かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:リリー・ラスキーヌの芸術1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から3回に渡り、リリー・ラスキーヌの芸術と題されたアルバムを取り上げます。

さて、リリー・ラスキーヌと言えば、有名なハープ奏者ですが・・・・・

リリー・ラスキーヌ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%8C

彼女は、決して恵まれた家庭に生まれたわけではありません。借りてきたCDのブックレットには、父親が娘を望んでいなかったので、「無用の子」と落胆したことが書かれています。ラスキーヌはそういう家庭の中で育ったのです。

ですから、実際はとても自立心を持った人間として育ったことが、キャリアからははっきりとうかがえます。ラスキーヌが幸いだったのは、それでも家庭には音楽が溢れて居た、ということです。

今回取り上げる第1集では、このブログで以前取り上げた作品がほとんどなので、作品にはあまり言及はしませんが、ヴィヴァルディからゴセックまで取り上げるそのセンスは、さすが本場だなあと思います。日本だと正に最後のゴセックはまずありえませんからね・・・・・

それでも、ヴィヴァルディは本来先進的な作曲家ですが、ここでは保守的な作品が取り上げられています。ヴィヴァルディが作曲した時代の本来の協奏曲の姿が浮かび上がります。合唱協奏曲の形をとった作品から、古典派のがっちりとした協奏曲までを網羅してみせ、その上で演奏は実に端正、端麗にして、美しい・・・・・ハープが歌っています。

ウィキでも取り上げられている、名演と言われるモーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299」は3曲目ですが、以前取り上げた演奏に比べますと、少しどっしりとした印象があり、テンポ感としては私は以前のほうが好きですが、全体的にはこの演奏も素晴らしいと思います。そのどっしり感があっても、重くないんです。フルートは歌い、ハープは寄り添い、通奏低音的なのに、独奏ではしっかりと歌い、艶もある・・・・・

私はそこに、彼女の人生を掬い取るんですね〜。まさしく、ブックレットに書かれている通り、音楽が好きなんだなあ、と。そして、ブックレットに書かれていてウィキに書かれていない点は、音楽院でしかレッスンを受けていない、という点です。これは驚愕ですが、好きなのであれば、貪欲に様々なものを吸収していく・・・・・そんなラスキーヌの姿勢が見て取れるのです。

元々、独りの芸術家を特集したものを買ったり、借りたりすることはあまり私はしません。音楽家にこだわるということをあまりしないためです。カラヤンだから買うと言うこともしてきていませんし、どの芸術家に対しても私は是々非々です。しかし、たまには一人の芸術家の演奏をじっくりと聴いてみたい・・・・・そんな気になったのです。

それを以前からしていないわけではありません。瀬川氏や白川氏の演奏会に行くことは、独りの演奏家がさまざまな作品を演奏する場に立ち会うことですから、それ自体を否定していはいないんです。ただ、これまではいろんな曲が聴きたいため、「ある芸術家が演奏しているから」という理由ではめったに選択はしなかった、と言う事です。瀬川氏も白川氏もリアルで知っているからこそ行きたいと思うのであって、図書館や店頭で見たからと言って、この人だから!と言う理由はほとんどありません。

ですが、この音源に関しては、レーベルがエラートなんです。音楽史を踏まえた編集の上で、名人ラスキーヌの演奏を採り上げるのであれば、冒険してみよう・・・・・そんな気になったのです。じつは、私としては初ラスキーヌ。ですから、借りた当時、どんな演奏なんだろうというワクワク感は半端なかったです。しかし見事に期待に応えたのがこの音源でした。ヘンデルのハープ協奏曲は一度は聴いたことがある作品だと思いますが、私としては3つの音源を手に入れていますが、このラスキーヌの演奏も艶があって素晴らしい!自分の豊かさが拡がっていく感じがします。

そう、一度聴いている作品であるにも拘らず、以前の演奏が陳腐には聴こえないのに、ラスキーヌの演奏も素晴らしく感じるんです。これは実はすごいことです。他の演奏を否定していない、その上で自分の個性を演奏に乗せているってことなんですから。でも、決して変態演奏ではありません。それでも、名人としての技術と才能が溢れて居る演奏なんです。ほれぼれします・・・・・

その上で、ゴセックは古典派の作曲家ですが、埋もれていると言わざるを得ません。いや、日本では殆ど演奏家以外には知られていないと言うべきでしょう。本場ヨーロッパでは、演奏する楽器によって様々知られている作曲家がいることをこのアルバムは教えてくれますし、ラスキーヌも決して手を抜いていません。むしろ、作品自体が持つ清らかさが全面に出ている名演だと思います。

まず第1集から、発見の数々・・・・・こういうアルバムに巡り合えることは、本当に幸せです。




聴いている音源
アントニオ・ヴィヴァルディ作曲
協奏曲ハ長調《聖ロレンツォの祝日のために》RV556
―2つのトランペット、2つのフルート、オーボエ、チェロ、ハープ、オルガン、チェンバロ弦楽合奏のための
オルグ・フリードリッヒ・ヘンデル作曲
ハープ協奏曲変ロ長調作品4-6
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299
フランソワ=ジョセフ・ゴセック作曲
協奏交響曲ニ長調
リリー・ラスキーヌ(ハープ)
オデット・ル・ダンチュー(ハープ)
ジャン=ピエール・ランパル(フルート)
マクサンス・ラリュー(フルート)
ピエール・ピエルロ(オーボエ
マリー=クレール・アラン(オルガン)
ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(チェンバロ
ジャン=フランソワ・パイヤール指揮
パイヤール室内管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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