かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

想い:サブスクに未来はあるか

久しぶりの「想い」、今回は音楽定額配信サービス、いわゆるサブスクリプション(略してサブスク、当エントリでは以後この略称で表記します)を取り上げます。

確かにサブスクのサービスが出たときにはびっくりして喜びもしました。しかし、実際音楽家に対して、サブスクは未来を保証するものでしょうか?そして私たち聴き手には何時までも福音なのでしょうか?

ユーザーサイドからすれば、定額というのは助かる話ではあります。ですが、聴き放題とはいえ、私たちが一生で聴けるものは限られてもいます。当然中には聴けない、聴かないものも出てきます。それでも確かに金額的には損しませんが・・・・・

しかし、サブスクの収益構造からすると、音楽の未来は必ずしもサブスクだからと言ってバラ色ではないようです。

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実は私も、この山下達郎の姿勢は支持するものです。実際、クラシック業界で、サブスクで勝負している演奏家に出会うことはほとんどありません。それは収益構造上、あまり利益にならないからに他ならないからだと思います。

しかも、クラシックの世界は山下達郎がいるJPOPよりも新人が育たない環境にあります。何しろ、古い演奏や芸術家がもてはやされる傾向にある世界ですから。なので逆に過去の名演を聴きたい!となればサブスクのほうが適切だと言えるでしょう。

一例を挙げると、ピアニストの反田氏がオーケストラを設立しましたが、その録音はサブスクで配信せずCDです。私はハイレゾ配信はすべきだと思っていますが、サブスクまではどうか、と思っています。それは音楽家への実入りが、定額ということは少ないということを意味しかねないから、です。

一方で、サブスクでもこの事業はいいと思っているものもあります。それはunextです。元々サブスクの元祖ともいえるUSENが設立した会社が運営する動画サブスクリプション・サイトです。完全定額なのかと言えばそうではなく、ポイントや実際に携帯料金と一緒に購入したりする動画も数多く存在し、特に比較的封切りから近い映画などは大抵携帯料金と一緒もしくはポイントによる購入制となっています。私も「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」後章はunextでポイント購入の上観賞しました。

おそらく、山下達郎はこういった動画配信サブスクを念頭に、音楽配信サブスクを批判し、自分の作品は配信しないと言っているのだと思います。そしてunextのようにするならば、配信解禁にやぶさかではないんだろうと想像します。これはもし山下氏とインタビューができる機会があれば確認してみたい点です。それはクラシックにおける新人芸術家にも同様の話になるからです。

そして、サブスクの問題点は演奏家だけではありません。私たち視聴者にも、問題を提起させています。それは、「サブスク疲れ」というものです。これは早々こういう事が出てくるだろうと私自身も想定していました。

以前のエントリで、私はなぜサブスクを選択しないかという理由で、はっきり「聴ききれない」点を上げています。サブスクになれば、あれもこれもとなるよなあ、しかしそんな暇ないよね、ということで見送っています。それは疲れてしまうという点も当然あったのです。ですから「そんな暇ない」という言葉になっています。

残念乍ら、あれもこれもと聴いているうちに、疲れてしまった・・・・・あー、予想通りだね、ということなんです。でもそれは、人生損しているとは思いませんか?山下達郎がツアーを重視しているように、私たち聴衆もコンサートやリサイタルに足を運ぶ時間を作り、演奏家と語り合えるような時間がある方が上質な時間を使っているとは言えないでしょうか?

確かに、サブスクで済ませてしまえば、自分のライブラリは他者に管理してもらえるうえに、その容量は無限と言ってもいいくらいです。しかし無限と言っていいということは、それだけ縁のないものまで管理してもらうことである上に、管理する会社が倒産したり、自分が退会したりすればその音源は「すべて」聴けなくなります。これがサブスクリプションの最大の欠点であると言えるでしょう。ならば私なら逆にもったいないと思います。今のe-onkyoネットストアの形式で十分です。値段は圧倒的に高いでしょ?という人もいると思います。確かにその通りです。特に私のように今収入が不安定な身であれば、サブスクのほうが安く「見え」ます。

しかし、毎月決まった額が出ていくんです。まったく聞かない月があったとしても、です。それを許容できるのであれば、私はサブスクでもいいのではと思いますが、それによって若い音楽家が苦しむことになるのでは、むしろもったいないよねという想いの方が強いです。なら聴き手である私も提供側の管理会社も、そして音楽家も共にwinである、好きな音源だけを相応の値段で購入する、e-onkyoのような音楽配信サイトで十分ではないかと思います。

楽家の成長が、私たちが購入することで支払う著作権料によってなされているということを考えたとき、そんなにサブスクがいいのであれば図書館で借りるという選択もありなのに、と思います。図書館は実は私たちが買う時よりも高額の料金でCDを購入しています。それは図書館が不特定多数の市民へ貸し出す、という性質のために購入するためです。私たちの代わりに税金で著作権料を支払ってくれている、ということにもなります。それなら、サブスクよりもずっと多額の著作権料が音楽家に支払われるので安心です。そのほうがよほど音楽家の未来を作っていくでしょう。

サブスクはもう少し、サービスや料金の多様性の広がりを見てからでも、登録などは遅くはないだろうと思います。サブスクが音楽の未来を作りたりえるのか、日本のクラシック音楽を救える存在になり得るのか。JPOPの山下達郎氏の動きを見定めてから判断してもいいと思います。

 


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