かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:日本の室内オケの第九

今回のマイ・コレは、またベートーヴェンの第九をとりあげます。堤俊作指揮、ロイヤル・チェンバー・オーケストラの第九です。

まず、ロイヤル・チェンバー・オーケストラを紹介します。

http://www.r-c-o-f.or.jp/index.html

皇太子殿下が楽長を務められます、梓室内管弦楽団がその母体となっています。実は同じようなオーケストラがもう一つありまして、そちらはもっと大きな編成となっています。

私がこのCDを買いましたのは14年ほど前で、その理由としてこの演奏が東京渋谷のオーチャード・ホールでの録音であること、そして室内オケによる演奏だったことがあげられます。

オーチャードホールは当時、自宅から一番近い「響きのいいホール」でした。以前、マーラーの復活をとりあげたことがありますが、その時からいつかはオーチャードで演奏された第九のCDがほしいと願っていましたら、あったというわけです。

マイ・コレクション:東急文化村オーチャード・ホールこけら落としの「復活」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/501

それと、室内オケによる演奏に興味を持ち始めていた時期でもあります。実際、ナクソスエステルハージ・シンフォニアによる第九は、それまでの私の美意識をひっくり返すだけのインパクトがありました。

マイ・コレクション:ナクソス「第九」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/613

こういった経緯があって、このCDに手が伸びた次第だったのです。

この演奏ではヴァイオリンがいわゆる18世紀のシフトとなっていまして、左右に分かれています。そうなりますと本来は初めアンサンブルがずれることがあるのですが、それが全くないのですね。これは今聴きましてもさすがです。以前取り上げました新星日本交響楽団(現東京フィル)は初めはずれぱっなしだったのとは大違いです。

マイ・コレクション:宇野功芳 運命
http://yaplog.jp/yk6974/archive/375

その意味では、このオケ、只者ではありません。もともと皇太子殿下をお慕いして集まっているだけあって、それなりに優秀な人がそろっていると思います。堤氏が「ウィーン・フィルのような音を作りたい」と言って組織したそうですが、実際はウィーン・フィルというよりは、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フォールズのような音がそこに存在します。

なのに、このオーチャード・ホールという大きなホールに決して負けていません。音が貧弱でないのです。こういったオケがもっと評価されますと、日本のオーケストラもまた刺激を受けるのではないかと思います。

第1楽章の主題展開部のティンパニ連打、第2楽章の刻むリズムもまったく遜色ありません。第3楽章もむしろ厚いアンサンブルを聴かせてくれますし、第4楽章も合唱団に負けません。むしろ合唱団を引っ張っているくらいです。合唱団はアマチュアですが、ドイツ語の発音に難がある点を除けば、申し分ないアンサンブルです。特にフォルテの強さは、プロ顔負けです。

細かい点での特徴としますと、第2楽章の繰り返しをきちんとやっている点がとても評価できます。ここをきちんとやってくれるオケはなかなかないんですよね〜。それをさりげなくやってくれている点も高評価です。それだけやっているのに、全体的な時間は61分ほどという短さ!

しいて難を言えば、できれば低い音は弱く、高い音は強くということをやってほしかったですね。もちろん楽譜に指示があれば別ですが、なければそれが古典派の時代は法則であるわけですから、できればそんな点もしっかりとやってほしかったです。そうすると、この第九という曲の新たな一面に光を当てることが出来たと思います。せっかく指揮者がマルケヴィッチ版を採用し、それに校訂を加えたもので演奏しているのに、もったいないなと思います。

その点では私はこのオケは、ウィーン・フィルの音を目指すのではなく、できればアカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズを目指すべきだと思います。カップリングのコレッリではそんな音が散見されているので、できればその方向で音を作ってほしいと思います。日本のオケでそういった団体はあまりないので・・・・・

それこそ、「ロイヤル」を名乗るにふさわしいと思います。

さて、今ではいったいどんな音になっているのでしょうか。できれば、コンサート感を上げることが出来ればと思っています。



聴いているCD
アルカンジェロ・コレッリ作曲
弦楽合奏のためのサラバンドジーグ・バディネリ
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱」
佐々木典子(ソプラノ)
安念千恵子(アルト)
林誠(テノール
福島明也(バリトン
芙蓉第九合唱団(合唱指揮:中脇幹夫)
堤俊作指揮
ロイヤル・チェンバー・オーケストラ
(東芝EMI PCCZ-1566)



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