かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:ガーディナーの第九

今回のマイ・コレは、久しぶりに第九です。ガーディナー指揮、オルケストレルレヴォリュショネル・エ・ロマンティク他の演奏です。

このCDは実は本来もっと前にご紹介すべきものであるはずなのですが、いつか棚を整理した時にごちゃごちゃとなって、やむを得ずこのタイミングでご紹介する場所に入れることとなったものです。

まあ、前回のバッハもそうなんですが^^;

さて、このCDはその名前からわかる人はわかるでしょう、ピリオドの演奏です。少なくとも、インマゼールが指揮したものよりは前に購入していたと記憶しています。

マイ・コレクション:インマゼールの第九
http://yaplog.jp/yk6974/archive/821

それにしても、私が買うピリオド演奏の第九には、共通項があります。それは、変態演奏という点です。インマゼールのを取り上げた時にも、こう書いています。

「第4楽章でピリオドらしいと思うのは、私がいつも問題にするvor Gott!(第330小節)の部分です。ここは毎度申しますがvorの二分音符を一拍としてGott!の全音符を六拍伸ばすのが普通です。ところが、インマゼールはGott!を五拍しか伸ばしていません。もう一拍は残響です。その後、Alla Marciaが静かに始まります。

つまり、思いっきり変態演奏であるわけです。」

そして、ガーディナーも同じ場所で、思いっきり変態演奏を行っています。vorの二分音符を1拍として、Gott!は4拍しか伸ばしていません。しかも、アタッカでAlla Marciaが始まります。

これはブックレットで言及されていますが、フルトヴェングラートスカニーニを意識したものであると思います。でも、わたしはそれがどうも納得いかないのです。

いや、演奏自体はとても素晴らしいと思います。兎に角全体的に熱い演奏。しかし、第2楽章にこれまた変態演奏があります。第198小節から第208小節までのティンパニ連打です。「タンタタン」というフレーズを4回繰り返しますが、それが最初のフレーズからディヌミエンドされている点です。これがなぜかというガーディナーの説明が、ベートーヴェンがディヌミエンドを指示しているからだというのですが・・・・・

私は今、第九の時にだけは参照する(第九と運命しか楽譜を持っていないため><)、全音版のポケットスコアを見て書いていますが、確かにディヌミエンドの指示はあります。しかしそれは4つ目のフレーズにのみなのです。

どんな作品もそうだとは思いますが、特にベートーヴェンの時代は出版ということが普通になっていた時代です。できれば、1つ目のフレーズからというのは、ベートーヴェンの「直筆譜」なのか、出版前の校訂時なのか、それとも出版時なのかは、明らかにしてほしかったと思います。あるいは、楽譜では4つ目なのだけれど、音楽学的に1つ目のほうが適切だと考えるのか、です。

実際、変態演奏ですが実はとても自然なのです。ほほう、こういうのもアリなのか〜と感心してしまいますが、スコアリーディング上ではおかしいことになっているわけなのです。その合理的説明がないのです。いや、単に私は感性でこのほうがいいと思ったのですでも一向に構わないのです。それすらないのは如何なものだろうかと思います。「ベートーヴェンが指示している」と述べたわけですから・・・・・

このCD、販売前にCD演奏を聴きながらガーディナーが説明をしたという文章がブックレットにありますが、そのあたりの詳しい説明がほしいところです。専門誌にも取り上げられたと言いますので、一度国会図書館辺りに行ってこようかと思っています。

少なくとも、こういった変態面が全体的に熱い演奏に繋がっていることは言うまでもないことで、その点は間違いなくピリオド演奏の第九の新しい地平が開けた演奏であることは間違いありません。ガーディナーが指揮したものにしてはオケとソリスト、合唱団とのバランスも絶妙ですし(まあ、そこに彼の他の古典派の作品での間違いもあるかと思いますが)。ただ、ブックレットの中にあるように「新たなスタンダード」とは言えないのではないかという気がします。それは私はやはり、延原/テレマン室内だろうと思っています。



聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
リューバ・オルゴナソーヴァ(ソプラノ)
アンネ・ソフィー・フォン・オッター(メッゾ・ソプラノ)
アントニー・ロルフ・ジョンソン(テノール
ジル・カシュマイユ(バス)
モンテヴェルディ合唱団
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮
オルケストレルレヴォリュショネル・エ・ロマンティク
(Archiv UCCA-3169)



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