かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バロック期ドイツのフルート協奏曲

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、元音源エラートの、音楽史シリーズを取り上げていますが、今回はドイツ・バロックのフルート協奏曲集です。

とは言え、実際にバロック時代の作品は一つしかないんですが・・・・・

これが、比較的昔の録音の限界なんですよね。今であれば、バッハと同時代の作曲家のものをどんどん収録するでしょうし、或はバッハの他の協奏曲をリコーダーでという場合もあるはずです。

ですが、これはモダンですし、またあまりバロック期の作曲家がバッハ以外知られていない時代の収録と言うこともあり、まずはバッハやヘンデル以外のという視点から出発しているように思います。

採り上げられているのは、モルターと、シュターミツ一家。シュターミツに関しては、このブログでもクラリネット協奏曲を取り上げていますし、ジャンル違いでは交響曲も取り上げています。

今月のお買いもの:C.シュターミッツ クラリネット協奏曲第1集
http://yaplog.jp/yk6974/archive/582

今月のお買いもの:ヨハン・シュターミッツ 交響曲集第1集
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1296

今月のお買いもの:J.シュターミッツ 交響曲集2
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1298

この音源に収録されている3人のシュターミツ一家の中で、二人はすでに取り上げているということになります。それだけ、なじみ深い作曲家ではあるんですが、改めてこのフルート協奏曲を聴きますと、なんと最初のモルターとは異なることかと思います、様式的に。

モルターはバロックの影響を強く受けている人ですが・・・・・

ヨハン・メルヒオール・モルター
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%92%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC

バッハと同じ時代を生きているだけに、バロックの作曲家だと言えるでしょうし、作品もバロック様式です。しかし、2曲目のカール・シュターミツからは明らかに違います。バロック的でありながら、何かが違うわけです。そりゃあ、生きた時代が多感様式、つまりはギャラントの時代ですから。

ギャラント様式の時代はあまり顧みられることがないんですが、その最後にモーツァルトが居て、ベートーヴェンも初期の幾つかの作品はそれに含まれるということを知る人は、コアなクラシックファンの中でも少ないのが現状です。勿論、知っていなくては聴けないようなものではなかなか普遍的なものを獲得することは難しかったでしょう。しかし、知っておく方が私たちにメッセージが届きやすいと言うことはあります。

その中でも、ヨハンは時代的に片足をバロックに突っ込んでいるので、やはりバロックの香りがします。特に収録されているフルート協奏曲ハ長調にはその影響が賢著ですが、かといってバロックとは言い難いものがあるわけです。

これらの作品には、時としてイタリア的であったり、フランス的であったりします。特にヨハン・シュターミツのにはフランスバロックの影響が見て取れます。それでも、全体的にはイタリアバロック的でもあったりと、バロック時代の集大成が受け継がれ、次の時代を用意していると言えるでしょう。

カールとアントンのフルート協奏曲からは、古典派の香りがします。というより、何の先入観も持たず聴けば、バロックではないよね、もっと新しいよねって思うはずです。この二人はむしろモーツァルトと世代的には近いんですから、当然だと言えます。

本来はドイツ・バロックと銘打つのであれば、もっと違った選曲になったのでしょうが、それこそグラウプナーなどもあまりまだ詳細が分かっていない時代では、このようになってしまうでしょう。今なら、どんな選曲がなされるのでしょう。

それこそ、ランパルのフルートで、グラウプナーやそのほかの名だたるバロックの作曲家の作品を聴いてみたいと思わせます。ランパルのステディでかつ流麗なフルートは、それぞれの作品が持つ特徴と魅力、そして生命力を引出し、聴き手に考えさせ、美しさを開眼させるものです。二つの名だたる室内オケも実に素晴らしいサポートで、モダンの演奏としては実にしっかりとバロックしている編成だと言えます。後期ロマン派からの重厚長大なものへの賛美から振り替えられなくなりかけたバロック期の作品が、現在のように顧みられるようになったのには、このようなモダンの演奏も重要な役割をしていると思います。




聴いている音源
ヨハン・メルヒオール・モルター作曲
フルート協奏曲ト長調MS315
カール・シュターミッツ作曲
フルート協奏曲ト長調作品29
ヨハン・シュターミッツ作曲
フルート協奏曲ハ長調
アントン・シュターミッツ作曲
フルート協奏曲ニ長調
ジャン=ピエール・ランパル(フルート)
ジャン=フランソワ・パイヤール指揮
パイヤール室内管弦楽団(モルター)
レイモンド・レパード指揮
スコットランド室内管弦楽団(シュターミツ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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