今月のお買いもの、平成28年9月に購入したものを御紹介しています。今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、ナクソスから出ている、第九のCDです。
ナクソスからは、幾つかベートーヴェンの第九のCDが出ていますし、また私自身も実際幾つか持っていますが、それでもこのCDを買ったのには、理由があります。それは、近衛秀磨指揮、読売日本交響楽団の演奏だからです。
以前は巨人ファンだった私は、いつしかベイスターズファンになったため、実は読売日響の演奏は、テレビを録画する以外は避けていました。特に読売新聞があまり好きではないもんで・・・・・
読売日響のCDを買うという事は、利益供与に当たりますので、絶対にやるもんか!と決めていたのです。特にここ最近は・・・・・
それでも、近衛氏の指揮となれば、また別になりますし、そもそも、この演奏は実はナクソスからが最初ではありません。他のレーベルで出ていたものをナクソスが買い取ったものです。
ですから、以前よりは利益供与とは言えない状況になりましたし、また、録音されているホールも、今は亡き東京厚生年金会館。そんな点が、このCDを買い求める理由になりました。
以前、知人から近衛氏と読売日響の演奏はいただいたことがありますが、そのステディな演奏は実に感動的なものでした。実直に積み上げていく演奏が、私の心に響いたのでした。
しかし、です。この第九では、基本的には実直な点は変わりないんですが、所々、変態演奏がちりばめられているのです。
それが何処かと言えば、第4楽章です。第1楽章から第3楽章までは、実に実直な演奏ですが、第4楽章に入ると一変。それまで殆どつけていなかったアコーギクもつけていますし、常に私が問題にするvor Gott!の部分はなんと、vor一拍に対し、Gott!は4拍しか伸ばしておらず、殆どアタッカでアラ・マルシアへ突入しています。
その上、練習番号Mの部分は、普通はティンパニがクレッシェンドしないのにさせています。かなり近衛さんがいじっています。
近衛さんと言えば、第九を校訂した人でもあるので、近衛版と言ってもいいのではと思います。ではその変態ぶりが何ともおかしいのかと言えば、これがまた実にぴったりしているんです。
聴いていて、あれ?とは思うものの、実に自然で、活き活きとしており、第九という連帯の音楽を奏する喜びが、随所に現われている演奏です。
合唱団は二期会。ですので力強く美しい演奏になっているのは、さすがプロだけの演奏であろうと思います。ただ、これは決してスタンダードではありません。あくまでも近衛版です。でも、決して不自然でもありません。これはこれでアリ、です。
その後、私はむしろ客演指揮者による読売日響の第九を、それこそ毎年年末の番組で幾度聴いてきたことでしょう。それでも、この近衛さんの指揮は印象に残るものです。じんわりとした感動が後から波のように打ち寄せてきます。
決して今のホールのようには響かない、かつては厚生年金業務の大会も開かれた東京厚生年金会館の大ホールで、喜びに満ちた演奏が奏されたのは、まさに素晴らしい事だったと思います。
どうしてこのCDが中古市場に出たのかわかりませんが、放出した下さったかたには、感謝したいと思います。
聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
渡辺洋子(ソプラノ)
長野羊奈子(アルト)
藤沼昭彦(テノール)
栗林義信(バリトン)
二期会合唱団
近衛秀磨指揮
読売日本交響楽団
(Naxos NYCC-27295)
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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