かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:リヒテルの芸術①

東京の図書館から、今回と次回の2回にわたりまして、スヴャトスラフ・リヒテルの演奏を収録したアルバムをご紹介します。題名は「リヒテルの芸術」。

ピアノ好きな方には神とも称される、スヴャトスラフ・リヒテル。このブログでも何度か取り上げていますが、このアルバムはそんなリヒテルの演奏を集中的に取り上げたものとなっています。

まず今回はショパンとリストの作品を収録したもの。リヒテルは一つのコンサートにテーマを設けて演奏することが多かったピアニストですが、このアルバムでは3つの演奏会の音源を一つにまとめています。

ja.wikipedia.org

www.universal-music.co.jp

以前にもこのブログでそんなリヒテルの特徴的なコンサートを収録したアルバムをご紹介していますが、このアルバムはそれに倣い、ショパンとリストの作品を集めて一つのアルバムにしたという、明確な編集方針がうかがえます。

収録されているのは、ショパンの「前奏曲」から10曲、舟唄、ノクターン第4番、ポロネーズ第7番「幻想ポロネーズ」、そしてリスト唯一のピアノ・ソナタ。一人の作曲家というわけではありませんが共に前期ロマン派における代表的なピアニストであり作曲家です。

その二人の作品の対比を楽しんでもらおう・・・・・リヒテルなら考え付きそうな内容です。そしてその試みは、私にとってはとても濃厚な時間を提供してくれるものです。

ショパンの演奏は特にタッチが柔らかく、抒情的。なぜかしら涙が出そうになる曲も・・・・・一方のリストでは、力強さも明確にし、ドラマティックでもあります。ショパンとリストの違い、しかし共通するロマンティシズムが明確で、その明確な点が聴いている時間を濃厚なものにしてくれます。

リヒテルという人の生い立ちもあるのでしょうが、とにかく繊細かつ大胆な演奏。その特徴が私の心、魂をつかんで離さず、むしろ矢が貫いていくような衝撃さえあります。魂を揺り動かし、演奏家や作曲家に共感している自分がいます。

このリヒテルの演奏を聴いていますと、自分の持つ技術を何に使うのか、ということが明確だなあと思います。つまり、自分が表現したいことのために、あらん限りの技術を使う、というものです。時にはピアニスト自身の想いを載せて、時には作曲者の触媒たらんとする。その表現しようとするもののために、自己の技術を使うんだという精神に惚れ惚れします。

だからこそ感動の波が私の心に打ち寄せる・・・・・まさに、現代を代表する名ピアニストだと言えるでしょう。

 


聴いている音源
フレデリック・ショパン作曲
前奏曲集作品28より
 第6番ロ短調
 第7番イ長調
 第8番嬰ヘ短調
 第9番ホ長調
 第10番嬰ハ短調
 第11番ロ長調
 第19番変ホ長調
 第17番変イ長調
 第23番ヘ長調
 第24番ニ短調
舟唄嬰ヘ長調作品60
ノクターン第4番ヘ長調作品15-1
ポロネーズ第7番変イ長調作品61「幻想ポロネーズ
フランツ・リスト作曲
ピアノ・ソナタ ロ短調
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)

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