かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:MAXフィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー生誕200年 特別演奏会

コンサート雑感、今回は令和6(2024)年4月14日に聴きに行きました、MAXフィルハーモニー管弦楽団ブルックナー生誕200年を記念する特別演奏会のレビューです。

MAXフィルハーモニー管弦楽団さんは、このブログでは毎年年末にエントリをアップしておりまして、それは毎年年末にベートーヴェンの第九を演奏しているからですが、実は演奏会は年末だけとは限りません。一昨年はメルパルクホールTOKYOの閉館に伴って夏に演奏会を開いています。

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しかも、この時はベートーヴェンの第九だけでなく、ブラームス交響曲第4番も演奏しています。実は今年の2月には、モーツァルトも演奏済み。それは予定の関係で行けませんでしたが。

そして、今回も含め、MAXフィルハーモニー管弦楽団さんの新たなフランチャイズとも言うべきホールが、荒川区民会館(通称サンパール荒川。以下本文中ではこの名称を使用します)。デッドなホールではありますが、席や曲によって残響も変化するのが面白いホールです。

クラシック音楽の演奏において、デッドなホールを使うことに関しては、いろんな意見があると思います。実際私自身、かつてはあまり賛成ではありませんでした。ただ、MAXフィルさんはデッドなホールを使うことが多いオーケストラです。新型コロナウイルス感染拡大のために流れたサントリーホール以外、私はMAXフィルさんがデッドなホール以外を使うのを見たことがありません。おそらくですが、値段と、ホールの「普段使い」という二つの側面でデッドなホールを使っているのではないかと言う気がします。MAXフィルさんはプロも参加しておりプロアマ連合ですが、基本的にはアマチュアオーケストラにカテゴライズされる団体です。故に財政が豊かとはあまり考えにくいので・・・

ですが、その実力は正直プロオケを聴きに行く必要がないくらいの高いレベルです。今回のプログラムは以下の通りですが・・・

オール・ブルックナー・プログラム
①テ・デウム
交響曲第4番「ロマンティック」

前半の「テ・デウム」の冒頭合唱が聞こえた途端、その合唱団のレベルの高さに驚くばかりです。力強くかつしなやかな合唱!ホール全体を包み込みます。そういえば、プログラムの合唱団員の部分に、かつて大田区民第九合唱団で一緒だった人が記載されているのを発見。この人は常に実力のある団体に参加されているので、センスいいなあと思います。

オーケストラも、特にトランペットとトロンボーンが素晴らしい!特に、テ・デウムは宗教曲でもあるので、トロンボーンが印象的に使われており、ブルックナーらしいオーケストレーションでもあります。そのあたりをオーケストラもしっかり踏まえているなあという印象です。

後半の「ロマンティック」はいわゆる「ブルヲタ」の方からすれば聴きなれた作品だと思いますが、しかし朗々と指揮者古澤氏はオーケストラを鳴らします。そのうえであまりブルックナー終止を強調しません。でも、自然と演奏は器楽なのに歌になっているんです。本当に古澤氏はいい指揮者だなあと思います。普通だったらブルヲタであれば「なんでそこで強調しない!」と憤るように思いますが、しかし第4番のあたりではようやくブルックナー終止が成立して来たかというタイミング。そこまで目くじら立てなくてもという気がします。むしろその音楽史を踏まえての古澤氏の解釈だとすれば、実に誠実で素晴らしい指揮者が出てきたとすら私は思っています。ベートーヴェンの第九の指揮をずっと聴き続けてきている私としては、古典派も後期ロマン派も全くそん色なく振れる指揮者であると評価しています。それはしっかり音楽史を踏まえたうえでスコアリーディングも深いことを意味します。故に素晴らしい演奏になるだろうと思います。勿論、その解釈をしっかり表現できるだけの実力を演奏側が持っていることが大前提ですが。

そのうえでです。アンコールがなんと、再び合唱団とソリストが舞台にあがってきたかと思えば、モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。この曲は、ブルックナーの「テ・デウム」とは異なり、ほとんどがppで表現される曲。その弱い音の表現も抜群!テ・デウムでもそうですしまた「ロマンティック」でもですが、合唱団もオーケストラも、本当にppの表現力が高い!いつまでも鳴りやまぬ拍手は当然であったと思います。今年の年末のベートーヴェンの第九も、また楽しみです。

 


聴いて来たコンサート
MAXフィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー生誕200年 特別演奏会
アントン・ブルックナー作曲
テ・デウム
交響曲第4番ホ長調「ロマンティック」
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
アヴェ・ヴェルム・コルぷスK.618(アンコール)
林田さつき(ソプラノ)
長澤美希(アルト)
澤崎一了(テノール
照屋博史(バリトン
MAX第九合唱団(合唱指揮:古澤直久)
古澤直久指揮
MAXフィルハーモニー管弦楽団

令和6(2024)年4月14日、東京、荒川、荒川区民会館サンパール荒川

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。