かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:ヘンデル 合奏協奏曲集2

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。シリーズでヘンデルの合奏協奏曲集を収録したアルバムを取り上げていますが、今回はその第2集〜第4集です。

この第2集から最後の第4集までは、作品6が収録されています。そのため、本来なら3枚組ですが今回一気に取り上げます。

ヘンデルの合奏協奏曲集のうち最も有名な作品6なので、説明はウィキのURLを掲載するにとどめたいと思います。フォーカスするのはやはり、リヒターの解釈です。

合奏協奏曲集 作品6 (ヘンデル)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%88%E5%A5%8F%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E9%9B%86_%E4%BD%9C%E5%93%816_(%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB)

この他にもう一つ作品3があることは、先日ご紹介したとおりです。この作品6はコレルリを意識して12の協奏曲が組まれていますから、その分ヴォリュームも多く、そのため3枚組になっているわけですがそれだけではなく、それぞれの協奏曲が充実している事が挙げられます。

そのためか、リヒターはかなりオケを歌わせています。その意味ではバロック的なアプローチというよりはむしろ、前期ロマン派的なアプローチだと言えるでしょう。カンタービレしている点では素晴らしい演奏ですが、古楽が当たり前になった現代の視点からすれば、例えば第6番のミュゼットはもう少し舞曲の感じを出してもいいと思います。

もちろん、作品には気品も備わっているので、リヒターの解釈が間違っているとはいいたくないんです。ただ、バロックの作品たちは多分に舞曲が使われていることが一つの意味を持っています。単に楽しみだから入れているという単純なものではありません。舞曲を舞曲として楽しむという点にこそ、マウンダー極小期という厳しい環境を乗り越えてきた人類の魂の深さが刻まれているのですから。

そこを過度に内面的に演奏しているのがこのリヒターの解釈だと思います。にしても、演奏するミュンヘン・バッハ管弦楽団はすばらしい表現力だなあって思います。やはりリヒターはヘンデルくらいがちょうどいい塩梅になるなあと思います。バッハだと本当に管弦楽作品限定になるほど、重々しいんですよね。

それがリヒターだという意見もあると思います。けれどもそれはリヒターの管弦楽作品も聴いた上でなのかなあと思います。不思議なことに、バッハの協奏曲や管弦楽作品だと、そのリヒターの重々しさがちょうどいい塩梅になるんです。不思議です。それは若しかすると、リヒターの宗教観にあるのもと思います。オルガン曲とカンタータに共通しているもの、それはコラールです。コラールはドイツに住む人達にとって一つの魂の音楽です。琴線に触れる音楽です。そこに言葉がつきますと、どうしても人間はその影響を受けます。

日本では、「言霊」という言葉がありますが、リヒターはまさしく言霊に支配されやすいと言えるでしょう。それはリヒターの繊細な内面性を意味しますが、けれども時として、指揮者はその言霊を俯瞰し、一旦距離を起き、改めて自分の言葉で語るときも必要です。リヒターはそのワンクッションがなくストレートだと言えるでしょう。結果、舞踊性はなくなり、重々しい部分だけが強調されてしまいます。

それは確かにリヒターらしいですが、好き嫌いも分かれる演奏になります。ここで私達聴衆はそのリヒターの解釈から距離を置く必要があります。リヒターこそバッハ、ではなく、他の演奏も積極的に聴いた上で、リヒターがそれだけ重々しいのはなぜなのか、何をいいたいのかを演奏を聞きながら考え、対話し続ける必要があります。その意味では、リヒターの解釈はちょっとだけ私達が冷静になれば、対話の材料に満ちてる演奏だと言えるでしょう。




聴いている音源
オルグ・フリードリッヒ・ヘンデル作曲
合奏協奏曲作品6
合奏協奏曲ハ長調HWV318「アレクサンダーの饗宴」
オーレル・ニコレ(フルート)
ハンス・マルティン・リンデ、ペーター・イェンネ(リコーダー)
マンフレート・クレメント、クルト・ハウスマン(オーボエ
カール・コルビンガー、リヒャルト・ポップ(ファゴット
ゲルハルト・ヘッツェル、クルト=クリスティアン・シュティール(ヴァイオリン)
フリッツ・キスカルト、ヨハネス・フィンク(チェロ)
ヘドヴィヒ・ビルグラム(オルガン、チェンバロ
イヴォーナ・フュッテラー(チェンバロ
カール・リヒター指揮
ミュンヘン・バッハ管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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