東京の図書館から、4回シリーズで取り上げております、府中市立図書館のライブラリである、朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏によるブラームスの交響曲全集、第2回の今回は交響曲第2番を取り上げます。
第2番以降の作品はブラームスの交響曲の中でものびのびとした作品が多いことで知られていますが、この演奏はそんなことを踏まえたのか、朝比奈節があまり見られません。
録音ものでは朝比奈さんはそういうタクトを振ることが多いのですが、実はこの全集、ここまでライヴ録音なのです(ホールについては、第4回で触れます)。そういう時はむしろ朝比奈節の典型である、ゆったりとしたテンポに重厚な響き、そして見えを切るようなアコーギクが前面に出るものです。しかしこの演奏ではむしろそのうち重厚なテンポだけが前面に出ていて、むしろオーソドックスな解釈に終始しています。
だからと言ってつまらないのかと言えば全く逆。むしろ第4楽章などは盛り上がっていくにしたがって響きは重厚かつ熱を帯びるものとなっており、聴いていて感動に浸るくらいです。こういう演奏を聴きますと、朝比奈さんの音楽の特徴は全く持って深いスコアリーディングだと思います。
前述した朝比奈節の3つの特徴はあくまでも朝比奈さんの深い譜読みの延長線上であるほかにないことを、こういった演奏が意味しています。ただ、それは私がこの録音をハイレゾ相当で聴いているということもあるのかもしれません。
つまり、それはライヴ感覚に近いということを意味し、朝比奈節はライヴで聴いてこそ意味があるような、非常に繊細なものであることを意味しています。つまり、CDでは入りきらない、ということです。それをハイレゾ相当にする技術は引き出すわけです。そうして初めて朝比奈節の素晴らしさが認識できる、と言えるのかもしれないと思うのです。
その意味では、ソニーのDSEE HXという技術の、ある一定の確かさを感じます。CDだけでは見いだせない、朝比奈節の真の魅力を引き出す技術がDSEE HXである、と言えるでしょう。それがDSEE ULTIMATEであればどうなるんだろうと思うと、ワクワクします。
私自身、ブラームスだとかなり重々しい演奏になるのでは?と思っていましたが、少なくとも第2番では肩透かしをくらったような印象です。しかしそれは私の理解がただ足らなかっただけのことなのだと、今では認識をしています。
聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
交響曲第2番ニ長調作品73
朝比奈隆指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団
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