神奈川県立図書館所蔵CDショパンピアノ作品全集の今回は第8集を取り上げます。今回はワルツです。
ワルツと言いますとヨハン・シュトラウス親子のほうが有名ですが、実はショパンも数多く作曲しています。それがこの第8集冒頭に収録されている「華麗なる大円舞曲」です。
そして、子犬のワルツなど、私たちが親しんでいる曲がずらりと並んでいます。ところが・・・・・
ワルツ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%AB%E3%83%84
ウィキの項目のこの条文に注目していただきたいのですが、
「ショパンは出版社が自分の曲よりもワルツの出版を優先したことや、ウィーンで冷遇されたことなどから、ワルツについて「ウィーンの聴衆の堕落した趣味の証明」と批判している。」
あれ、でもこの第8集には、ワルツ全曲19曲が収めれられていますね。いったいどうしたことか?
それは、同じウィキで「華麗なる大円舞曲」の項目で説明がありました。
華麗なる大円舞曲 (ショパン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%AF%E9%BA%97%E3%81%AA%E3%82%8B%E5%A4%A7%E5%86%86%E8%88%9E%E6%9B%B2_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3)
「本来ショパンはウィンナワルツの表面的な華やかさと一線を画す作曲方針であり、郷里ジェラゾヴァ・ヴォラにもウィーンの音楽に不満を述べている。しかし後発作家の常として華やかな曲想で人気を得る目的があり、出版することになった。結果として成功を収めている。」
結局、ある程度迎合する必要があったのですね。それにしても、素晴らしい作品ばかりなのですが・・・・・
アシュケナージは演奏でたとえばスケルツォなやポロネーズなどとははっきりと差をつけています。作品の素晴らしさには敬意を表しながらも、ショパンのその「想い」というものを代弁したかのような演奏をしています。
早いパッセージでは本当に軽やかに、けれどもどこかしらいい加減さも漂う演奏をしています。しかし、フレーズの最後をゆっくり感情を込めて弾くなど、いい加減さと丁寧さがはっきりと同居する演奏をしています。
なぜアシュケナージがそういった演奏をしたのか、いろいろ調べますとなるほどなと思う点がいくつも出てきます。私たちは特にこのワルツの曲を好んで聴く場合があると思いますが、それは少なくとも作曲家の想いを必ずしも汲んでいるわけではないということだけは、頭に入れていいと思います。
ただ単に楽しむのであれば問題ないと思いますが、これこそショパン!というのは、私はこのような背景を知ってしまうと言いずらいです。それよりもやはり、ポロネーズだったり、スケルツォだったり、まだ紹介していませんがマズルカなどがショパンらしいと思います。
特にポロネーズとマズルカは、ポーランドを代表するリズムでありジャンルであるわけですから、私はロマン派と考えることが出来ないのです。確かに時代的にはロマン派ですが(1810年という生年は、ベートーヴェンの弦四であれば中期という時代なのですから)、しかしその音楽からは国民楽派前夜というイメージがわいてきます。
アシュケナージがここでこのワルツを持ってきたのは、今までの音楽を聴いて、聴き手はどう判断するのかなと挑戦しているようにも思うのです。その証拠に、同じワルツでも、哀愁漂う、明らかに故郷ポーランドを想っての作品は、粗雑に扱ってはいないのですから。
聴いている音源
フレデリック・ショパン作曲
ワルツ
第1番 変ホ長調作品18「華麗なる大円舞曲」(1831)
第2番 変イ長調作品34-1「華麗なる円舞曲」(1838)
第3番 イ短調作品34-2(1831)
第4番 ヘ長調作品34-3「華麗なる円舞曲」(1838)
第5番 変イ長調作品42(1840〜1841)
第6番 変ニ長調作品64-1「子犬のワルツ」(1847)
第7番 嬰ハ短調作品64-2(1847)
第8番 変イ長調作品64-3(1847)
第9番 変イ長調作品69-1「別れのワルツ」(1835)
第10番 ロ短調作品69-2(1829)
第11番 変ト長調作品70-1(1835)
第12番 ヘ短調作品70-2(1841)
第13番 変ニ長調作品70-3(1829)
第14番 ホ短調 遺作(1829)
第15番 ホ長調 遺作(1829)
第16番 変イ長調 遺作(1827)
第17番 変ホ長調 遺作(1840)
第18番 変ホ長調 遺作(1827)
第19番 イ短調 遺作(1843?)
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)
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