かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:ガーディナーとオルケストレル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティクのベートーヴェン交響曲全集1

東京の図書館から、今回から4回シリーズで、小金井市立図書館のライブラリである、ジョン・エリオット・ガーディナー指揮、オルケストレルレヴォリュショネル・エ・ロマンティクによるベートーヴェン交響曲全集を取り上げます。今回はその第1回目として、第1集を取り上げます。

この全集は、我が国で古楽演奏のCDが広まり始めた30年ほど前に、アルヒーフレーベルから出されていたものです。フィリップスがブリュッヘン18世紀オーケストラベートーヴェン交響曲全集を出版し、古楽演奏のレーベルとしてドイツ・ハルモニア・ムンディも日本で流通し始めたというタイミング。アルヒーフがそもそも古楽演奏を中心にしたレーベルで、ドイツ・グラモフォンの傘下です。

ドイツ・グラモフォンの傘下とはいえ、古楽演奏専門と言っていいですから、ドイツの団体にこだわらないのも特徴です。このブログでも過去には、ピノック指揮イングリッシュ・コンサートのCDを取り上げています。

ykanchan.hatenablog.com

そして、今回この全集を借りてきたのは、実は以前取り上げたCDが本来は全集の一部であることもあります。

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このCDを買ったのは、エントリを立てるよりも前です。なので、実は30年ほどはすでにこの全集をどうしようか、購入するべきかを迷い続けていたのですが、図書館にあるのを見つけたことで、借りて来ることを決断しました。せっかくですから、古楽演奏ベートーヴェン交響曲全集を持っていてもいいじゃないかというわけです。しかも、当時新鮮に言われた、古楽演奏

古楽、いわゆる「ピリオド」というのは、正確には「その時代の」という意味です。なので、この全集で演奏を担当するオーケストラである、オルケストレルレヴォリュショネル・エ・ロマンティクは、当然ですが「ベートーヴェンが生きた時代の」楽器という意味で使われています。ベートーヴェンが生きた時代とは、古典派から前期ロマン派という時代です。その時代の楽器を念頭に置いたオーケストラということを意味します。

ですので、実はバッハ・コレギウム・ジャパンとはコンセプトが異なる点が重要です。バッハ・コレギウム・ジャパンは、あくまでもバッハの時代、つまりバロック期を念頭に置いた楽器と編成です。オルケストレルレヴォリュショネル・エ・ロマンティクはあくまでも古典派~前期ロマン派です。現代からすれば小さな違いであっても、古楽、つまりピリオドという視点で言えば、全く異なるということになります。勿論、その差が現代からすれば小さいので、バッハ・コレギウム・ジャパンベートーヴェンブラームスを演奏するわけですが・・・

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実は、ガーディナーは楽器の改良の歴史を踏まえた古楽演奏を心掛けている指揮者です。古典派以前の作品演奏は、やはりガーディナーが設立したイングリッシュ・バロック・ソロイスツが担当しています。

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古典派までとそれ以降で決定的に異なるのは、編成の大きさや、楽器の種類、そして改良度です。このガーディナーの区分けを知っていたからこそ、逆にバッハ・コレギウム・ジャパンの「ドイツ・レクイエム」を聴きに行ったり、ベートーヴェンの第九の演奏を聴いたりしていた、と言うわけです。バロック期の作品演奏を基本とするバッハ・コレギウム・ジャパンが、さて、オルケストレルレヴォリュショネル・エ・ロマンティクとどのように異なる演奏をしてくれるのかは、興味あるではないですか!

そもそも、ガーディナー古楽畑の人ですし、鈴木雅明同様の学究的指揮者でもあり、ピノックよりは断然好きな指揮者です。まあ、私が史学科卒であということもありますが・・・

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さて、この全集に話を戻しますが、まず第1集に収録されているのは、交響曲第1番と第2番です。ベートーヴェン交響曲の中でも、初期の作品ですし、ベートヴェンらしさが見られる一方で、モーツァルト的な部分も存在する作品群です。ピッチ的にモダンと異なるとはいえ、それほど違和感もないのが印象的で、しかもむしろジャストフィットしているとすら思えるから不思議です。

この辺り、さすがガーディナーだと思いますし、そのガーディナーの下に集いしオルケストレルレヴォリュショネル・エ・ロマンティクだと思います。自分たちの存在意義とは何か?その存在において自分たちは何を表現するべきか?明確に聴こえるのは私だけなのでしょうか。

古典派の法則である、リフレインは弱くだとかもしっかりしており、その法則に基づきながらも、作品が持つ魂は決しておろそかにせず、生命力のある演奏がそこにあります。特に私の場合、リッピングしたものを、windows11PCに於いて、TuneBrowserで192kHz/32bitにアップサンプリングして聴いている点も、この演奏をさらに引き立てているように感じています。特に周波数である192kHzではなく、ビット数の32の方がいい作用をもたらしています。それだけデータを細かくして再構築しているので、空気感がしっかり伝わるのです。勿論、疑似ではありますが。

それでも、第九の時に比べれば、はるかにいい音質で聴いているわけで、その音質で聞きますと、いかに生命力が演奏に存在するのかが分かります。指揮者の意図を団員が掬い取って理解している関係性だからこそのすばらしさが存分に味わえる演奏です。

こうなると、第九も・・・おっと!それはまだ、ヒ・ミ・ツ、です!このシリーズを最後までお付き合いくださいませ~

 

聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第1番ハ長調作品21
交響曲第2番ニ長調作品36
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮
オルケストレルレヴォリュショネル・エ・ロマンティク

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。