かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:リリー・ラスキーヌの芸術2

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、リリー・ラスキーヌのハープによる協奏曲集を取り上げた「リリー・ラスキーヌの芸術」を取り上げていますが、今回はその第2集です。

収録されている作品たちは、どれも日本ではあまりなじみのない作曲家ばかりです。クルムフォルツ、ポイエルデュー、そしてボクサ。しかし、このうちクルムフォルツとボクサはハーピスト、なんですね。成程〜って思います。

何でって?ハーピスト・ラスキーヌらしい選曲じゃあありませんか!ポイエルデュー(1775年-1834)も転調や調性が独創的で、作曲当時の時代(1801年)の約束事を見事に裏切っているにもかかわらず、その調性が生み出す陰影がとても素晴らしい作品です。

時代的には、古典派〜前期ロマン派の時代の作品が並んでいますが、じつは作曲されたのは1814年までと、実に古典的な作品なのです。一番古いのがクルムフォルツのハープ協奏曲第6番ヘ長調作品9で1785年前後、ポイエルデューのハープ協奏曲ハ長調が既出で1801年、そしてボクサのハープ協奏曲第1番ニ短調作品15が1814年です。ですから、形式あるいは様式的にはあまり冒険はしていません。唯一と言っていいのが、ポイエルデューです。

でも、古典的なはずのボクサの作品も、流麗で歌うようです。前期ロマン派の、モーツァルトからの影響を受けているような感じがしっかりと出ている作品です。クルムフォルツの作品も、前期古典派と後期古典派(つまり、ベートーヴェンの時代)をつなぐような様式を持っていますが、音楽的には明朗で、素晴らしいものです。

こういった作品たちを、しっかりとハープで歌っているんですよねえ。さすが、これぞ職人です。オーケストラ作品、とくに交響曲を聴いてばかりいますと、このような個性に対して盲目になる傾向がありますが、私はそれを恥じたいと思います。さすがラスキーヌ!決して自分勝手にならず、アンサンブルしながらも、しかし個性が演奏に滲み出る・・・・・これぞ、真のアンサンブルだと思います。

そして、ハープのための協奏曲がこれだけあるんだと、気付かせてくれるのもいいですねえ。しかもそれぞれの作品の演奏が生き生きとしている。それはラスキーヌの作品へのリスペクトなのでしょう。特にクルムフォルツとボクサに関しては、同じハーピスト。だから、なるほどなあと思った、と言う訳なんです。それはリスペクトへと繋がっていくわけなんですから。ピアニストが同じピアニストであった、バッハやベートーヴェンモーツァルト、リストやショパンドビュッシーラヴェルの作品を弾くのと一緒です。

今回は時間と紙面の関係で各作曲家の説明はだいぶ端折っていますので、是非とも読者の方は疑問に思われましたらググっていただきたいなと思いますが、まだまだわが国で知られておらず、でも演奏家は知っているという作曲家はたくさんいます。クラシックのすそ野を広げるためにも、演奏家は知っているけれども・・・・・という作曲家の作品も、オーダーしてみるというのも、私たち聴衆の役割でもあるんじゃないかな〜って思います。ベテランの方たちに是非とも、お願いしたいと思います。これらの作品は聴衆だって十分楽しめる作品です!

その意味では、私はこの演奏に、ラスキーヌの秘められたメッセージを受け取っています。もっといろんな作曲家に目を向けて、それぞれの楽器の演奏者が食えるようにしてほしい・・・・・そんな願いを、です。




聴いている音源
ジャン=バッティスト・クルムフォルツ作曲
ハープ協奏曲第6番ヘ長調作品9
フランソワ・アドリアン・ポイエルデュー作曲(復元:カルロ・ステューバ―)
ハープ協奏曲ハ長調
ロベール・ニコラ・ボクサ作曲
ハープ協奏曲第1番ニ短調作品15
リリー・ラスキーヌ(ハープ)
ジャン=フランソワ・パイヤール指揮
パイヤール室内管弦楽団
ジャン=バティスト・マリ指揮
ラムルー管弦楽団(ボクサ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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