かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:朝比奈隆と大フィルによるブラームス交響曲全集4

東京の図書館から、4回シリーズで取り上げております、府中市立図書館のライブラリである、朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏によるブラームス交響曲全集、最終回の今回は交響曲第4番を収録したアルバムをご紹介します。

元のレーベルは多分ポニーキャニオンだと思います。朝比奈さんの録音を多く出しているレーベルなので・・・・・もちろん、記憶では、なので断言はできません。

そして、この4つすべてなんですが、ホールはフェスティバルホールである、というのも面白いところ。そう、ザ・シンフォニーホールではないんです。それだけ残響時間は短い、ということになります。とはいえ、大阪フィルのフランチャイズは?と考えたとき、意外にもザ・シンフォニーホールではなくむしろフェスティバルホールだともいえます。

www.osaka-phil.com

もちろん、ザ・シンフォニーホールでも演奏会を行っていますが、「定期演奏会」はフェスティバルホールです。場所は中之島。そう考えれば、この録音も含め、「定期演奏会」という看板の演奏会がフェスティバルホールなのも納得です。勿論、ホールとしてはザ・シンフォニーホールのほうが断然クラシック向きですが、大阪という都市は、現在のミナミと中之島あたりこそ、都心なのです。大阪駅はむしろ玄関のようなもの。

大阪駅の北に隣接するように、昔は貨物駅がありました。現在絶賛再開発中で新都心とも言える場所が出来上がりつつあります。しかし昔は貨物駅があるくらいなのであまり開発が進んでいない場所だったのです。

阪急のターミナルがなぜ梅田なのか・・・・・それは、大阪の玄関である梅田と郊外を結ぶ鉄道を引くために都合がよかったからです。関東の私鉄のほとんどが山手線の駅から伸びているのとある意味同じなんです。

その中で、異色だったのが京阪。ターミナルは大都心の淀屋橋です。それも淀川沿いを選択したからこそ実現できたルートでした。中之島はその淀屋橋の先にあり、現在でも財務省造幣局がある場所なのです。そのビジネス需要を見越して、京阪は京橋から中之島支線を建設して開通させています(残念ながらこれが大赤字なんですが)。その中之島にある、歴史あるホールがフェスティバルホールです。

www.festivalhall.jp

www.keihan-holdings.co.jp

ブラームス交響曲であれば、聴衆としてはザ・シンフォニーホールで聴きたいところ。しかし、大フィル側からすれば、ブラームス・ツィクルスだからこそ、定期演奏会で取り上げたいと思ったのでしょう。そうなると、やはりフェスティバルホール一択でしょう。大フィルのように歴史のあるオーケストラであれば、そのフランチャイズは大阪の都心、ということになるわけですから。むしろ今ザ・シンフォニーホールは日本センチュリー響のほうが半ばフランチャイズとして使っています。

管楽器はいいのですが、弦楽器の残響はやはりよくはないんですが、長くホールをフランチャイズとして使ってきている大フィルと朝比奈隆というコンビによる「歌い方」によって、全く気にならないのが不思議です。むしろ、多少陰影が強く、精神性だとかが語れらることが多い、交響曲第4番では、もちろん朝比奈節も全開ですがむしろその朝比奈節を作品が持つ生命を存分にオーケストラをして歌わせるために解釈として判断している演奏になっています。

フェスティバルホールの残響時間という、大フィルが伝統の中で培ってきたその残響時間を使った「響き」というものが、ここでは存分に使われ、作品を歌うことに最大限利用されています。むしろ、その「歌」を存分に味わい、楽しんでいる自分がいます。

それは、やはりDSEE HXというアプリの力もあるかもしれません。残響時間が短いからこそ、その分データとして少ないわけで、アップサンプリングというPCには負担がかかる再生方式で、しっかりとその場の空気感などが再現されているのも、この演奏を生き生きと聴かせる一つの要因なのでしょう。そこを考えるとやはり、朝比奈節とはライヴにこそ味わうものであるような気がします。

そうすると腑に落ちるのが、朝比奈さんが録音では意外と朝比奈節を使わずオーソドックスな解釈でオケを鳴らすということです。それは朝比奈氏が、自分のタクトはライヴでこそ、と思っていた節があるとしか思えないのです。それは現在の山下達郎氏のサブスクへのスタンスに近いものがあったに違いありません(これは後日エントリを立てます)。

大フィルは、こういった歴史をもっと前面に出した集客というものをしていいように思います。伝統あるオーケストラが作り出す「響き」にはどのオーケストラにも独自のものがあります。ようやく新型コロナウイルスによる行動制限が解除されましたし、サイトで朝比奈氏のタクトばかりを売るのではなく、もっと全国のクラシック・ファンに「大フィルを聴きに旅行で大阪へ来てください!」という宣伝をしてもいいように思います。それを補助金を出すときに維新がさまたげているとするのであれば、おそらく大フィルは奈良あたりに事務所を構えて、奈良県奈良市から補助金を受けてもいいような気すらします。

実際、だからこそジャパン・ナショナル・オーケストラは奈良県に本拠をかまえたのだと、私は理解しています・・・・・・日本の政党で維新ほど文化を理解していない政党もありませんので、ぶっちぎってもいいと思います。維新という政党の支配の下にいる限り、大フィルの凋落は止まらないように思えるのです。

 


聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
交響曲第4番ホ短調作品98
朝比奈隆指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。