かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バルトーク ピアノ協奏曲全集2

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、バルトークのピアノ協奏曲全集を取り上げていますが、今回はその第2集を取り上げます。

第2集には、第3番と、2台のピアノと打楽器のためのソナタが収録されています。この二つは、実に面白い作品です。

ピアノ協奏曲第3番は、1945年に作曲された作品で、死の直前まで作曲された作品です。ついに生前に完成させることはかなわず、和声などの指示を楽譜にのこして世を去ったため、死の直後に知人のハンガリー人作曲家ティボール・シェルイが最後の17小節だけを補筆しています。

ピアノ協奏曲第3番 (バルトーク)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF)

確かに、バルトークらしい躍動感はないかもしれませんが、動と静の対比というか、何か肩に力がなく、とても聴きやすい作品です。バルトークが到達した最終地点と言えるかもしれません。

自分が弾けないと分かった時、作曲家はどんな行動をとるのか・・・・・バルトークの場合、それが愛する妻を念頭に置いたため、それまでのヴィルトォーソは影をひそめましたが、それゆえにまるでコスモポリタンのように、さらに普遍性を持つ作品に仕上がっていると言えるでしょう。

2曲目の2台のピアノと打楽器のためのソナタは、死ぬ8年前の1937年に作曲されました。この作品も躍動感と静寂がともに存在する作品で、こういったスタイルは晩年のバルトークに共通するような気がします。

2台のピアノと打楽器のためのソナタ
https://ja.wikipedia.org/wiki/2%E5%8F%B0%E3%81%AE%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%81%A8%E6%89%93%E6%A5%BD%E5%99%A8%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF

4重奏と銘打っていますが、実際には楽器の数はさらに多く、楽器の数だけでいえば8つを使った作品です。20世紀のソナタらしく、ピアノと他の楽器が同等に渡り合うのですが、打楽器であるがゆえに、ピアノと打楽器が旋律、通奏低音の役割を交代しながら彩られていくのは素晴らしいです。

演奏は、第1集同様ピアノはアシュケナージ。2台のためのでは息子のヴォフカと共演しており、その息もぴったりです。ピアノを打楽器的に使っているのはピアコン、ソナタ同様で、特にソナタではピアノの打楽器的要素を十二分にわかったうえで演奏しており、その上で旋律もしっかりと歌わせて、バルトークという作曲家がなにか遠くにいる特別な存在ではなく、私たち同様の感受性の強さを持った1人の人間であることを表現しています。

協奏曲では、ショルティのあまり揺れのない解釈もいいです。テンポ感がよく、それが生命力へと繋がっています。新古典主義音楽へのアプローチも絶妙です。オケのロンドン・フィルの技術力の高さも魅力的で、かつ嫌味がなく、すっと楽しめるのがまたいいですね〜

多分、バルトークが高い演奏技術にこだわったのは、彼の世界をしっかりと表現するためには必要なことだからだったのでしょう。勿論、この2作品でもそれは変りありませんし、特にソナタは演奏者に高い技術を要求している作品だと言えますが、協奏曲は一段低いようには思います。それでも、ある一定のレヴェルは必要であるわけで、この演奏では高い演奏技術が作曲者の想いを伝えるために使われているということを、はっきりと認識できるものであるように思います。




聴いている演奏
バルトーク・ベラ作曲
ピアノ協奏曲第3番Sz.119
2台のピアノと打楽器のためのソナタSz.110
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)
ヴォフカ・アシュケナージ(ピアノ)
デイヴィッド・コークヒル、アンドリュー・スミス(打楽器)
サー・ゲオルグショルティ指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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