かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ヴィヴァルディ チェロ協奏曲全集4

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、元音源ナクソスの、ヴィヴァルディのチェロ協奏曲全集を取り上げていますが、今回はその第4週を取り上げます。

番号順ではないこの全集は、切り口(編集)に特徴を持っているということになろうかと思いますが、この第4集は明らかに、ヴィヴァルディという作曲家の「先進性」が特徴になっていると言えるでしょう。

ヴィヴァルディの先進性については、すでに「四季」を取り上げた時に述べていますが、その時は古典派的な楽章構成から述べたと思います。でも、この全集によって、それは決して「四季」だけではなく、むしろヴィヴァルディの様々な「独奏楽器による協奏曲」の特徴であると言うことが分かって来たのではないか、と思います。

その上で、この第4集は、和声と様式に注目していると言えるでしょう。ト短調RV.416やニ短調RV.405などがその典型なのですが、ギャラント様式的な和声がどんどん出てくるのです。さらに独奏楽器がオケとトゥッティでいきなり出る(イ短調RV.420)など、ベートーヴェンの「皇帝」やメン・コンのような様式も見えます。

バロックの作品でありながら、その後の有名曲の様式的萌芽が見える・・・・・ギャラント様式は大バッハの息子達や、モーツァルトの様式ですから、やはりバロックとしては当時明らかにアナーキーなさくひんだったと言えるでしょう。

このようなヴィヴァルディの先進性に視点が行くことは、現代ではあまりありません。なぜなら、その先進性は音楽において「当たり前」だからです。でも、音楽史を勉強しますと、いやあ、「トンでもねえ曲だぜこいつは!」となるんです。ヴィヴァルディの作品はそのようなものが本当に多く、聴いていて飽きが来ません。

確かに一時聴き飽きたとしても、またしばらくたって、久しぶりに聴いてみようかなと思わせるのがヴィヴァルディという作曲家の作品たちの不思議な点です。

そんな作品たちを、ごく当たり前のように涼しい顔をして演奏する、チェロのウォールフィッシュ。歌うようなその演奏には、これまで3つのアルバム同様に、生命力が宿り、音楽を演奏する、あるいはそれを含めた「生きる」ということに対する喜びに満ち溢れています。サポートするオケのシティ・オブ・ロンドンシンフォニアも抜群の生きの良さ。まさに協奏するという表現がぴったりの、息の合った点を見せています。

この二つの要素が絡み合い、全体として和声がバロックとして先進性を持っているにもかかわらず、しっかりとした美がそびえたち、しかしそれは決して低くはなく、かといってシャープであるのです。作品を演奏で語るかのような、まさに玄人の素晴らしい仕事を見させてくれています。




聴いている音源
アントニオ・ヴィヴァルディ作曲
チェロ協奏曲ト短調RV.416
チェロ協奏曲ヘ長調RV.411
チェロ協奏曲ニ短調RV.405
チェロ協奏曲イ短調RV.420
チェロ協奏曲ト長調RV.414
チェロ協奏曲ト短調RV.417
チェロ協奏曲イ短調RV.421
ラファエル・ウォールフィッシュ(チェロ)
ニコラス・クレーマー指揮
シティ・オブ・ロンドンシンフォニア

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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