かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:20世紀のフルート作品集2

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、エラーとから出ている2枚組の20世紀フルート作品集を取り上げていますが、今回はその2枚めです。

ここまで、協奏曲と続いてきているのに、この20世紀だけは「協奏曲」が抜けているのは、この2枚めに理由があります。この2枚めは、ソナタが収録されているからです。

先日、トランペットの協奏曲集を取り上げたとき、そこにソナタも含まれていたかと思いますが、実際ソナタと協奏曲はそれほど遠い存在ではありません。ただ、時代的に、20世紀になりますとそれぞれ別のジャンルとして確立しています。となれば、「協奏曲」という一つのくくりで一つにまとめることは難しいかと思います。

さて、ここには実に魅力的なナンバーが並んでいると思います。しかもその作曲者も・・・・・どれも私達が知っている作曲家ばかりです。強いて言えばマルティヌーはまだ日本では知名度が低いのかなって思います。そんなマルティヌーを1曲目に持ってきてしまうランパルって・・・・・

とはいえ、そのマルティヌーチェコ出身で有りながら自由な表現を目指しパリで学び、活躍していただけに、チェコというドイツ語圏、もっと言えばかつてのオーストリア・ハンガリー帝国の強い影響下にあるはずのチェコ出身の作曲家でありながら、実にチェコらしくない作品も書くユニークな作曲家だと思います。その代表的作品がこのフルート・ソナタだと言っていいと思います。

マルティヌー、ボフスラフ/Martinu, Bohuslav
SONATA NO.1
ファースト・ソナタソナタ 第1番)
http://www.muramatsuflute.com/shop/g/gG11252/

今回、解説の引用はすべてムラマツフルートさんのサイトを参照させていただきました。さすがは楽器専門店。フルート作品の解説は充実していますね〜。ウィキではほとんどヒットしないんですが、ムラマツフルートさんのサイトだけはしっかりヒットしてくれます。これは演奏者だけではなく、私のような一アマチュア聴衆にも助かります。演奏者だったらぜひともムラマツフルートさんで購入したいものですが、残念ながら私はバロック・フルート(つまりはリコーダー)しか吹けないもんで・・・・・

私はマルチヌーとここでは表記したいなと思っていますが、なぜマルティヌーという表記が多いかは、こういった作品を聴きますとよくわかります。とてもチェコ人らしいのに、実際にはコスモポリタンだったんだなと。第1楽章冒頭はまるでフランスなのに、中間部ではチェコらしい雰囲気もあるのに、それがしっかりアウフヘーベンし、一つのまとまった世界を構築しているのは素晴らしい!マルチヌーはもっとコンサートピースになっていいと思います。

2曲めがなんと!ヒンデミットなのですよ。ヒンデミット管弦楽作品は我が国でもよく聴かれますが、室内楽となるとさっぱりな気もします。そんなヒンデミットソナタを聴いてみれば、はじめはやっぱりぃ〜というような和声で始まりますが、時期にそれは薄くなり、実に旋律しているのが不思議な作品です。

ヒンデミットパウル/Hindemith, Paul
SONATE
フルート・ソナタ
http://www.muramatsuflute.com/shop/g/gG3187/

それはひとえに、ヒンデミットという作曲家に対する、私のイメージがどこか不協和音に支配されている作曲家というものに支配されているからだろうと思いますが、実際は「画家マティス」を聴いてみれば、そんなことはないんですよね。その私のイメージが如何におかしなものだったかを、このソナタ如実に教えてくれています。

3曲めが、プロコフィエフ。この人も管弦楽作品のみが広く知られている作曲家ですが、室内楽もとても素敵なものが多く、この人ももっと室内楽でコンサートピースに乗っていい作曲家だと思います。和声的な古典的雰囲気をプンプン匂わせる作品ですが、その古典臭さがなんとも言えず魅力的!快活で、楽しい雰囲気にさせてくれます。

プロコフィエフ、セルゲイ/Prokofiev, Sergei Sergeevich
SONATA D-DUR, OP.94 (E.MONROE)
フルート・ソナタ ニ長調 OP.94
http://www.muramatsuflute.com/shop/g/gG21632

そして大トリはプーランク。これがマルチヌーに比べてフランスしてないのも魅力的なんです。とは言いつつも、しっかり20世紀和声の中にいる作品です。演奏が助言と初演を努めたランパルっていうのも、実に魅力的ですね。

プーランク、フランシス/Poulenc, Francis
SONATE
フルート・ソナタ
http://www.muramatsuflute.com/shop/g/gG8494/

生命力あふれる演奏は、さすが作曲者存命中に共同作業に携わったランパル故かなって思いますが、いずれにしてもランパルのフルートはどの作品に対しても冴えており、生命力あふれるものになっています。ヒンデミットすら、お!この快活さはなんだ!と驚いてしまいます。それだけ、20世紀という、楽器が発達した時代の作品には魅力的なものが多いってことなんだと思いますが、どうしても私達って、19世紀までの作品にしか食指が動かないんですよねえ。そんなとき、知り合いにフルーティストなどがいると本当に助かります。え、いるんですかって?ええ、居ますですよ。知り合いのピアニストの奥様が、フルーティストなもんで・・・・・

ですから、例えばそのピアニストに、フルート・ソナタやるんですが、来ませんか(実は妻との共演なんですが)?と言われれば、行ってしまうんです、体調が許す限り。そこにはきっと私の知らない発見があるはずだから、です。私自身も、オケ作品が好きな人故に、囚われてしまう傾向があるので・・・・・

ランパルのような、絶大な人気を誇るソリストなんて、世界でもほんの一握りです。ほとんどの演奏者たちが、地道な活動をしながら生活をしているわけで、そんな「その他大勢」に属する演奏者たちこそ、私は支援していきたいなって思います。もちろん、そこからさらに羽ばたいて、ランパルのような存在まで行く人もいるかも知れませんしね。でも、演奏を聴くってことは、スーパースターにふれることだけなんでしょうか?

このアルバムでは、フルーティストはランパルとビッグネームですが、共演するピアニストはラクロワと、ランパルに比べれば知名度は落ちるピアニストを抜擢。しかし、ランパルの快活で生命力あふれる演奏にしっかりマッチし、むしろそのランパルの生きの良さを存分に引き出すことで、存在感が大きなものになっています。ランパルの演奏には常に共演している人なので、ランパルがとても信頼した人だったんだと思います。

ロベール・ヴェイロン=ラクロワ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%B3%EF%BC%9D%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%AF

演奏とは、生身の人間のメッセージです。対話です。それを、スーパースターじゃなきゃヤダ!って言っているうちに、同じ空間における対話の機会はどんどん失われて行くんですよね。それくらいなら、自分の周りにいるはずの「その他大勢」の演奏を聴くほうが、どれほど幸せかって思います。実際、私はそれを例えばマイミクさんである、クラリネットの白川氏だったり、ピアニストの瀬川氏(この方の奥様こそ、フルーティスト)だったりするわけなんです。この二人との出会いがなければ、おそらくこのランパルというビッグネームすら、私は借りていないんです。「人間万事塞翁が馬」といいますが、どんなことが何につながるかなんて本当にわかりません。私にとってはこの二人はとても大切な「ビッグネーム」ですが、多分シビアに言ってしまえば「その他大勢」です。しかし、本当にステディで素敵な演奏をしてくれるので、このようにビッグネームの演奏ならと思って借りてみて、また新たな発見をするのです。それがなんと楽しいこと1

ランパルのこの演奏は、そういえば最近この二人の演奏、聴きに行ってないなあと思わせてくれる、素晴らしいものです。私にとって白川氏と瀬川氏の両名は、ともに音楽を愛する「仲間」なので・・・・・




聴いている音源
ボフスラフ・マルティヌー作曲
フルートとピアノのためのソナタ
パウルヒンデミット作曲
フルートとピアノのためのソナタ
セルゲイ・プロコフィエフ作曲
フルートとピアノのためのソナタ ニ長調作品94
フランシス・プーランク作曲
フルートとピアノのためのソナタ
ジャン=ピエール・ランパル(フルート)
ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村