かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ヴィヴァルディ 宗教音楽全集4

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、ヴィヴァルディの宗教音楽全集を取り上げていますが、今回はその第4集です。

この第4集に収録されている作品は、実は一見古典派的に聴こえるんです。でも、ヴィヴァルディはバロックの作曲家のはずですよね?

私は、「マイ・コレクション」で「四季」を取り上げた時に、こう述べています。

「この曲は、ヴィヴァルディの作曲ですから当然バロックの曲ですし、編成もいかにもバロックです。しかし、その構造は・・・・・あれ、これってバロックだったっけ?

ヴァイオリンが必ずしも独立せず、オケとアンサンブルをしている・・・・・つまり、はっきり言って「ヴァイオリン協奏曲」であるわけです。そうなりますと、もう古典派、あるいは前期ロマン派です。少なくとも、バロックであるにも関わらず、構造的にベートーヴェンの時代とほぼ一緒・・・・・・

これは、前にモーツァルトのピアノ協奏曲でも少し触れたことがあったと思いますが、古典派以前は、独奏楽器の演奏があるときには通常オケはお休みです。それが、これはバロックであるにもかかわらず、オケと普通に一緒に演奏しています。

私はこれを初めて聴いたとき、「それは当たり前だ」と思っていましたが、協奏曲の歴史を紐解いていきますと、それは当たり前ではないということに気がつきました。なんとこの曲は革新的だったのか・・・・・」

マイ・コレクション:ヴィヴァルディ 四季 イ・ムジチ/カルミレッリ
http://yaplog.jp/yk6974/archive/396

そう、ヴィヴァルディという作曲家は、ともすれば時代の先を行っていた作曲家だと言えるでしょう。ですから、こういった宗教音楽よりも、オペラなどが多いのは当たり前なんです。先進的な作曲家は常に、叩かれる運命にあるわけです。モーツァルトが実際そうだったように。でも、その先進性と普遍性ゆえに、ヴィヴァルディの作品が残り、当時もっと演奏されていたであろう作曲家の作品は消えうせた・・・・・と言う事です。

勿論、クレドが独立した作品となっているなど、バロックの気風が残っている作品たちです。でも、フーガも少なく、カノンが多いなど、後にモーツァルトがミサ曲を作曲するための準備が、まるでここで整ったかのようです。それはむしろ、ヴィヴァルディが現場の芸術家だったからかもしれません。つまり、教会のアマチュア用として・・・・・

演奏は、この第4集は実に生命力と喜びに満ちています。ビブラートがきいた発声も、力強い喜びを表現するのに絶妙ですし、力が適度に抜けているのもいいです。あのグローリアはいったいなんだったんだろうと思う限りです(とはいえ、グローリアも素晴らしい演奏でした!)。

その上で、実にドラマティックでもあるこれらの作品を、のびのびと歌っているのは本当にすがすがしいです。何か強迫されるのではなく、自らの内からいずるような感じで、だからこそこちらもなんだか喜びに満ちてきます。いや、私は仏教徒ですけれど・・・・・

つまり、作品がしっかりと「喜びがうちより沸きいずる」という点において、しっかりと普遍性を持っているからこそ、異教徒である私も聴いていて喜びを感じるのだと思います。喜びの普遍性を芸術にするということはそれだけ、ヴィヴァルディに才能がある証拠ですが、それをさらりと演奏にて表現するのは、さすがだと思います。




聴いている音源
アントニオ・ヴィヴァルディ作曲
主よ、私をお助けください ト長調RV.593
幸いなるかな ト長調RV.597
マニフィカト ト短調 RV.610
クレド ト長調 RV.592
マーガレット・マーシャル(ソプラノ)
フェリシティ・ロット(ソプラノ)
アン・ムライ(メゾ・ソプラノ)
スーザン・ダニエル(メゾ・ソプラノ)
リンダ・フィンニ―(コントラルト)
アンネ・コリンズ(コントラルト)
アンソニー・ロルフェ・ジョンソン(テノール
ロベルト・ホル(バス)
トーマス・トマシェク(バス)
オルガ・ヘゲドゥス(チェロ)
エイドリアン・べアース(ダブルベース
ジェフリー・テイト(オルガン)
アルステア・ロス(オルガン)
ジョン・アルディス聖歌隊
ヴィットリオ・ネグリ指揮
イギリス室内管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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