第4番は、私の中では基準になる演奏があります。それはカルロス・クライバー指揮南ドイツ放送交響楽団の来日時の演奏です。ノリノリのその演奏は、他のどっしりとした演奏とは異なり、気品があるうえに、生命力が宿る、素晴らしいものでした。
このバレンボイムとシュターツカペレ・ベルリンの演奏は、それに匹敵するものです。この組み合わせ以外では、飯守泰次郎指揮東京シティ・フィルしか、私はノリノリの演奏を思い出すことができません。
それくらい、レアな演奏が、何とハイレゾで、なんです。ハイレゾだけにダイナミックレンジも広く、ヴォリュームを大きくしないと細部が聞き取れませんが、聞き取れてしまえばppからffまではとても自然ですし、さすがハイレゾだと思います。
それよりも、バレンボイムのテンポ選択が見事です。まるでクライバーのような演奏がそこにはあります。北ドイツに属するシュターツカペレ・ベルリンで、まるで南ドイツのような豊潤な演奏が味わえるとは!というより、それぞれのオケがポテンシャルとして持っているものを、しっかりとバレンボイムが引き出しているとみるべきでしょう。さすがとしか言いようがありません。
テンポは比較的速いにも関わらず、一音一音はとても丁寧ですし、各パートも聴き取りやすいんですね。それはハイレゾということもあるとは思いますが、そもそも演奏がごちゃごちゃしていないために現出しているとみるべきです。その点が本当にいい!
実は、クライバーはともすれば突っ走りすぎることがあるんです。それが生命力があるんだけれどもすこし乱暴になるきらいがあるのに対し、このバレンボイムはその点が気品を保っているんですね。これはクライバーより優れた点かも知れません。オケもテンポ感をしっかりと保つことに集中できていて、音だけなのに、オケがまるでニヤリとしながら楽しんで演奏しているのが見えるかのようです。
やはり、第4番って、オケが楽しそうに演奏することにより生命が宿るように思います。ベートーヴェンがそのように作曲しているようにすら思えるんです。第3番と第5番の間に挟まれた「乙女」どころか、とてもたくましい緩衝国家のようです。
こういう演奏が全集で聴けるって、本当にしあわせだなあって思います。第4番でこのような演奏が聴けるって言うのは、それまでの第3番までの演奏を踏まえると、この先の作品の演奏を聴くのが本当に楽しみになります。
聴いているハイレゾ
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第4番変ロ長調作品60
ダニエル・バレンボイム指揮
シュターツカペレ・ベルリン(ベルリン国立歌劇場管弦楽団)
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村

にほんブログ村

にほんブログ村

にほんブログ村