かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:20世紀のフルート作品集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回と次回の2回にわたりまして、20世紀のフルート作品を収録したアルバムをご紹介します。元音源はエラートのものだったと思います。

そのエラートのものは、以前このブログでもご紹介したことがあったかと思いますが、もちろんそのシリーズの最後のものだといえます。ソリストもジャン=ピエール・ランパルと一緒ですし。

このランパルは、20世紀最高のフルーティストと言われますが、それは単に演奏技術だけをいうのではなく、音楽的なタレントという意味でつかわれているといえるでしょう。このアルバムでもそれは如実に表れています。

まずは、演奏技術という点で、イベールのフルート協奏曲。20世紀のフルート協奏曲ではよく演奏されるほうではないかと思います。

フルート協奏曲 (イベール)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%AB)

そもそもです、20世紀で管楽器の協奏曲というのは実は一つの意味を持っているとわたしは思います。つまり、前時代であるドイツ後期ロマン派では管楽器の協奏曲は不遇でした。前期ロマン派まではそれほどでもなかったはずなのに、なぜか後期ロマン派になるとすたれていきます。それを復興したのが、20世紀に入ってからの作曲家たちでした。イベールもそんな一人です。

その要因に、やはり新古典主義音楽運動を挙げないわけにはいかないでしょう。ドイツ後期ロマン派とは距離を取ろうというこの音楽運動の延長線上に、この協奏曲はあるといえます。国民楽派同様民族運動にかかわる運動ではありますが、ドイツ後期ロマン派とは距離を置こうということが運動の根底にありますから、当然すたれた管楽器の協奏曲の復興ということもあるわけですね。

そして、もう一つが民謡採集運動。2曲目のハチャトゥリアンのフルート協奏曲も、そんな延長線上にあります。ハチャトゥリアン自身、民俗音楽の収集研究者でもあったわけで、この作品を作曲した時もエレヴァン周辺の民俗音楽を収集しています。

ヴァイオリン協奏曲 (ハチャトゥリアン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3)

え、なんでヴァイオリン協奏曲?って思いますよね。実は私はこの演奏を聴いて、どこかで聞いたことがあるはずなんだけど、しかも独奏楽器の音が同じようで違うなあと思い、検索してみたらこのウィキがヒットしたってわけです。それで納得したんですね、そうか、もともとはヴァイオリン協奏曲で聴いていたんだ、と。たぶん、以前ハチャトゥリアンの作品集でこのブログでもエントリ上げているはずです。

それをランパルがフルート協奏曲に編曲したってわけで、このアルバムではそのランパル編曲版が収録されているってわけです。それは視点を変えれば、ランパルの編曲能力も証明しているということになるわけです。だからこそ、ランパルのそのタレント性というのが、「20世紀最高のフルーティスト」という言い方であると私は考えるわけです。

最後がこの録音当時まだ存命だったジョリヴェのフルート協奏曲。しかも、作曲者自身の指揮。20世紀音楽特有の不思議な世界が広がる作品です。

ジョリヴェ、アンドレ/Jolivet, Andre
CONCERTO
フルート協奏曲
http://www.muramatsuflute.com/shop/g/gG9679/

どの作品に対しても、自在な演奏を繰り広げるランパル。ときには技巧的に、時には歌い、生命を謳歌します。イベールとジョリヴェでは不思議な世界にしっかりと人間が存在することを証明し、ハチャトゥリアンでは、その民族色の強さの中に、他の民族にも共感できる部分があることを証明する演奏になっているのはさすがです。そして20世紀のフルート協奏曲でランパルの選曲も、実に音楽史を踏まえたもので学究的なのに、微塵も感じさせないんですよねー。ね、楽しいでしょ?ってウィンクされているかのようです。

こういった演奏をするのは、やはり才能なんだろうなと思います。それぞれのオケもフランスのオケらしい色彩感あふれる演奏ですし、それとしっかり協奏した上で、その個性が十分感じられるのはさすがランパルだと思います。




聴いている音源
ジャック・イベール作曲
フルートとオーケストラのための協奏曲
アラム・ハチャトウリャン作曲
フルートとオーケストラのための協奏曲(原曲:ヴァイオリン協奏曲)
アンドレ・ジョリヴェ作曲
フルートとオーケストラのための協奏曲
ジャン=ピエール・ランパル(フルート)
ルイ・ド・フロマン指揮
コンセール・ラムルー管弦楽団イベール
ジャン・マルティノン指揮
フランス国立放送管弦楽団ハチャトゥリアン
アンドレ・ジョリヴェ指揮
コンセール・ラムルー管弦楽団(ジョリヴェ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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