かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ショパン ピアノ作品全集9

神奈川県立図書館所蔵CDショパンピアノ作品全集の今回は第9集を取り上げます。いよいよ「マズルカ」の登場です。

まず、マズルカという曲がどういうものなのか説明しましょう。

マズルカ (ショパン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BA%E3%83%AB%E3%82%AB_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3)

ここで注目なのは、ポーランドだけでなくハンガリーの音階や教会旋法も取り入れられているという点です。その上で、50曲以上あり、ショパンピアノ曲の中でもパーセンテージの上で主な作品となっているジャンルです。

マズルカはいくつかの作品集としてまとめられている場合が多く、そして1曲の長さも短いのが特徴です。その短さが理由なのか、ショパンの曲で私たちにあまり印象が少ない点も否めません。しかし、聴きますと限りなく美しく、その上で民族的です。

その点を重視してか、アシュケナージはとても丁寧に演奏をしています。音符一つ一つがきちんと聞き取れますし、雑な点が全くありません。アシュケナージショパンという作曲家をどうとらえているのかがよくわかります。

このマズルカで、ショパンの詩的な部分と民族的な部分とが融合します。もう一つ高みへと昇って行くかのようです。「ようです」と表現したのは決してここまでのジャンルが時代順であるわけではないからです。それでも、音楽としては何か一つ高みへと昇ったような印象を受けるのです。

ここまでショパンの曲でバランスが悪いなあと感じたものが一つもないにも関わらずです。ピアノですから当然そのバランスとは両手になるわけなのですが、それが最初のジャンルからいいのにもかかわらず、ということなのです。もちろん、もっと専門的にやられている方、つまりピアニストの方などはまた別な見方を持っていらっしゃるかもしれません。少なくともリスナーの立場からしますと、それほど両手のバランスが悪いわけではないのに、この気高さはどこから来るのだろうと思います。

マズルカは音楽としては土着のもので、決して洗練されているわけではないのです。それでも、ショパンが作曲しますと、なんと美しく聴こえるものなのでしょう!

この点にこそ、私はショパン国民楽派としてとらえている一つの理由があるのです。もちろん、彼は時代的にはロマン派ですので正確には決して国民楽派の作曲家ではありません。しかし、その前夜を切り開いた作曲家であったように、マズルカを聴きますと思うのです。

ありがたいことに、マズルカはほぼ番号順で作曲されています。つまり、番号順に聴きますとマズルカの変遷を辿ることが出来ます。

特に有名と言われる第7番よりも、それを感じるのは同じく有名な第14番(作品24-1)です。マジャール音階が効果的に使われ、特に印象的です。ここではポーランドのリズムとハンガリーの旋律とが同居し、それが美しい旋律を形作っています。元々土着なものだったのをどんどん洗練させていくその過程を聴くのはとても楽しいです。そもそも、最初からプリミティヴなものが全然ないですし。しかし、その理由はいったい何なのか?一つのヒントをアシュケナージはこの全集の編集から出してくれています。

それは、明らかに基礎としてバッハやベートーヴェンの音楽がある、ということです。だからこそ一番最初に前奏曲を持ってきたわけです(ウィキでは一覧で真っ先にこのマズルカが来ているのにもかかわらずです)。このマズルカを単なる民族主義と考えてもいけないですし、一方ではっきりと民族主義的な部分もあるわけです。そういった音楽が持つ多面性を理解してくださいねという、アシュケナージからのメッセージなのです。



聴いている音源
フレデリック・ショパン作曲
マズルカ
第1番 嬰ヘ短調作品6-1(1830)
第2番 嬰ハ短調作品6-2(1830)
第3番 ホ長調作品6-3(1830)
第4番 変ホ長調作品6-4(1830)
第5番 変ロ長調作品7-1(1831)
第6番 イ短調作品7-2(1831)
第7番 へ短調作品7-3(1831)
第8番 変イ長調作品作品7-4(1831)
第9番 ハ長調作品7-5(1831)
第10番 変ロ長調作品17-1(1832〜1833)
第11番 ホ短調作品17-2(1832〜1833)
第12番 変イ長調作品17-3(1832〜1833)
第13番 イ短調作品17-4(1832〜1833)
第14番 ト短調作品24-1(1834〜1835)
第15番 ハ長調作品24-2(1834〜1835)
第16番 変イ長調作品24-3(1834〜1835)
第17番 変ロ短調作品24-4(1834〜1835)
第18番 ハ短調作品30-1(1836〜1837)
第19番 ロ短調作品30-2(1836〜1837)
第20番 変ニ長調作品30-3(1836〜1837)
第21番 嬰ハ短調作品30-4(1836〜1837)
第22番 嬰ト短調作品33-1(1837〜1838)
第23番 ニ長調作品33-2(1837〜1838)
第24番 ハ短調作品33-3(1837〜1838)
第25番 ロ短調作品33-4(1837〜1838)
第26番 嬰ハ短調作品41-1(1839)
第27番 ホ短調作品41-2(1839)
第28番 ロ短調作品41-3(1839)
第29番 変イ長調作品41-4(1839)
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)



このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。