かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:MAXフィルハーモニー管弦楽団 メルパルクホールありがとうコンサート

コンサート雑感、おそらく1年ぶりくらいになるかと思います。令和4(2022)年7月2日に聴きに行きました、MAXフィルハーモニー管弦楽団メルパルクホールありがとうコンサートを取り上げます。

MAXフィルハーモニー管弦楽団は、2011年から毎年年末に東京のメルパルクホールにてベートーヴェンの第九を演奏し続けてきました。2020年と2021年は新型コロナウイルス感染拡大を受けて開催できませんでしたが、なんと!7月に演奏会をやるという情報がfacebookに流れてきたのです!

なんで年末ではないんだろう?と思っていましたら、その理由はホールにありました。まあ、うすうすそろそろではないかとは私も思っていたのですが(というのも、以前厚生年金基金に勤務していたからです)、会場であるメルパルクホールが2022年9月にて閉館するということなのだそうです。

https://www.mielparque.jp/tokyo/media/tokyo_release.pdf%20

ホールだけでなく、隣接するホテルもだそうで、とうとう来たか、という感じです。すでに東京厚生年金会館もないわけで、いわゆる政府福祉系ホールは次々と閉鎖され、別なものへと変わっています。よくぞ郵貯はもってきたよなあって思っています。

昭和の政府系金融機関ホールの代表格と言ってもいい、メルパルク東京ホール(旧東京郵便貯金会館)。残響はサントリーとかに比べればかないませんが、その温かい音響は実に気持ちがいいものでもあります。その点では、毎回行くたびに昭和の多目的ホールにしてはよくできたホールだと思ってきました。

がついに、閉館。確かに、東京にはコンサートホールは数多くできました。そのうえ、かつて大ホールを使って行っていた、団体の大会などは民間のホテルへと移っていきました。もう時代にあうものではなくなってきていたわけです。ホテルは残ってもホールはそのうち閉鎖になるだろうとは思っていましたが、とうとうホテルごとか、とおもうと予想が当たったのと同時に感慨深いものがあります。

おそらく、メルパルク東京ホールにて演奏される最後の「第九」のコンサートとなるはずです。いろんな障害がありましたがこれだけはなんとしても行きたい、と思い予定を作り足を運びました。

今回のプログラムは2部構成。

1部
①長野雄行:パッサカリア・メタモルフォーゼ
ブラームス交響曲第4番

2部
ベートーヴェン交響曲第9番

いやあ、普通なら交響曲2つでおなか一杯なところです。しかも、ブラ4に第九ですよ?もうデザートも別腹でも入らないって感じですが・・・・・

ペロって食べてしまった、という感じです。あっという間に時間が過ぎて行きました。開演は17時、終演はほぼ20時でした。約3時間。オケも指揮者も、そしてソリスト、合唱団も本当にお疲れさまという感じです。

それにしても、こう見てみますとプログラムは粋です。「パッサカリア・メタモルフォーゼ」は1部のメインがブラ4であることから、バッハの旋律をまさに「メタモルフォーゼ」していく作品。それがかなり楽しい音楽なんです。まさに現代日本を反映した作品です。オーケストラものびのび演奏していて楽しそうでした。

しかし、それを破ったのが、ブラームス交響曲第4番。やはりブラームスとなると特別な想いがあるみたいで、ところどころオーケストラが走り始めるんです。指揮者古澤氏は速めのテンポの割にはどっしりとオケを鳴らしたいはずなのに、どこか気持ちが先走っている印象を受けました。それでも、熱量はすでに最高潮!「ブラームスの4番は暗くて・・・・・」というコメントも受けますが、しかしなんと明るい曲なんだろうという印象を受けました。やはり古澤氏は只者ではないと思います。

そして、2部の第九。第4楽章のvor Gott!も含め、変態演奏とは言えない、テンポは速めながらも引き締まった古典的な、いつものMAXサウンドが響いてくるのですが、第1楽章でオケが先走るのが最高潮に達してしまいます。ほぼ間違いなく、2019年から演奏できなかった想いというものが、演奏に表れてしまったんだなと思います。これはアマチュアも参加するオーケストラでは、ある種仕方ないなと思いました。それよりもなるべく早く修正してほしいと願っていました。MAXさんがすごいのは、さすが先走るということは情熱があふれ出ているということで、特に第1楽章の主題展開部の情熱的な演奏はこちらの魂まで揺さぶり、思わず涙がこぼれてしまうこともありました。

その中で修正していくんです。もう脱帽ですね。第2楽章以降は落ち着いて強いアインザッツが、私の魂を貫いていきます。第3楽章のホルンもひっくり返らず落ち着いており、これで行けると確信しました。

そして第4楽章。涙というよりは、ここで演奏できてよかったねえと共に喜んでいる自分がいました。何しろ、3年ぶりの第九です。そりゃあ、いろんな感情が最初から出てもおかしくないですよ。東日本大震災後の宮前フィルの「運命」もそうでした。あの時よりも演奏ができないという期間が長かったわけです。いろんな感情が演奏に出て当然でしょう。

ブラ4も第九も、本来なら残響を楽しんで拍手!となるところ、残響鳴りやまないうちに拍手!MAXさんのコンサートでは非常に珍しい光景でした。本来なら眉を顰めるところですが、それだけ皆さん待ちわびた演奏だったわけで、それはしょうがないかなって思います。私自身も感動して、どこか酔っていたように思います。ただ、第2楽章の繰り返しをカットしたのは、疲れているせいなのかそれともお酒が早く飲みたいのか・・・・・詮索しないでおきます(1部と2部との休憩でホテルまで行って宴会場で打ち上げをやることを確認してしまったことはナイショ)

おそらく、いろんな意味で昭和なホールですが使い勝手のいいホールだったんだと思います、オーケストラの皆さんにとって。例えば地方から来ていて、宿泊をしないといけないとしても、メルパルク東京ならホールの隣がホテルです。しかも宴会場もあるのでコンサートの後の打ち上げ会場だって困りません(意外とこれコンサートを開くときに団員間でもめます)。しかも、都営地下鉄芝公園駅から至近、大門駅や浜松町駅からも歩けるというロケーションです。こんなに便利なホールはないです。そりゃあ、感謝のコンサートもしたくなるよねえ、って思います。私はアマチュア合唱団員でしたが、東京厚生年金会館にはサヨナラも言えませんでした。厚生年金基金の職員でもあったのに・・・・・

それに比べれば、MAXフィルさんはサヨナラを言えて幸せだと思いますし、またホールもいい人生だったのではないかと思います。

そして、MAXさんは新たな歴史をきざむことになりましょう。そう、この年末に演奏するとなれば、当然もうメルパルクではないわけです。以前から私はもっと残響のいいホールでやってもいいと思っていましたし、実際2020年年末はサントリーホールで行う予定になっていて、私自身チケットも買ってあったのです。さて、今年の年末は一体どこで演奏するんだろうとおもうと、ワクワクします。

なかなか前へ行かない治療、それによる経済的困窮と、私自身を取り巻く環境も厳しいのですが、今年はこのコンサートと後は3つほどいければ幸せかな、と思っています。その最後を飾るのがまたMAXさんであってほしいです。そしてどのコンサートホールを選択するのか、期待して待ちたいと思います。私の予想では、メルパルクの代わりなので、オリンパスホール八王子、とか・・・・・

 


聴いてきたコンサート
MAXフィルハーモニー管弦楽団 メルパルクホールありがとうコンサート
長野雄行作曲
パッサカリア・メタモルフォーゼ
ヨハネス・ブラームス作曲
交響曲第4番ホ短調作品98
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125
アンコール:蛍の光
林田さつき(ソプラノ)
長澤美希(アルト)
澤崎一了(テノール
照屋博史(バリトン
MAX第九合唱団
古澤直久指揮
MAXフィルハーモニー管弦楽団

令和4(2022)年7月2日、東京港区、メルパルク東京ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。