録されたというのは、本当に素晴らしいことです。とはいえ、この全集はウィキで挙げられているもの以外も収録されています。

チェロ協奏曲
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%81%AE%E6%A5%BD%E6%9B%B2%E4%B8%80%E8%A6%A7

この第1集では、RV420、RV414、RV417、RV421の4曲がウィキには載っておらずこの全集には収録されたものです。で、同じウィキでRV番号順でひいてみると、みごとに載っています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%81%AE%E6%A5%BD%E6%9B%B2%E4%B8%80%E8%A6%A7#.E3.83.81.E3.82.A7.E3.83.AD.E5.8D.94.E5.A5.8F.E6.9B.B2_2

全27曲!バッハですら全くだったことを考えるとこの数字は驚異です、たとえバロックの作曲家が一つのジャンルをたくさん作曲するとはいえ、です。それだけ、そのジャンルが求められたことを意味し、その点だけでも、イタリア・バロックの豊かさが見え隠れする作品たちです。

その上で、例えばRV414が賢著なのですが、諧謔的な旋律もあって、いかに音楽を楽しむかが、ヴィヴァルディのチェロ協奏曲では顕著だと言えます。そもそも、ヴィヴァルディの協奏曲は、本人が教えていたヴェネツィアピエタ慈善院付属音楽院のオーケストラのための書かれたものが殆どですから、これらチェロ協奏曲もその一つだと言えます。

演奏はそのことを十分承知したうえのように思われます。端正で美しいのはもちろんなのですが、何と言っても演奏が生き生きとしているだけでなく、その生きの良さから生命力があり、演奏家たちが楽しんでいるのが目に浮かぶようだからなのです。こういった演奏が聴けるのは本当に素晴らしいなあって思います。購入しても安いナクソスなのに、図書館で借りてこれるんですから・・・・・県民の皆さんは、是非。

オケはシティ・オブ・ロンドンシンフォニアと、ナクソスではおなじみのオケです。そのオケと楽しそうに協奏する独奏者もまた楽しそうで、クラシック音楽はつまらん!と言う人には是非とも聴かせてほしい作品たちと演奏だと思います。




聴いている音源
アントニオ・ヴィヴァルディ作曲

チェロ協奏曲ト短調RV.416
チェロ協奏曲ヘ長調RV.411
チェロ協奏曲ニ短調RV.405
チェロ協奏曲イ短調RV.420
チェロ協奏曲ト長調RV.414
チェロ協奏曲ト短調RV.417
チェロ協奏曲イ短調RV.421
ラファエル・ウォールフィッシュ(チェロ)
ニコラス・クレーマー指揮
シティ・オブ・ロンドンシンフォニア

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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