かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ヨハネ受難曲1725年版2

今月のお買いもの、平成29年1月に購入したものを御紹介しています。今回は古楽カフェの会場にて購入しました、ヨハネ受難曲1725年版の後半をご紹介します。

一応、ヨハネ受難曲の1725年版というものがどのようなものなのか、おさらいしておきましょう。

バッハの受難曲とヨハネ受難曲の変遷
http://www.prmvr.otsu.shiga.jp/ensemblevoce/Bach/Bach24.html

正確には、「第2稿」と言われるものです。前半でいくつか新しく挿入されており、冒頭合唱はマタイの第1部最終合唱に置き換えられていることを、前回は述べました。

さて、ではこの後半はどうかといえば、変わっているのは最終合唱だけで、後は全く変わらないのです。つまり、一番コアな部分には全く手が入っていない、ということになります。

あれ、そうなると、BCJ鈴木雅明氏の指摘は誤りなんじゃないの?って、前回の私のエントリを読んでくださっておられる方は考えるかもしれません。しかし、私は整合性をもつと考えます。つまり、コアな部分だけに、変えられなかったのだ、と、

始めは、全く異なるものにしようとしていたとして、さて、ではどうしても前回のヨハネを使わないと行けなくなったとしたら、そのコアな部分を買えてしまうのは至難の業です。ですから、変えられなかった、と言うのが、鈴木氏の指摘を支持する私の結論です。

ということは、当時ヨハネ受難曲は結構人気であったこともうかがわせる部分だと思います。しかも、それは改訂の度にオリジナルへと戻っていったのはなぜか、という点に一つの回答を導き出します。つまり、バッハと同じく、聴衆も、オリジナルを支持したのです。ゆえに、現在演奏されている「第4稿」は初稿に限りなく近くなっている、と言えるのではないでしょうか。

御紹介したブログだけで結論を出すのは早計ですが、ライプツィヒにおいて、バッハという存在は単に保守的な教会のカントルというだけではなく、新しい音楽のサロンであったのはないか、と想像できます。実際バッハはトーマスカントル就任後、晩年は息子達と一緒に「コレギウム・アウレウム」を結成してコンサート活動を重視しています。それは息子達のためでもあったでしょうが、息子達という身内の「味方」をつけ、支持する仲間たちと新しい音楽を追求する場でもあったのではないかと思います。実際、コンサート用に書かれた作品が、協奏曲として数多く残されています。

受難曲の変遷から、世俗曲におけるバッハのスタンスが見えてくるとしたら、それもまた興味深いものです。そんな視点での演奏が聴ければ、この先また楽しみはふえると言うものです。

演奏は、前半と一緒で、多少物足りないものになっていますが、さすがに磔刑までの部分では鬼気迫るものがあります。特にエヴァンゲリストは熱を帯びてきます。一方で合唱団は淡々と演奏をしています。そのてんがBCJの第4稿の演奏を聞き慣れている私としては物足りなさを感じます。ヘレヴェッヘのものはどうなっているんだろう?とそれも聴いてみたい気持ちもあります。

一方で、その淡々とした物足りなさは、演奏者たちの校訂の結果、とも言えるかもしれません。つまり、この第2稿までの受難曲はあまりドラマティックではなく、こういった淡々としたものだったのだ、という意思表明です。その上でのものであれば、納得もできるかなって思います。一方で、バッハが進取の姿勢を持っていたとすれば、BCJのようにドラマティックにするのもアリです。実際に、磔刑から復活までの部分は、その淡々とした演奏でも聴きごたえ十分です。むしろじんわりと感動が湧き上がってきます。

その意味では、ヨハネという作品は難しい作品なのだなと実感します。演奏者達がどれだけの議論や思考を重ねて、演奏と言う表現に辿りついているのかを、振り返させてもらった気がします。その意味では、この演奏はアリ、ですね。その上で、この第2稿のヘレヴェッヘの演奏が聴きたいと思わせてもくれました。それはこれからじっくりと探し求めることができればって思います。できれば、ハイレゾであると嬉しいんですけどね〜。




聴いているCD
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
ヨハネ受難曲BWV245
マッハテルド・ブラウマンス(ソプラノ)
マールテン・エンゲルティス(アルト)
マルセル・ベックマン(テノール
マティス・ファン・デ・ウォールト(バス)
フランス・フィゼリエル(イエス
ザ・ラ・フリア・アンサンブル(合唱)
ニコ・ファン・デル・メール(指揮、エヴァンゲリスト
コンセルト・ドゥ・アムステルダム
(Quintone Q08001-2)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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