かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:オルケストル・デ・ベル 第2回演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は平成31年1月5日に聴きに行きました、オルケストル・デ・ベルの第2回演奏会を取り上げます。

その1年前、第九を聴きに行った団体です。

コンサート雑感:オルケストル・デ・ベル第1回記念演奏会を聴いて
https://yaplog.jp/yk6974/archive/1677

このときはベートーヴェンの第九でしたが、今回はブラームス交響曲第1番。第九よりも歌唱的なブラームスで、どのような演奏をするのか、この1年本当に楽しみに「一日千秋の思い」で待っていました。

今年に入りましても、調子は今ひとつ。そのため、1プロがウェーバーの魔弾の射手とクラリネット協奏曲であったにもかかわらず、聴くことが叶いませんでした。これは本当に残念だったなあと思います。なぜなら、そう思わせるだけ、ブラームスがすばらしい演奏だったからです。

ウェーバークラリネット協奏曲も、あまり日本ではコンサートピースに乗らない作品だと思います。魔弾の射手ならプロアマ問わず乗るんですが・・・・・そのために聴けなかったのは残念だったなあと思います。

しかしながら、ブラームスは本当にすばらしい演奏でした。昨年同様痩せた音が散見されず、今年は皆無だったように思います。特にすばらしいのは、作品が持つ「歌謡性」を存分にしっかりと表現していたという点です。要するに、しっかりとカンタービレしていた、ということなのですが・・・・・

そんなこと、当たり前だと思うでしょ?でも、それをプロの演奏だってどれだけできています?それを考える時、しっかりとカンタービレしているというのは当たり前のように見えてとてもすばらしいことなんです。カンタービレしているから感動するし、カンタービレしているから泣けもします。

そこをなんか「民主的だから」とか言ってしまうのはどうなんだろうなあって思います。このオケは指揮者水戸氏の下集まった人たちです。そのうえでトラなし。これ、アマチュアオケでは本当にすごい決断なんですよ。実は日本ではプロですらトラが当たり前なのに、本来実力では劣るはずのアマチュアがトラなしでやることを決断したんですから。

いま、日本のアマチュア・オケはトラが入るのが普通なら、常設でも集まれる人だけ集まってというのがトレンドです。その典型例がオーケストラ・ダスビダーニャであり、その実力はもうセミプロです。ところが一方であまりトラを入れていない府中市交響楽団や、都民交響楽団という団体もある。おそらく今では宮前フィルもそうでしょう。そんな「市民オケ」のような常設オケを、住んでいる場所にかかわらないアマオケでやろうというのですから。コミュニケーションなど本当に大変だと思います。

その相互理解を補完するのが、おそらく「共通の音楽性」なんだろうと思います。指揮者水戸氏の音楽性にどれだけ共感できるのか。そのうえで、それぞれ「異なる他者」が「ベル(美女と野獣)」のように演奏できるか。そこがこのオケの生命線なんだと思います。

第九と異なり、テンポはゆったり目。堂々とした第1楽章。しかし、筋肉質でともすれば冗長な作品がまたたく間に感動と魂の喜びと共に過ぎ去っていきます。演奏者たちの「共感の波動」が音の波となって押し寄せます。ホールは昨年と異なり、今度は杉並公会堂。なのに美しくも力強い演奏が、自分自身を音の波動で包み込むのです!この多幸感!

本当にすばらしいオケだと思います。悪くいう部分が見当たらないんです。まあ、プロオケを聴いている専業の評論家ならいろいろあるんでしょうが、少なくとも同じアマチュアである私からすれば、特段問題点などないです。昨年指摘した金管も素晴らしかったですし、体を揺らして演奏するのもいい!もし更に指摘するとすれば、もっと音楽に体を預けて動かしてもいいって点でしょうか。それは自分がこんな音楽を聴いてほしいんだ!というアッピールでもありますし、それは自然と音楽の波動となって聴衆に届くものです。基礎がしっかりあるのなら体を動かしたほうがいいと思います。高校球児の全力プレーのように。

このオケの将来性を私が買っているのは、来年のメインがサン=サーンスの「オルガン付き」だってことです。なかなかフランスものにチャレンジするオケが少ない中、サン=サーンスをやるというのは本当にすばらしい!フランスものって、大なり小なり色彩感がある作品が多く、今度はその色彩感をどれだけ音の波動として私に届けてくれるのかなって、とても興味があります。是非とも来年も休暇をとって、聴きに行きたいと思います。しかもすみだトリフォニーですしね。そのチャレンジ、応援しないわけには行きません!




聴きに行ったコンサート
オルケストル・デ・ベル第2回演奏会
カルロ・マリア・フォン・ウェーバー作曲
歌劇「魔弾の射手」序曲
クラリネット協奏曲第2番変ホ長調作品74
ヨハネス・ブラームス作曲
交響曲第1番ハ短調作品68
左藤博之(クラリネット
水戸博之指揮
オルケストル・デ・ベル

平成31(2019)年1月5日、東京杉並、杉並公会堂大ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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