かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バルトーク ピアノ協奏曲全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から2回にわたりバルトークのピアノ協奏曲を取り上げます。

バルトークのピアノ作品って?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、20世紀音楽が好きな人たちからすれば、けっこうメジャーなのがバルトークですから、ピアノ作品も多いことはご存知かと思います。

バルトーク・ベーラ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%A9

最近、バルトーク・ベラと表記することが多いですね。実際、ハンガリーは日本と同じで、姓名の順なので、このほうがいいかと思います。

バルトークと言えば、民俗音楽研究家でもあり、ピアノも得意としピアニストでもあったため、ピアノ協奏曲には特徴的な作品が多く、興味深い作品も多いです。この全集では、独奏ピアノ協奏曲3曲と、2台のピアノと打楽器のためのソナタが収録されています。まず第1集は、第1番と第2番です。

第1番は1926年に作曲された作品ですが、とても充実した作品です。新古典主義音楽に立脚していますが、それだけではなく当時の様々な様式から影響を受けており、民俗音楽研究家らしい作品だと言えます。

ピアノ協奏曲第1番 (バルトーク)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF)

調性がはっきりしないという点で、新古典主義音楽だけではなく、20世紀音楽の様々な影響を受けた作品であることは明確です。ピアノは打楽器的ですし、その上で不協和音が大勢を占める旋律は、誠に20世紀音楽だと言えましょう。民俗音楽研究家でありながらも、当時の流行にも敏感である点で、素晴らしい内容を持っています。

一方、第2番は、第2番よりも確かに平易ですが、とは言えとても絵画的で、やはり20世紀音楽らしさを備えた作品です。

ピアノ協奏曲第2番 (バルトーク)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF)

そもそも、ヴェーゼンドルファーじゃなければ楽譜通り弾けないという時点で、かなり面白い作品に仕上がっているのは確かです。バルトークの個性的な面が全面に出ている作品だと言えます。

演奏も、最近は指揮者としての活動が主であるアシュケナージがピアノを弾き、指揮はショルティ。オケはロンドン・フィルと、トップレヴェルがそろっています。第1番でバルトークが言っているように、上手なオケじゃないと難しいからなのか、素晴らしい面々がそろった録音だと言えます。

確かに、アシュケナージのピアノはさえまくっています。オケとの掛合もバッチシですし、第1番のピアノが打楽器的であるのも、しっかりと表現しきっているのはアシュケナージならではと言えるでしょう。

まさしく、近代オケのために書かれた作品だと言えるこの二つの作品を、ショルティロンドン・フィル、そしてアシュケナージの3者が絶妙なコンビで紡ぎあげています。第1番の時として凶暴な点、第2番の絵画的な点が、実に明確になっており、さすがと唸ります。そしてともに生命力があるのが素晴らしい!

こういった作品はともすれば、機械的に演奏されることが多いわけですが、決して機械的ではなく、部分部分では機械的に聴こえることがあったとしても、全体的には血が通った、生命の源とも言うべき作品として演奏されているのが素晴らしいですね。近代プロオケならではの演奏を聴かせてくれます。

録音年代が1970年代から80年にかけてですから、アシュケナージは脂が乗っている時期で、ピアニストとしても充実している時代だと言えます。近寄りがたいバルトークが、どこか近くなったように思えるのはわたしだけなのでしょうか。




聴いている音源
バルトーク・ベラ作曲
ピアノ協奏曲第1番Sz.83
ピアノ協奏曲第2番Sz.95
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)
サー・ゲオルグショルティ指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村