かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:朝比奈隆と新日本フィルによるブラームス交響曲全集1

東京の図書館から、今回から3回シリーズで、小金井市立図書館のライブラリである、朝比奈隆指揮新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏によるブラームス交響曲全集を取り上げます。

すでに朝比奈さんは大阪フィルと全集を出しており、この後東京都交響楽団ともブラームスは全集を出しています。いくつか全集がある中で、小金井市立図書館にあったのはこの新日本フィルとのものでした。ちなみに以前府中市立図書館のライブラリとして、大阪フィルとの全集は取り上げています。

www.hmv.co.jp

新日本フィルとの共演は珍しいことではなくて、結構朝比奈さんとはセッションを行っています。しかしこうがっちりとした全集となると珍しいかもしれません。

まずは1枚目。交響曲第1番が収録されています。ロケーションはサントリーホール。大フィルとはフェスティバルホールという、「昭和な」ホールでしたがこちらはザ・シンフォニーホールに続いた日本で2番目に開館した「残響の長い」クラシックコンサート専用ホールでの収録。こういう時に朝比奈さんがどんなタクトを振るのかも、こういった録音は楽しみの一つでもあります。

聴いていますと、残響を特に意識してというのはないのですが、しかしオーケストラを朗々と鳴らして、絶大な効果が上がっているのはこの録音の方ではないかと思います。それはやはり、ロケーションがサントリーホールであるというのは明白でしょう。もし残響というのであれば、とても細かい点なんですが、金管の鳴らし方です。とても印象的になっています。

第1楽章はかなりゆったりとした感じを受けますが、第2楽章以降はそれほど遅くはないんです。そして全体的には朝比奈節というものはそれほど強調されていなくても、朝比奈隆の個性がオーケストラによって表現されているという、不思議な演奏。しかし納得してしまうし、感動もする。やはり朝比奈氏の深いスコアリーディングを感じるところです。

大フィルとのセッションでは朝比奈節の典型である「見えを切る」ことが多いのですが、この新日フィルとのセッションでは、むしろすっきりとした演奏でゆったりとという感じなんです。それでも誰かのまねでは決してない独創性。これにはもう脱帽するしかありません。朝比奈隆の正当な評価というのは、むしろこれからなのではないのでしょうか。

この新日フィルとの録音を聴きますと、むしろこれからが朝比奈隆という指揮者が評価される時代なのではないかと思うのです。

 


聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
交響曲第1番ハ短調作品68
朝比奈隆指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

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