かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ショパン ピアノ作品全集12

神奈川県立図書館ショパンピアノ作品全集の今回は第12集です。ピアノソナタ第1番と小品集です。

まず、ピアノソナタ第1番ですが、この曲はショパンの習作です。

ピアノソナタ第1番 (ショパン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3)

ウィキにある通り、ぎこちない点は否めない作品です。しかしそれをアシュケナージが弾いてしまうと、これがなんと素晴らしい作品になってしまうんでしょうか。

ここでアシュケナージはさりげない主張を行っています。まず、その前の第11集では第2番と第3番のみを取り上げて、いわゆる慣習に沿っておきながら、でも第1番も大事だよねとここで別個に持ってくるわけなのです。

それはウィキの以下の説明に現われています。

「第1楽章 Allegro maestoso ハ短調 2/2拍子
ヨハン・セバスティアン・バッハを意識したようなモティーフが提示され、それが対位法的に展開され、半音階を多用し複雑な転調を繰り返すが、曲はそれだけに終始するため、主題の対比は薄い。ただし、主題再現は一全音低い変ロ短調で始まり、ト短調を経て最後にやっとハ短調になるという、凝った展開を見せる。中間部は変イ長調の緩やかな転調主題。
後年の作品では再現部に第一主題を再登場させない。ショパンの本作も冗長未熟の謗りはあるが作曲技法が発展する上での通過儀式であり、後年のソナタ形式を超越した様式への成長記録である。」

バッハで思い出すことはありませんか?そう、「24の前奏曲」です。

前奏曲 (ショパン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3)

神奈川県立図書館所蔵CD:ショパン ピアノ作品全集1
http://yaplog.jp/yk6974/archive/685

なぜ私がこの時のエントリで、ショパンはピアノの詩人というだけではない、もっと深いものがあると感じていますと述べたかが、ここに現われているのです。確かにこの第1番はショパンが主体的に作曲したわけではありません。しかし、明らかにバッハへのリスペクトを感じるのです。この第1番があってこそ、その後の前奏曲がありますし、また二つの素晴らしいピアノ・ソナタがあるということを、私たちに教えてくれます。その重要性はどこへ行ったの?とさりげなくアシュケナージは私たちに語りかけているのです。

その証拠に、決して第1番は手を抜いていません。第2番や第3番同様に真剣です。ここにアシュケナージの「メッセージ」が込められているように思います。日本人は、ショパンを「ピアノの詩人」というだけでしか見ないのですか?と。

この第1番からすでにポーランドの音楽とワルツを融合させようとしていますし、それはのちにポロネーズマズルカで花開くわけです。

それを念頭に置きますと、この第12集に収録されている他の作品がまた違った輝きを持ってきます。どれもショパンファンでなければあまり聴くこともない曲ばかりですが、なんと自然に流れるのでしょう!こういった基礎があってこそ、ショパンはピアノで持って「詩を書く」ことが出来たのだと実感させられます。

アシュケナージはこの第12集では徹頭徹尾丁寧です。どんなに速いパッセージでも手を抜いていません。それが彼のメッセージであることは間違いないと思います。それでいて、第1番以外はとても軽やかで、気品あふれる演奏です。その基礎はここから来るんだよと、アシュケナージが教えてくれています。



聴いている音源
フレデリック・ショパン作曲
ピアノソナタ第1番ハ短調作品4
「スイスの少年」(ドイツ民謡)による変奏曲 ホ短調、遺作
ロンド ハ短調作品1(1825)
3つのエコセーズ
ロンド・ア・ラ・マズール(マズルカ風ロンド)ヘ長調作品5(1826)
葬送行進曲ハ短調作品72-3(1827)
コントルダンス変ト長調 作品番号なし(1827)
ロンド ハ長調作品73(1828)
4手のための変奏曲ニ長調 作品番号なし(「ヴェネツィアの謝肉祭」による)(1826)
ヴォフカ・アシュケナージウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)


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