かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ナクソスN響アーカイヴシリーズ 別宮貞雄 ヴァイオリン協奏曲他

今月のお買いもの、平成29年7月に購入したものを御紹介しています。今回はe-onkyoハイレゾ販売サイトで購入しました、ナクソスN響アーカイヴシリーズから、別宮貞雄のヴァイオリン協奏曲他を集録したものを御紹介します。

このようなアルバムをハイレゾとしてご紹介できることは、本当に素晴らしいと思います。最近はCDで販売していもまったくおかしくないんですが、じつはこのシリーズは、ディスク販売は今の所予定されておらず、配信だけというのがミソです。

NHKは膨大なアーカイヴを保有しており、かねてからクラシックファンの間では、ディスク化を望むものが数多くありますが、一旦はそれを保留しておいて、このような少し斜に構えた企画を通してくるなんざあ、伊達にヨーロッパの放送局から音源を借りてきている放送局ではないですよ、本当に。

で、このアルバムもそもそもはかつてNHKで放送されたアーカイヴなのですが、元音源は、テープなのですね・・・・・

赤井電機のエンジニアであった、私の父はこう予言していました。テープはプラスティックだ、いつまでもメディアの中心にはいない。俺は技術屋だからデッキにこだわるが、その最後の時代に設計屋をやっているという意識がある。いずれ、「石(つまり、半導体)」の時代がくるだろう、と。

その予言通り、今やメディアの中心に座っているのは、USBやマイクロSDカードと言った、半導体内臓のメディアです。小ささを追求していけばそうなるのは自明の理でしたが、私はそこにさらに人間の欲望を「かけて」、大容量メディアの時代が来ると、このブログで予言したのでした。

このシリーズはいわば、旧メディア、テープで録音されたものを、DLという現代の最先端のメディアで販売するという、画期的な取り組みです。その苦労は素材であるプラスティックの特質にあり、下記にその裏方さんの苦労話のURLを上げておきたいと思います。

インタビュー
歴史的価値ある音源が甦る 「N響アーカイブシリーズ」 、誕生の舞台裏に迫る
http://www.phileweb.com/interview/article/201207/18/150.html

予言通り、配信のみのアルバムが出た、と言えるでしょう。今までご紹介して生きたハイレゾアルバムは全て一旦CDで出ているものです。しかしこれは配信のみ。一応、レーベルはナクソスですが、NML、つまりmp3での配信を中心としていますが、いくつかをピックアップして、ハイレゾで配信しています。できればすべてハイレゾで配信してほしいなあと思います。クラシック・ファンはそれを望むであろうと思います。

さて、技術者が苦労してよみがえらせたこのアルバムですが、音質は本当に素晴らしいです!テープが元音源であるだけに、プツプツといったノイズは一切なく、まるで最近録音されたようにクリアです。そこから湧き上るのは、日本のクラシック作品の素晴らしさです。

1曲目は、別宮貞雄作曲のヴァイオリン協奏曲。不協和音多様の20世紀音楽が嫌いだった別宮先生(中央大学の教授だったので親しみを込めてこう呼ばせて頂きます)が、思いっきり20世紀音楽の影響を受けながら、そこに旋律をしのばせ、旋律の存在感を浮き上がらせた名作だと言えます。黒沼女史のヴァイオリンは艶があり、20世紀音楽であっても人間的な美しさを表現することは可能であることを、見事に証明してみせています。サポートするN響もところどころアンサンブルが乱れる部分はありますがプロだけに崩壊することはなく、しっかりとしたアンサンブルを見せています。

2曲目は、ピアニストとして有名な高橋悠治の「非楽之楽(オーケストラのための矛盾)」です。ウィキにおける「左翼系虚無主義に陥ることなく」というのは、この作品を聴いたうえでなのかなあって思います。別に左翼を毛嫌いしていたのではないはずだと思うのですが・・・・・本当に音楽史を知っていれば、出てこない言葉です。その点では、高橋悠治に関するウィキのページは取り扱い注意です。

高橋悠治
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%8B%E6%82%A0%E6%B2%BB

非楽之楽は、オーケストラにおいてオーケストラではないものを表現しようとする意欲作です。指揮者はいませんし、一つにまとまってもおらず、グループに分かれています。指揮者と言う絶対的存在を否定し、その上で各自が音を紡ぎだしていく・・・・・N響が見事に成功させているのは素晴らしいと思います。

最後の作品が、入野義朗の「ヴァンドルンゲン」。彼のウィキのページでは「二本の尺八とオーケストラのための「転」」とされている作品です。尺八2本とオケと言う編成は珍しく意欲的ですが、視点を変えればとても西洋的で、尺八という我が国の楽器を使った「幻想曲」だと言えます。ウラジオストック生まれだけあって、12音の専門家的なイメージがありますが、ここに提示されている演奏は見事なアンサンブルでは、逆にその存在感と美しさがはっきりと浮かび上がっていると言えるでしょう。

入野義朗
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A5%E9%87%8E%E7%BE%A9%E6%9C%97

どれも素晴らしいのはN響のアンサンブルです。60年代から70年代のN響が以外にも素晴らしいアンサンブルを持っていることを明確にしたと言えますし、また一方で我が国には埋もれている素晴らしい作曲家がいるんだということを明確にしたアルバムだと言えるでしょう。こいつは是非とも、そのほかのもDLしたいなあと思います!




聴いているハイレゾ
別宮貞雄作曲
ヴァイオリン協奏曲
高橋悠治作曲
非楽之楽
入野義朗作曲
轉(てん)〜二本の尺八とオーケストラのための〜
黒沼ユリ子(ヴァイオリン)
田中信昭(朗読)
青木静夫(尺八)
横山勝也(尺八)
若杉弘指揮(ヴァイオリン協奏曲)
尾高忠明指揮(轉)
NHK交響楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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