かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:英語版 バッハのヨハネ受難曲

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はバッハのヨハネ受難曲を取り上げます。しかも英語版。

いやあ、勿論図書館でヨハネ受難曲を借りてくるのはやぶさかではないんですが、英語のヨハネって、一風変わっていますでしょ?そりゃあ、通常のドイツ語での演奏よりも食指は動くってもんです。

で、ヨハネなので通常は2枚組なんですけど、あえて今回は二ついっぺんに行きます。

よくあることに、ドイツ語のものが英語になると、どこか軽薄に聴こえるってことなんです。第九なんかでそれはありがちなことなんですが(勿論、歌詞によってはそんなことはないんですが)

このヨハネ、けっこういいんですよ。しかもところどころ、ドイツ語的な部分もあったりして、けっこう聴けます。耐えるどころか、ドイツ語と並んでいいので張って思います。特に冒頭合唱のテンポがいい!

それだけで、歌詞がドイツ語か英語かなんてどこかへ行ってしまいますが、実はドイツ語と英語は似た言葉も沢山あるんです。そのため、ドイツ語で聴き慣れていても、遜色ない景色が広がっています。

その典型が、実はメサイアだったりするわけです。モーツァルトの編曲を聴けば、意外と行ける部分があるのに気が付きます。それはヘンデルがもともとドイツの出身であり、作曲するときにドイツ語でも行けるように作曲した可能性を示唆しています。

バッハのヨハネの場合、バッハはイギリスに行ったことがないですから、英語でも歌詞をつけることを念頭にはおいていないはずなんですが、それでも宗教にかかわる言葉は似たものがあるため、英語にしてもあまり遜色ないと言うのだと思います。

その上で、英語版でもそん色ないと言う点こそ、バッハの音楽が普遍性を持っている証拠だと思います。むしろ、演奏しているケンブリッジ・キングス・カレッジ聖歌隊が英語だからこそ気持ちがこもっている演奏でもあります。指揮は比較的どっしりした演奏ですが、ところどころ古楽的な部分もあり、BCJになれた私でもすっと入っていけるのがいいです。

エヴァンゲリストも熱が入っていますし、ソリストもですね。それは英語だからこそだろうと思います。それゆえに、ドイツ語の演奏に匹敵する、素晴らしいものになっていると思います。

オケはモダンの室内オケ。なのでモダンなんですがどこか古楽的でもあり、古楽から入った人でもさらに聴きやすいのではないかって思います。

さらに言えば、ヨハネは「決然と人類の原罪を背負って死にゆくイエス」を描いたものです。ヒロイックなものが好きなアングロ・サクソンとしてはさらに熱が入りやすかったのかもしれません。「情熱と冷静の間」のバランスが絶妙であり、多少テンポ的にあれって私としては思う部分も、しっかりと聴かせてくれるのはいいですね。指揮するウィルコックスは確かバロック作品の指揮では定評がある人で、説得力のある演奏は納得です。

こういう驚きと気づきがある演奏を聴くことは、本当に素晴らしいものだと思います。




聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
ヨハネ受難曲 BWV245(英語版)
ペーター・ピアーズ(テノール福音書記者)
デイヴィッド・ワード(バス、イエス
エリザベス・ハーウッド(ソプラノ、マグダレーナ)
リンドセイ・ヒーザー(テノール、ペトロ)
ブライアン・エザリッジ(バス、ピラト)
ヘレン・ワッツ(コントラルト)
アレクサンダー・ヤング(テノール
ハーヴィ―・アラン(バス)
ケンブリッジ・キングス・カレッジ聖歌隊
サー・デイヴィッド・ウィルコックス指揮
フィロムジカ・オブ・ロンドン

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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