かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:ヘンデル 合奏協奏曲集1

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回から4回に渡り、ヘンデルの合奏協奏曲集を取り上げます。

ヘンデルの合奏協奏曲集は、ピリオドのものを神奈川県立図書館のコーナーで取り上げたことがあったかと思いますが、なぜわざわざ小金井市立図書館でも借りたのかといえば、理由は主に2つあります。一つは、モダンで指揮がリヒターであること、そしてもうひとつは、有名な作品6だけではなく、作品3も収録されているから、です。

おそらく、ネットで検索しますと、ヘンデルの合奏協奏曲集は作品6しかヒットしないはずです。実際、私が「ヘンデル 合奏協奏曲集」で検索したら、作品6しかヒットしなかったのです。

で、実はその第1集は作品3なのです。6曲の協奏曲からなるこの曲集は、ヘンデルがまだドイツにいた時代の1710年〜1718年までに第5番までが作曲され、第6番がイギリスに渡った後の1733年〜1734年に作曲されています。

つまり、作曲された時期が2つに別れているものが、一まとまりになっているということなんです。よく、作品6が語られるとき、コレルリの作品との関連が語られますが、そもそもヘンデルはオペラの幕間に合奏協奏曲を演奏していたと言われていますが、それはこの作品3の第5番までが主だったと言えるわけです。

その上で、コレルリの作品が人気を博していることから、6の倍数で編集することを考え、第6番を後に作曲して出版した・・・・・作品6とともに、ヘンデルの商魂たくましい部分が見える点です。

さらに、コレルリを意識して作品6が作曲されるわけですが、その筆の速さが言われますが、そもそもこの作品3があったればこそだと言えるわけです。

どれもオペラの幕間に演奏されることを意識してか、祝祭感あふれる作品ばかりなのですが、舞踊性も多分にある作品で、まさにザ・バロックという作品だと言えるでしょう。

そんな作品をです、指揮するのがリヒターなんですよ、これが。カンタータやオルガン曲だと、もうねっとりした演奏で圧倒的という、人によっては拒否反応すら示す解釈をするのに、こういった器楽曲だとそんな重々しい点がまったくないんですよねえ。まあ、ヘンデルだからって点もあるんでしょうけど・・・・・

でも、こういった演奏ができるんだったら、バッハの作品ももう少し舞踊性にフォーカスしてもいいんじゃないかなっておもんですが、おそらく、リヒターはヘンデルとバッハとでは、その音楽の先進性という点で異なる、という視点を持っていた可能性があります。実際、バッハの音楽はバロックの集大成とも言えるわけで、古典派を準備した作曲家だったとも言えます。それは息子たちを演奏に出したりして、その発表の機械を遅々として与えていたことからも伺えます。

そういった音楽史を踏まえて、リヒターはまるでロマン派のように演奏したとすれば、このようにヘンデルではしっかりと舞踊性があるのに、バッハでは少なくなる傾向が理解できます。私としてはバッハの音楽にも内包する舞踊性も、バッハのメッセージの一つだと思っているのでリヒターの姿勢を全部支持するわけではありませんが、納得はできます。その材料がこのヘンデルの合奏協奏曲集の演奏には詰まっていると言えるでしょう。

え、普通ならリヒターは嫌うでしょ?って思われるかもしれませんが、選択をしないだけで私はリヒターが嫌いなんじゃありません。特に器楽作品においてはリヒターの解釈はとても自然で素直です。けれどもバッハの思いがどうしてもストレートに反映されやすいカンタータやオルガン曲だと、バッハの思いをすくい取ろうとしてロマン的なアプローチになるんだなと理解できれば、例えばバッハが生きた時代がマウンダー極小期から自然が回復傾向にある時期だとわかればなんてことないわけなんです。ただ、私は過度に精神性を強調したリヒターの解釈はカンタータやオルガン曲だと選択はしません。それだけです。

ヘンデルのようにある意味、悲しみを奥底にしまって隠している作品のほうが、リヒターはのびのびとオケを鳴らしているように思います。それは多分にリヒターもバッハ同様傷ついていたからだろうと思います。ただ、傷は癒えるじゃないですかと、私はリヒターにいいたいわけなんです・・・・・・このヘンデルのような演奏があなたはなぜバッハではできないんですかってところから、音楽家との対話が始まるわけなので、選択はしないが拒否しないってわけなのです。




聴いている音源
オルグ・フリードリッヒ・ヘンデル作曲
合奏協奏曲作品3
オーレル・ニコレ(フルート)
ハンス・マルティン・リンデ、ペーター・イェンネ(リコーダー)
マンフレート・クレメント、クルト・ハウスマン(オーボエ
カール・コルビンガー、リヒャルト・ポップ(ファゴット
ゲルハルト・ヘッツェル、クルト=クリスティアン・シュティール(ヴァイオリン)
フリッツ・キスカルト、ヨハネス・フィンク(チェロ)
ヘドヴィヒ・ビルグラム(オルガン、チェンバロ
イヴォーナ・フュッテラー(チェンバロ
カール・リヒター指揮
ミュンヘン・バッハ管弦楽団


地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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