神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、元音源エラートの音楽史シリーズを取り上げています。今回はバロック期イタリアのフルート協奏曲です。
前回はフランスでしたが、フランスとイタリアでは、おなじようで違う部分があります。このアルバムはそれが端的にあらわてていると思います。
何が違うのかと言えば、リズムです。前回のフランスは、かなりうごき回る作品が多かったのに対し、このイタリアは流麗です。
勿論、作曲しているのが、例えばペルゴレージだったり、マルティーニという、このブログでもかつて取り上げたことのある作曲家の作品であると言うこともあります。それでも全体的な特徴がフランスとイタリアでこれほど違うのかと驚かされるくらいです。
その意味では、一つ一つの作品を紹介するよりも、その違いを明確にした方が、エラートが意図するものに近づくと思います。だからこそ、演奏がモダンであると言えるのかもしれません。
音楽史であれば、ここで取り上げられている、マルティーニやサンマルティーニ、そしてペルゴレージと言った作曲家であれば今であれば古楽で演奏されるものばかりです。この音源は決して新しいものではないですが、ピリオド演奏の歴史は日本よりもヨーロッパのほうが格段に長く、多くのクラシックファンがクレンペラーなどに熱中している時代に、ヨーロッパではすでにピリオド演奏が出現し、間違いなくカラヤンもその影響を受けていると言っていいくらい、モダンにも影響を与えました。
その証拠は、オケなどの選定にあります。イ・ソリスティ・ヴェネティといえば、このブログでも何度か出てきている素晴らしい室内オケですが、それに合わせているソリストが、かのランパル。トラヴェルソを得意とする古楽専門ではなく、モダンの大御所なのですよ。
そのランパルの素晴らしいフルートにかかれば、大作曲家の中に埋もれそうになるガルッピやタルティーニのフルート協奏曲(勿論、正確にはトラヴェルソ協奏曲)が、実に実直で流麗な作品であり、他の大御所三人に負けない作品であるということを教えてくれます。
どうしても私たちは、フルート協奏曲と言えばとても狭い時代の範囲内でしか想起しませんが、実際には多くの作曲家が作曲し、存在することを、こういったアルバムは教えてくれるのです。
そんな教材的なアルバムでやはり聴きどころは、ランパルのフルートでしょう。そしてオケの軽めでかつしっかりとしたアンサンブルです。バロック時代の協奏曲の魅力を存分に味わうことができます。この音源を聴いたうえで同じ作品たちを古楽演奏で楽しんだならば、一体どんな発見や楽しみがみつかるのだろうと、ワクワクします!
聴いている音源
ジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニ作曲
フルート協奏曲ト長調
バルダッサーレ・ガルッピ作曲
フルート協奏曲ニ長調
ジュゼッペ・サンマルティーニ作曲
フルート協奏曲ハ長調
ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ作曲
フルート協奏曲ト長調
ジュゼッペ・タルティーニ作曲
フルート協奏曲第1番ニ長調D.50
ジャン=ピエール・ランパル(フルート)
クラウディオ・シモーネ指揮
イ・ソリスティ・ヴェネティ
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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