かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:リストとブゾーニの文学に題材をとった作品集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はリストとブゾーニの作品集をご紹介します。

この音源を借りたきっかけは、その直前まで借りていた、リストのピアノ作品全集にあります。リストの「ダンテの「神曲」による交響曲」を覚えておいででしょうか?

神奈川県立図書館所蔵CD:リスト ピアノ作品全集26
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1485

この時は、第3楽章だけがピアノ2台と合唱用に編曲されていたのですが、この音源を聴いてオケ版が聴きたくなったのです。リストの交響詩集のなかにも入っていたかとは思うんですが、別途また違う音源を借りてみようと思ったのがきっかけです。

というのは、この音源はブゾーニも入っています。それぞれが、文学を題材にとった作品を作曲し、それが並んでいるからこそ、この音源を借りたのでした。

前期ロマン派の時代は、古典派の時代よりもさらに文学から題材をとることが多くなりました。それがきっかけとなり、さらには絵画から、或は映画からインスピレーションを得て作曲がなされることが多くなりました。その一つの例として、このアルバムは挙げられるでしょう。

リストが題材に取った「神曲」はダンテ、ブゾーニが題材に取った「ファウスト」はゲーテです。そして二人に共通するキーワードは、「超絶技巧のピアニスト」でもあります。

フェルッチョ・ブゾーニ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A7%E3%83%BB%E3%83%96%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%8B

リストは割愛しますが、ブゾーニも相当の超絶技巧のピアニストだったのです。その上で、様々な作品を作曲した点も共通していますし、新しい様式、例えば、リストは循環形式をピアノ協奏曲第1番で採用したように、ブゾーニ新古典主義音楽の提唱など、その点も共通しているのです。

この二つの作曲家のそれぞれの管弦楽作品は、オケ版であっても和声は複雑で、野性的です。でも、美しさも備え、どこか幻想的な雰囲気も持ちます。ブゾーニファウスト博士はもともとオペラですが、完成することなく他の作曲家が補完して完成された作品で、この音源に収められているのはオペラとするための習作です。

このような和声の作品をもし、ピアノ曲として編曲したらどうなるのか、もしブゾーニが自作をピアノ作品へと編曲していたら、じっさいはどうなのか・・・・・興味は尽きませんし、また、リストに関しては2台ピアノにした理由が聴けば納得なんですよね。複雑な和声をピアノという楽器で再現するとなれば、やはり1台では無理があります。超絶技巧の作曲家だからこそ、限界も知っていたと考えれば、1台のだけではなく2台のもというのは、納得なのです。

その上で、この二つの作品を比べますと、リストのオーケストレーションと構成は際だっています。ピアニスト・リストとだけ見るのは、やはり間違いだよなあと、この演奏を聴いても考えさせられます。

指揮はシノ―ポリで、オケはドレスデン国立管弦楽団精神科医でもあったシノ―ポリの、リストに対するアプローチは真摯であり、神曲を音楽で表現しようとすればどうしても超人間的にならざるを得ないですし、ということは「人間を超えた世界を表現する」ことになりますので、精神世界を表現することにもなりますが、その点が贅肉がそぎ落とされ、みごとな描写になっているのはさすがです。ブゾーニの作品もファウストという精神世界を描いたとも言える作品を淡々と演奏することにより、みごとに作品の世界観が浮かび上がっています。

精神世界が背景にある作品を振らせますとシノ―ポリはぴか一です。勿論、普通の作品を振っても素晴らしい演奏を現出させますが、神曲ファウストと言った作品を題材にしているものは余計に際だちます。それだけに、早すぎる死は残念です。




聴いている音源
フランツ・リスト作曲
ダンテの「神曲」による交響曲〜女声合唱とオーケストラのための〜 S109
フェルッチョ・ブゾーニ作曲
サラバンドとコルテージュ 「ファウスト博士」のための2つの習作 作品51
ドレスデン国立歌劇場女声合唱団(合唱指揮:マティアス・ブラウアー)
ジュゼッペ・シノ―ポリ指揮
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村